蛭ヶ岳(丹沢) 2014/1/22 裏丹沢片道7㎞、究極のフルラッセル
蛭ヶ岳(丹沢) 1,673m 単純高低差1,153m 青根登山口
4度目の登頂を目指す丹沢最高峰の「蛭ヶ岳」、前日の1月21日から翌明け方にかけて関東地方の山沿いにも降雪がありました。敢えて降雪後を狙っていた訳ではなく、元々1月22日(水)は青根登山口より蛭ヶ岳ピストンを実行する計画を組んでおりました。過去2回は大倉のバカ尾根経由、1回は塩水橋からの登頂経験があり、今回初めて裏丹沢と呼ばれる青根より、蛭ヶ岳アタックに挑みます。
当日は青根手前の国道から降雪及び凍結道路になっており、ノーマル走行不能な道路状況でした。青根ゲート手前の駐車スペースは私だけの車で、本日の貸切濃厚を思わせる静かな登山から始まります。舗装道路の林道を抜けて山道に入ると、降雪でトレースは全くありません。暫く、ケモノラッセルを時より交えながらプチラッセルを継続していきます。やがて、標高を稼ぐに連れて踏み抜き地獄が待ち構える強烈なラッセルへと変化していきます。
一時は踏み抜き地獄に嵌り、姫次で撤退も視野に入れていましたが、蛭ヶ岳山頂から下りてくるハイカーを期待して、チェーンスパイクから6本爪に切り替えて突き進んでいきます。そのまま難儀しながらも山頂にアプローチしていきます。蛭ヶ岳山頂直下の階段地獄は積雪で埋まっており、一部は何処にあるのかさえ判別できないぐらいに積雪がありました。
今回核心部となった山頂直下の階段ラッセル地獄では、あと少しで中々アタックポイントに到達できません。何発踏み抜いたかいい加減わからないくらいに、頼むから誰か下りて来てぇ~!と心の叫びを咬まして汗ダクになりながら気合いで身体を持ちあげていきます。
すると、なんと!山頂まであと100mという地点で、二人組のオジサンハイカーがトレースを付けながら下山してきました。更に続いて御婦人三人組が現れます。その5人にはしっかりトレース付けて登ってきましたからハハハ・・・と笑い(目は笑っていません)ながら挨拶を交わします。心の中では、はっきり言っておせぇ~よぉおおおお・・・と叫んでいました。
拷問と言うより、俺悲惨だよ!シリーズに半ばなった山行でしたが、トレースを付ける気持ちよさ半分、いい加減誰か代わってくれよの先行者の有難味を味わった山行となりました。
レポ作成の原動力になりますので、下記1発ランクアップのため、宜しくお願いします。
【ルート】:青根登山口駐車スペース(7:11)⇒山道経由⇒八丁坂ノ頭(9:02)⇒姫次(9:27-9:47)⇒原小屋平(9:58)⇒地蔵平(10:06)⇒蛭ヶ岳(11:14-12:04)⇒姫次(13:20-13:30)⇒八丁坂ノ頭(13:46)⇒黍殻避難小屋手前分岐(13:59)⇒林道経由⇒青根登山口駐車スペース(15:07)
※歩行距離:17.2㎞ 行程タイム7h56m(休憩等含)
(注):行程時間は個人のペースで歩いたり、自然観察をしている為、またアクシデント・渋滞等発生により全く参考にはなりません。
自宅をAM4時30分出発し、圏央自動車道坂戸IC~相模湖東IC下車~国道413号線経由で相模原市青根地区に入ります。前日の降雪で既に国道は凍結状態でノーマルでは走行不能な状況です。道志みちより青根中学校方面に左折して、神社・消防署・ゴミ置き場などの目印を通過していきます。途中、住宅地で雪掻きをしていたおばちゃんに登山口の場所を御教示していただき、擦れ違い不能な道を走行していきます。
進入禁止のゲート手前を右に入ると5台程度駐車可能なスペースがありますので、速やかに駐車させていただきます。降雪後の先客は誰もいなく、本日の貸切濃厚な状況が想定されます。
暫し車中で寛いでから準備を整えて、8㎞先の蛭ヶ岳アタックに向かいます。
10分強舗装道路を歩くと登山口の表示が現れます。林道を歩いて行っても八丁坂ノ頭で合流しますが、山道から登り込んでいきます。
トレースの無いプチラッセルで進んでいきます。
標高を上げてきたところで早々とチェーンスパイカーに切り替えます。
トレースを付けながらグイグイ標高を稼いでいきます。
モノレール設置ポイントを通過していきます。
陽の当らない箇所を九十九折りにラッセルしながら登り込みます。すると、ケモノが通過したラッセルが現れます。ケモノラッセルです。
え?何だって・・・。おーまいはケダモノラッセル?あんたらいい加減にしなさいよ。
すぐにケダモノ、いやケモノラッセルは無くなり、高度を上げるに比例して積雪量もアップしていきます。脚部への負荷が徐々に増大していきます。
