高妻山 2013/8/25 深Qの日本百名山登頂シリーズ【Vol.39】 新道の弥勒尾根は野生動物が仕掛けた本格的トラップのまさしく”クソすべり”コースであった・・・
高妻山 2,353m 単純高低差1,236m
本年北ア第二弾の山行準備直前、思わぬところで腰痛が発生します。今までのDM(ドエム)山行が起因していたのだらうか?2、3日調整をしてみましたが良くなる兆しが見られません。
当初の計画では剱岳(早月尾根日帰りピストン)、立山連峰の抱き合わせ予定を第二候補の鹿島槍ヶ岳~五竜岳に変更して計画を練り直していきます。しかし、八峰キレット、G4・G5の岩場で腰部の激痛が発生した場合、大変厳しい状況に追い込まれると判断、それとキレット小屋の予約状況も確認してみると1枚の布団で二人の可能性ありとのことでした。これでは腰の状況が悪化しそうだ・・・・。(別に変な意味ではありません。笑)従って、こちらの案件も変更を余議なくされます。
そこで、ある程度腰に負担を掛けないよう更に高低差、歩行距離を縮めた未踏の深Q銘柄を探してみます。すると、レポも少数の地味な山がありました。戸隠連峰最高峰『高妻山』です。しかも新道が開通されたそうなので、これなら腰への負担を緩和できると考え、剱岳に向かえなかった気持ちを抑え切れず、怒りの登山決行に踏み切ります。
そして登山決行当日を迎えて高妻山に入山していきます。前日まで雨量が多かったせいか、多少難儀する徒渉ポイントがありました。その後新道では、恐るべし状況にブチ当たります。なんと!未だかつて見たことも聞いたこともない野生動物らしき大量の糞を確認します。しかも干からびているブツではなく、全てが新鮮なブツで御丁寧に踏み跡にトラップが仕掛けられています。まさに糞(クソ)まみれの登山道に驚愕され、北岳や黒斑山の『草すべり』に対抗して、ここは『糞(クソ)すべり』という名が相応しいぐらい大量の小虫及び悪臭でめげそうになっていきます。
何とかクソすべりをクリアすると山頂直下の急登で遂に腰が痛み出していきます。本格的核心部であることは間違いない地点でしたが、クソすべりで余計な神経を使い果たしたようでした。鋭くギザギザの岩が連なる戸隠連峰の奥に聳えるピラミダルな山容の高妻山に究極の痛みを堪えていざアタック!
レポ作成の原動力になりますので、下記1発ランクアップのため、宜しくお願いします。
【ルート】:戸隠キャンプ場無料駐車場(5:42)⇒六弥勒新道登山口(6:30)⇒六弥勒(8:14-8:19)⇒七薬師(8:27)⇒八観音(8:49)⇒九勢至(9:00-9:05)⇒十阿弥陀(9:50)⇒高妻山(9:55-10:42)⇒十阿弥陀(10:47)⇒九勢至(11:25)⇒八観音(11:33)⇒七薬師(11:55)⇒六弥勒(12:01)⇒六弥勒新道登山口(13:29)⇒戸隠キャンプ場無料駐車場(13:59)
※行程タイム:8h17m(休憩等含)
腰痛発生から剱岳・立山連峰遠征を諦め、暫し自宅療養をしておりました。しかし、自宅療養にいい加減飽きてきた私は、我慢の限界ボーダーラインを決壊させて、登山中に腰痛が勃発してでも気合いで登り込んでやろうと深夜1時過ぎ、深Q銘柄に向けて怒りの強硬策を取ります。よく山は逃げないと言われますが確かに山は逃げません。しかし、時が逃げるんです。タイミング・老化現象・・・いつまでも待ってはいられない。向かった先は上信越自動車道信濃ICを下車し、戸隠キャンプ場に4時過ぎに到着です。キャンプ場入口手前に登山者用の無料Pがあります。
無料Pの反対側に綺麗なトイレがあります。少し休んでから登山準備に取り掛かります。予報では曇りでしたが晴れ間が射してテンションアップです。キャンプ場より牧場内を横断していきます。
本日より今まで使用していたホームセンター作業用手袋(1,200円)からアルパイングローブへと怒りのレベルアップ衝動買いをしていました。実は剱岳の岩場に立ち向かう為の購入だったのですが・・・。
キャンプ場では前日が土曜日だったので、多くのキャンパーがテント泊を楽しんでいます。
基本、牧場まで分岐を右へ右へと進んでいきます。突如、目の前に「蟻の塔渡り」で死亡事故多発で有名な「戸隠山」が現れます。
戸隠牧場内に入ると、まずは馬が優雅に走りまわっている姿が見られました。
正面右側の五地蔵山に向かって歩いていきます。
牧場入口には注意看板が設置されています。まずは戸隠山・高妻山登山道には熊が生息している旨の内容、そして戸隠連峰は非常に危険度が高く、毎年遭難死亡事故が発生しているとの記載がされています。死亡事故とは、恐らく「蟻の塔渡」のことかと思われます。
