唐松岳 2013/8/26 北ア第二弾は人気の名峰を穏便にアタック!
唐松岳(からまつだけ) 2,697m 単純高低差 867m
前日の高妻山登頂後(レポはこちら )、白馬村の宿に到着した私は宿の貸切温泉で暫く翌日の山行プランをゆっくりと癒しながら練っていきます。北アルプス第二弾は、燕岳とともに北アルプス入門コースとして人気が高く、更に展望も期待ができる名峰「唐松岳」に決定していきます。
実は白馬村への訪問は今回で2回目になります。1996年、長野オリンピック開催の2年前の出来事でした。当時、私は年間滑走日数30日~40日、尾瀬・湯沢地域を中心に基礎スキーヤーとして勝手に活躍?(オリンピックは目指していません)、いや活動しておりました。八方尾根では予想以上のアクシデントに見舞われ、遂にはスキーヤー人生を終焉に追い込まれ、1度も踏み込むことの出来なかった因縁の地でもありました。
当時、八方尾根に入る前々日、身体が不調であった私は、秩父御岳山や武甲山レポでも登場したことのある「メタボ先輩」に同行し、栂池スキー場にやってきました。既に車の乗車で熱が急激に上昇していた身体で無理矢理栂池滑走に入ります。そして当然のことながら2時間も掛からずにダウンしていきます。メタボ先輩を勝手に滑らせておき、自分だけ撤収していきます。その後、リザーブ済のペンシヨンに向かい、座薬を頂いてからそのまま翌日まで食事も摂らず死んでいました。
更に翌日、熱がなんと!39度の状態で八方尾根に移動していきます。これは翌日にリーザーブしていたペンションへの移動の為でした。16年前の記憶且つ高熱状態だったので、天候の悪さと僅かな八方尾根の風景のみしか覚えていません。メタボ先輩は勿論1日優雅に滑っておりました。私はペンションの若い娘?だったかな・・・に介抱されていました。もしかして、あのペンションはモーグルで有名な上村愛子宅のペンション?と介抱してくれた娘を勝手に思い込んでいる適当な記憶だけです。(笑)
上記のようなアクシデントを発端に、ここまでしてスキーなんかやってられっかぁ!とスキーヤーを引退する切っ掛けともなってしまった八方尾根でした。
前置きが大変長くなってしまい申し訳ありませんが、因縁の地「八方尾根」に腰を痛めた状態(サラシを巻いた状態でした)で入り込み、スキーヤー同様、ハイカー人生までも終焉に追い込まれる事態に果たして遭遇することになってしまうのだらうか・・・・・。
レポ作成の原動力になりますので、下記1発ランクアップのため、宜しくお願いします。
【ルート】黒菱第3リフト駐車場(8:12)⇒(黒菱第3リフト経由グラートクワッド乗車)⇒八方池山荘(8:38)⇒第2ケルン(9:05)⇒八方ケルン(9:08)⇒第3ケルン(9:25)⇒丸山ケルン(10:31-10:37)⇒唐松岳頂上山荘(11:11-11:18)⇒唐松岳(11:33-12:12)⇒唐松岳頂上山荘(12:23)⇒丸山ケルン(12:54)⇒八方池(13:44-13:52)⇒八方池山荘(14:23)⇒(グラートクワッド経由黒菱第3リフト乗車)⇒黒菱第3リフト駐車場(14:44)
※歩行距離:13.0㎞ 行程タイム:5h45m
高妻山登頂後の疲弊感を癒すため、白馬村に宿泊した私は大変清々しい朝を迎えることができました。正面の建屋は本館で地下にPHの高い温泉があります。朝風呂に入り心身共にリフレッシュさせていきます。
窓の外を眺めると白馬三山方面が確認できます。
あれは「白馬鑓ヶ岳」かぁ!めっさ迫力有り過ぎて、腰の痛みも忘れてテンションMAXに上昇していきます。
テンションを上げた状態で宿をチェックアウトし、黒菱第3リフトに向かうため車で標高を稼いでいきます。途中、フロントガラスの向こう側に白馬三山の素晴らしい光景が腰痛で輝きが薄くなった私の瞳に反射していきます。