尾根に出ると南側が開けて、一気に陽射を浴びながらトレースを付けていきます。
焼山からの合流地点にもなっている八丁坂ノ頭に到達です。
他の登山道と合流してもノートレースに変化はありません。その内、蛭ヶ岳山荘泊をしたハイカーの一人や二人ぐらい下山してくるであらうと考えておりました。
再びケモノラッセルが現れます。わかった・・・もう言わんでええよ(笑)。東海自然歩道最高標高地点1,433mを通過していきます。更に雪深くなってきたので、この周辺は俗に言うワカンやスノーシューの方が歩き易いのかもしれません。段々姫次まで到達できるのか一抹の不安が過ぎります。
何度か踏み抜き地獄に嵌って突き進んでいくと、富士山が正面に見えてきます。
雄大な富士山が鮮明に見えています。
富士山の展望が得られるこの場所が「姫次」でした。ベンチ台もあり休憩スペースになっています。
まだまだ遠方に位置する丹沢最高峰の「蛭ヶ岳」
積雪の量からチェーンスパイクに限界が生じ、6本爪アイゼンに切り替えていきます。背後に聳える蛭ヶ岳に向けて、気合いの「バックダブルバイ」ポージングを決め込んでいきます。
富士山の展望を見上げてノートレースの道を下っていきます。
下りつつテープを目視しながらラッセルを継続していきます。
原小屋平を通過していきます。蛭ヶ岳までの行程はまだまだです。
脹脛を張らせながら地蔵平を通過していきます。
徐々に蛭ヶ岳にアプローチしていきます。
何気に進んでいくと丹沢名物階段地獄が雪で埋もれています。階段上をラッセルしながら上昇していく、そのまんま階段ラッセル地獄です。
檜洞丸~大室山
富士山の頭
道標が現れるとコースアウトしていないことが認識できて安心です。ここまできても誰にも出くわさないので、本日のピストンは完全貸切濃厚だなぁ~と考えていました。
この先膝上ぐらいの踏み抜き地獄に嵌って難儀します。
踏み抜き地獄を脱した後は、積雪で埋まった階段ラッセル地獄へと突入です。一難去ってまた一難、ぶっちゃけ有り得ないくらいの著しい体力を消耗していきます。
高度を稼いでから再び檜洞丸~大室山を眺めて一息つきます。
身体全体を引き上げるように、ゆっくりと一歩づつラッセルしながら進んでいきます。しかし、もういい加減ラッセル地獄から逃れたい気持ちが高ぶり、誰か下りてきてぇ~!と願いますが・・・全く届きません。
いよいよ山頂アタックかぁ~と思っていたらニセピークでした。蛭ヶ岳は更に一段上った場所に見えています。距離にして400mの地点です。
富士を横目に最終ラッセル体制に入りますが、体力の消耗度が激しいです。最後の詰めが甘い私としては、正面から山ガールでも下ってくれば体力の回復も早くなるのだらうが・・・。
え?もしも10m置きに山ガールが配置されていたらだって?そりゃ~、一気にブルドーザーのように幅広の深いトレースを造りながら、とにかく私にやらせなさい!と一気にアタックしちゃいますけど、そんな光景現実に有り得ねぇ~ことだから、ラッセルもう~したくねぇ~。
付けてきたトレースを振り返って、力任せに登り込みます。
残り200m地点から完全に埋もれていない階段地獄を進んでいきます。
山頂へのアタック体制に差し掛かったところで、まずはオジサンハイカー二人組が下山してきました。青根からしっかりトレース付けてきましたから(笑)と話すと、オジサン達はホットした様子をしていました。
続いて別パーティの御婦人三人組が、まるで「ガイア・オルテガ・マッシュ」を思わせるような「ジェットストリームアタック」を仕掛けてくるように、勢い良く雪煙を舞い上げながら下ってきます。御婦人たちにも、なるおスマイルで青根からのピストンである旨を話すと驚いていました。
ぶっちゃけ心の中では今更おせぇ~よぉ!と叫び、その勢いでもっと早くジェット・ストリーム・アタックを仕掛けて来なさいよ・・・と私の目は笑っていませんでした。※因みにこれはガンダムネタです。
そして僅かな距離に付けていただいたトレースを頼りに登って行くと、そこは蛭ヶ岳山頂でした。
蛭ヶ岳山荘を左手に見て、積雪に覆われた広大な山頂を一望します。
通算4回目の蛭ヶ岳アタックに成功です。裏丹沢ルートではお初でした。そして貸切の山頂でセルフを利用して登頂記念の自分撮りです。え?これだけじゃ、満足しない?アレをやれだって・・・。
やっぱ、このポージングかぁ、フルラッセルをやらせた怒りの「山頂バックダブルバイ!」
しかし怒りのポージングも雄大な富士山の絶景には劣ります。この後、富士山との間に厚い雲が定着し、雲隠れしてしまいました。
ガスでお湯を沸かして蛭ヶ岳から見える展望に向けて、チリトマヌードルを美味しく頂きます!
チリトマを頂きながら檜洞丸~大室山の稜線を眺めます。
こちらは表丹沢、丹沢山~塔ノ岳の稜線
檜洞丸の左側には小さく山中湖が見えています。
塔ノ岳(左)、丹沢山稜線(右)のアップ
気持ちの良い丹沢最高峰の蛭ヶ岳山頂
蛭ヶ岳山荘を廻り込むと東側が開けています。
宮ヶ瀬湖にズーム
塔ノ岳にズームを掛けると尊仏山荘が見えています。
再び広大な山頂に戻り、南アルプスを捉えますが霞んでいます。
穏かな山頂で約50分展望休憩を楽しみましたので、変則的ピストンで下山します。
私含めて9人分のトレースが付いていますので、もうラッセルは不要ですが、山頂直下は急斜面がありますので要注意です。
凍結はしていませんが、6本爪アイゼンをフルに効かせながら下っていきます。
時よりラッセルが恋しくなると、道を外して新たなトレースを付けていきます。
広々とした原小屋平を通過していきます。
再び貸切の姫次に戻ります。
ピークハントしてきた蛭ヶ岳にズームを掛けて蛭ヶ岳山荘を捉えます。
姫次を後にして先を進んでいくと、踏み抜き地獄にまたまた嵌ります。皆さん嵌った様子が伺えます。あのジェットストリームアタックを仕掛けてきた御婦人三人組も嵌ったようですね。踏み抜き地獄を脱した後は快適な空間を眺めます。
八丁坂ノ頭に到達し分岐より焼山方面に下ります。
20分弱下ると黍殻避難小屋手前の分岐を青根方面に下ります。分岐から先はトレースが無く、ここはプチラッセル下りとなります。
時より現れる道標を頼りに下っていきます。やがて積雪量が減少し、アイゼンでは歩きづらくなってきたのでチェーンスパイクに切り替えます。
チェーンスパイカーとなって下っていくと、治山工事を行っている箇所があり廻り込みます。
山道より林道に合流していきます。林道手前でチェーンスパイクを解放させて、歩いて来た稜線を見上げていきます。
施錠されたゲートを脇から抜けて凍結気味の舗装道路を歩いていきます。
朝方山道に入った分岐と合流しゲートまで歩いていきます。
駐車スペースに帰着し終始貸切であったことが伺えます。朝方よりも大分周辺の雪は融けていました。
擦れ違い不能な道を進み集落を抜けていくと「いやしの湯」に到達です。フルラッセルで疲弊した大腿四等筋及び脹脛を徹底的に癒していきます。平日なのでかなり空いていました。湯舟にはなんと!120分特に露天に半身浴しながら疲れをとりました。ここの温泉はでら気持ちいいっす。
ほぼ貸切の食堂できつねうどんを美味しく頂いてから帰宅しました。
最後まで御一緒にフルラッセルにお付き合いいただきありがとうございました。
■天候:晴れ
■出会った人:8人
■タイム:7:11~15:07【7時間56分、休憩等含】
■形態:単独行
■水分:2.5L(ペットボトル500ml:5本)
■山域:丹沢
■深Q百名山:第19座目で登頂済【通算4回目】
■出発地点より駐車場までの片道距離:91Km
■登頂日:2014年1月22日(水)
■その他:
★初の裏丹沢ルートで蛭ヶ岳までの静かな丹沢を存分に楽しむことができました。ほぼ山頂までのフルラッセルは誰か下山してくるだらうと安易に考えていたので予想外の展開でした。新雪ラッセルの気持ちよさ半分、腰までの踏み抜き地獄に嵌った時は、半ば撤退まで考えてしまいました。
★相模原市の青根地区は自宅から約90キロの距離でした。同じ蛭ヶ岳を目指すにも秦野市の大倉側までは約130キロありますので、距離にして往復80キロ運転とガスの浪費が節約できます。
★実は今回のメインは「いやし温泉」目当てに青根登山口での登頂を計画しておりました。実施前日に偶々降雪があったわけで、ある意味貴重な体験をさせていただいたと思っています。
★丹沢訪問では毎度蛭ヶ岳を絡めた山行となっているので、次回以降は違う丹沢ルートを開拓してみようと考えます。裏丹沢の梅雨時以降は、きっとヒルが大発生するんでしょうかね。