結構な距離を車で上っていくと、やがて黒菱第3リフト駐車場に到着です。周囲では牛が放牧されていますので糞に要注意です。囲いのゲレンデに踏み込めば勿論、クソすべりのコースであることは間違いありませんね。(笑)
腰に巻き付けたサラシを更に硬く固定して登山準備を整えます。リフト窓口に向かい、黒菱第3リフトにグラートクワッドの付いたライン券(往復1,000円)を購入していきます。グラートクワッドを使用しないで登ることも可能です。(片道20分程度)
まずは黒菱第3リフトに乗車していきます。高速ではないのでゆっくりと高度を稼いでいきます。16年前、スキーヤーとして踏み込むことができなかった初の八方尾根入りに気持ちがワクワクしていきます。
リフトを下りると黒菱平雲海デッキに出ていきます。リフト乗車方向を振り返ると戸隠連峰が見えています。
明確な稜線を描く”白馬三山”の迫力に圧倒されていきます。
白馬岳、白馬鑓ヶ岳のアップ
左から白馬鑓ヶ岳・杓子岳・白馬岳と何度も素晴らしい眺望を脳裏に焼き付けていきます。
乗り継ぎリフトのグラートクワッドに向かいます。
長野オリンピック女子滑降スタートハウス前を横切ります。1998年全世界に放映されていた懐かしの光景を目の当たりにして暫し感動に浸ります。
鹿島槍ヶ岳が視界に入ります。腰痛がもっと緩和されていれば突っ込んでいたかもしれません。乗り継ぎリフトのグラートクワッドに乗車していきます。
剱岳登頂断念後、第二候補に掲げていた鹿島槍ヶ岳~五竜岳の稜線がはっきりと見えています。今の状態で八峰キレット・G4・G5あたりで激痛が走ったら・・・かなり厳しいっすね。
「鹿島槍ヶ岳」単体だけでも・・・と考えてみましたが、やはり現在の状態では行程が長すぎる。
「五竜岳」単体だけでも・・・とも考えましたけど。テレキャビンの稼働する時間が8時台と遅すぎて日帰りはかなり難しい。延長も30分経過毎に2,000円が発生するそうなので、リフト稼働終了後2時間後に動かしてもらうには8,000円が別途必要となります。
素直に八方池山荘前より日帰り確実な「唐松岳」を目指していきます。
八方池山荘脇に大きめのトイレがあります。脇を抜けて木道コースに入っていきます。
木道コースは基本木道となりますが、ガレ岩場も点在しております。八方池まではハイキングコースなので、Gパンハイカーやザック無手提げ袋ハイカーが各所に点在して歩いています。腰にジワっとした重い痛みを抱えながら、遠慮なくハイキングハイカーたちを追い越していきます。
木道脇にカライトソウが咲いています。
タムラソウ
鹿島槍ヶ岳~五竜岳を眺めながら少しづつ標高を上げていきます。
白馬村を眼下に捉え、痺れ気味の左脚を引っ張りながら、再び遠慮なくハイキングハイカーを追い越していきます。
クルマユリを観賞しながら快適に木道を進んでいきます。
まもなく第2ケルンを通過していきます。周辺にはトイレがありました。
八方ケルンに到達です。不帰の嶮一峰・二峰・三峰の眺望が利いています。
天狗尾根から 不帰の嶮はまるで絵画を見ているかのようです。
白馬三山は見事ガスに巻かれています。ガレチックな岩場を登っていきます。
展望案内図より唐松岳、不帰の嶮一峰・二峰・三峰、不帰キレット・・・と再確認していきます。
アタックするターゲットを視界に捉えて、まだまだ高低差があることを思い知らされます。
穏かに標高を稼いでいくと八方池が見えてきました。
そして登山道ではツアーらしき団体ハイカーと擦れ違います。御丁寧に端から挨拶を交わしていきますと首から腰に掛けて痛みが出そうなので、後半は直立しながら「チースッ!」で軽く済ませていきます。
滅多に見られない大変素晴らしい光景を眼球の奥に仕舞い込んでいきます。ホームの奥武蔵・奥多摩・秩父山系では絶対見られない光景ですからねぇ。
第3ケルン脇で山ガール二人組に撮影していただきました。おーまい氏腰痛からやつれています。撮影していただいた山ガールは、同伴していると淫行対象に誤解されそうなくらい若すぎる山ガールでした。敢えて、レポ掲載の説明から撮影交渉の余計なパフォーマンスは、腰の状態から全く余裕がなかったので割愛させていただきました。(笑)
八方池を横目にこの先から本格的な登山道に変わっていきます。と言っても登り込みが加わっていくだけで、特に大変になるわけではありません。
但し、蛇紋岩(じゃもんがん)の黒光りした岩場を歩く為、滑らないように細心の注意が必要となります。扱けてもいぢゃもんは付けないでくださいね。といつものくだらない登山ギャグを勝手に咬ましていきます。
岩場ではマーキングの方向に丁寧に歩き進んでいきます。段々ガスが著しく流れていき、外気が涼しくなっていきます。
高山植物の群生地に出ると「イブキボウフウ」が特に目立ちます。
雪渓が残る箇所を見学しガレ場をグングン登っていきます。
広いスペースのある丸山ケルンに到達です。
丸山ケルンより白馬三山を眺めていきます。白馬鑓ヶ岳だけがガスの合間から確認できます。
比較的歩き易い登山道で徐々に高度を上げながら唐松岳にアプローチをしていきます。
快適な空間を気持ち良く歩いていきます。アルペンチックな光景に腰の痛みも忘れ心が癒されていきます。
やがて唐松頂上山荘のある八方尾根分岐に出てきました。
山荘正面に聳え立つ「剱岳」をハイカーたちがカメラに激写していきます。
唐松頂上山荘は綺麗で立派な建屋です。1度は泊まってみたいですねぇ。
8/22に早月尾根から登頂予定をしていた「剱岳」、腰痛から最終的には現在登頂している「唐松岳」に変更となりました。
これからアタックに向かう「唐松岳」。この光景痺れますねぇ~。
山荘前はハイカーで賑やかになっています。山荘眼下はカールになっていますね。
剱岳を眺望しながら唐松岳アタックに向かいます。
徐々に急勾配となる斜面を登り込んでいき、振り向くと山荘が摸型のように見えています。
足元に注意を払いながらアタック体制に入ります。
そして山頂が見えてきました。腰の痛みが出ない状態でアタック成功です!
唐松岳はアルプス経験7峰中で最も歩きやすい山でした。
唐松山頂部のみが晴れていて周囲の山々はガスに巻かれています。白馬三山の視界はもう利いていません。
軽食を摂った後、山頂記念撮影をしていただいてから撤収準備に入ります。
下山は来た道をそのまま戻るだけなので速やかに下っていきます。
ガスに巻かれた山荘前を通過して八方尾根に入ります。
下山中、林間学校の第一陣と思われる集団ハイカーと擦れ違います。先生の指導で擦れ違い時、山側に避けていただきました。第二陣以降のハイカーとはこの後擦れ違うことになります。
雪渓ポイント上部に到達すると、これから登り込んでくると思われる大量の林間ハイカーを確認します。これは大変な事になりそうだと急いで下り続けていきます。
ここより雪渓ポイントまでは狭い登山道となります。しかし、林間部隊第二陣先発隊が既に登り込んできていました。
大量の林間ハイカーと大バッティングです。前を歩くハイカーが難儀しているところに先生らしきハイカーが「適当に進んで行ってください!」と遠慮ない擦れ違いを求めてきました。擦れ違い様、元気な林間男子ハイカーに「サングラス格好いいですね!」と叫ばれます。「おーまいさん、格好いいですね!」ではなく、丸いサングラスだけ着目されます。仕方なく私からは、「山頂まであと1時間!」と動機付けをしてやります。林間男子ハイカーに全部で生徒何人いるのか?問いかけると180人だそうです。まだ腹黒さのない純粋な林間ハイカーたちに将来の日本を適当に掛けてみたいと思います。
雪渓ポイントに来ると第三陣の林間ハイカーたちが稼働を始めていました。本日の唐松岳頂上山荘は大変賑やかになりそうですね。
タカネマツムシソウ?、タムラソウ
難なく下っていくと八方池が見えてきました。白馬三山は完全にガスに巻かれています。
その後、八方池をあらゆる角度から眺めていきます。
八方池の下山途中、右側画像中央の小さく見えているおばさんハイカーが実は岩場で扱けて座り込んで立てなくなっていました。周囲のハイカーはハイキングハイカー主体なのでおばさんハイカーのことなど構っていられません。
そこで、おーまい・なるお氏が近づきます。足首を中心に痛めていないか?尋ねます。自力で立つのが困難そうだったので脇を支えて補助していきます。実は結構な重量級のおばさんハイカーだったため、「腰を打っちゃって・・・」と言い放った瞬間、自分も腰を痛めていることを思い出します。あまりの重さに私だけの今の力では立たせることが出来ず、結果、おばさんハイカーに腹ばいになってもらい自分の腕の力で腕立て伏せのように立っていただきました。腕力は相当な力量を持っているおばさんハイカーでした。その後様子を見ながら私は下っていきました。
ガレ、木道と下っていきます。あらゆるハイカーを一気に追い越していきます。
白馬村の街を確認しながら標高をリセットしていきます。
リフトが見えてきて八方池山荘前のグラートクワッドに乗車していきます。
降車後、再度スタートハウスをじっくりと眺めていきます。
黒菱第3リフトに乗り換え、駐車場まで快適に下山していきます。
駐車場に無事に帰着です。今回はサラシを強く巻いて固定しての歩きだったので前日の高妻山のような激痛は発生しないで済みました。
その後、「倉下の湯 」にて2日間の登山疲れを癒していきます。※内湯は無く露天のみ。
■天候:晴れ時々ガス
■出会った人:300人ぐらい
■タイム:8:38~14:23【5時間45分、休憩等含】
■形態:単独行
■水分:3.0L(ペットボトル500ml:6本)
■山域:北アルプス
■出発地点より駐車場までの片道距離:245Km
■登頂日:2013年8月26日(月)
■その他:
★お盆休み以降、5連休を取得して20年来の付きあいのある富山県立山町の友人宅を拠点に、剱岳・立山連峰と満喫する計画を練っておりました。ただ、友人は登山をしない為、立山だけ付き合ってやると言われて、ザックと雨具を貸してやる予定で菓子折りも購入し、準備は万全の体制でおりました。出発2日前に仕事中、腰を痛めてしまいました。今までのDM登山のツケもあったと思います。結果、5連休中3日間は自宅療養をしておりました。このまま5日間も自宅療養はやってられねぇ~ということで急遽、高妻山に向かうことにしました。
★当初の計画【剱岳・立山連峰】⇒第二案【鹿島槍ヶ岳・五竜岳】⇒最終案【高妻山・唐松岳】と誰も組み合わせを考えない異色の山行となってしまいました。個人的には山小屋泊あまり好きではないので、一旦下界でリフレッシュする今回のやり方は自分のスタイルに合っています。例えば、福島の安達太良山・磐梯山の組み合わせなら喜んでビジホを利用します。
★全く登頂候補にも掲げていなかった「唐松岳」登頂してみて人気の高さが伺えました。登山道が歩きやすいことが特に印象的でした。
★DM登山をやられているハイカーは何かしら身体の故障が勃発されることがあるようです。今回の教訓で無理しない山行を心掛けていき、谷川連峰馬蹄形縦走を超える日帰り縦走はやらない方針でいくつもりです。過酷な日帰り登山をやったからと言って何ら凄い訳でもありません。単なる自己満足の世界なので、凄い!など思わない方がいいかもしれません。山行の楽しみ方は人それぞれですから。個人的には師匠以外のハイカーがやっているDM登山は特に参考にはしておりません。
※おまけ
癒し温泉後、白馬ジャンプ競技場の見学に向かいます。ノーマルヒル(318m)、ラージヒル(385m)の並列型競技場です。1998年長野オリンピックで使用されていた競技場であることは周知のことかと思われます。団体競技で取得した金メダルの感動は、歴史の1ページとして永遠に受け継がれていくことでしょう。