黒姫山、戸隠山を眺めながら、牧場内を速やかに進んでいきます。
やがて登山口が現れます。真っ直ぐ進むと一不動コースとなりますが、沢歩きや滝コースは腰が痛みそうなのでパスして、弥勒尾根入口に進んでいきます。
前日までの大雨のせいか沢が増水しております。ゴアテックスのハイカットでも水が入り込んでしまいそうなので、石の上をうまくジャンプしながら徒渉していきます。林道にはトリカブトが咲いています。
飯綱山を正面に捉えて静かな弥勒尾根入口に入っていきます。
登山口に入るや否や増水の徒渉ポイントに差し掛かります。ゴアテックスの靴でなければ確実に浸水することでしょう。
暫く樹林帯を登り込んでいきます。木の根っこが張り出していたり、滑り易い箇所があったりと油断ができません。時より薮の中で動物が移動する音がします。巨体なイメージを連想させるような音がしますので、熊でないことを念じながら登り込みます。
結構な高度を稼いでいくと上空が開けていきます。高度を稼ぐに比例してなぜか悪臭濃度が倍増していくのを嗅覚で感じとります。それと大量の小虫が吸い込んでしまいそうなくらい、小刻みな動きで眼球の動きに交差するよう飛んでいます。
何がこんな悪臭を放っているのか?周囲の植物を観察するとそれらしいものが見当たりません。やがて、ひとつ、ふたつ、みっつと地雷のように仕掛けられた全て新鮮なブツが現れます。しかもご丁寧に段差も含めて踏み跡に仕掛けてあるんです。更にこのブツが小粒ではなく、結構な大粒なブツであることに驚愕していきます。何の為に?野生動物の縄張りの主張だらうか・・・。その野生動物とは一体何者?
あまりの臭さにめげそうになっていきますので、気分転換に背後に見える飯綱山を確認し、遥か下に見える牧場を視界に捉えます。しかし、地雷のブツはデカく新鮮で等間隔に仕掛けてあります。なんと!その数30箇所以上はあったと思われます。むごい、むご過ぎます!1匹の仕業で無いのは明らかです。
糞(クソ)まみれのこの状況の登山道では、浮石や根っこなど気にしていられません。いかに新鮮な糞を踏みつけないように余計な神経を使って登り込みます。糞踏みつけて滑落だなんて・・・格好悪過ぎです!ここは本格的”糞(クソ)すべり”コースと思われても仕方のない凄い数の糞です。やっとの思いで六弥勒の祠前に出ました。ここは一不動コースとの合流地点でもあります。
六弥勒より高妻山の聳え立つ姿を初めて捉えます。いくつかのアップダウンを経て急登をクリアしなければ、高妻山山頂に辿り着くことが困難と思われます。果たして腰痛を抑えながらアタックすることができるだらうかと一抹の不安が残ります。
これから進むアップダウンコースを視界に捉え、視点を頸城山塊の方面に移すと焼山が確認できます。
昨年登った妙高山・火打山を確認したいが、ガスに巻かれています。唯一、焼山だけが明瞭に見えています。
七薬師を通過し一気に鞍部まで急降下です。
ヤマハハコ、キリンソウ
岩場を登り込むと北アルプスの白馬岳方面が視界に入ります。
オヤマリンドウの群生
八観音を過ぎると再び高妻山本体がガスに巻かれた状態で現れます。
いよいよ核心部手前に位置する九勢至に到達します。ここより戸隠山が見えていました。
九勢至正面に聳え立つ「高妻山」、山頂直下の急登箇所が伺えます。
一瞬ですが、ガスの切れ間に妙高山が確認できました。
高妻山目掛けてアタック体制に入ります。
ガレ・岩場を丁寧に登り込んでいきます。
岩場を進むと十阿弥陀に到達です。山頂はもうすぐです。
尖った岩場では大事な股間を勝手に打ちつけないように、気を付けながら山頂に向かいます。
そして高妻山にアタック成功です!しかし、山頂直下の急登が厳しかった影響で、腰痛が過激に発生していきます。
登山道で何度か会話を交わしたハイカーに山頂記念撮影をしていただきます。この後、用意していたサラシを腰に巻いて固定させていきます。
他のハイカーに邪魔にならないようにガスを焚いてチリトマを頂きます。
山頂ではそれぞれのハイカーがベスポジを探して、暫しの休息を楽しんでいます。
雲に隠れて判りづらいですが、北アルプス方面と頸城山塊方面
腰の痛みは残りますが、山頂で結構な時間寛げましたので下山に取り掛かります。
山頂部だけ晴れ間が射している感じです。標高を下げていくとガスの流れが著しくなっていきます。急登箇所を下っていると、登りで弥勒新道を利用してきたオヤジハイカーと話します。そのオヤジハイカーはクソすべりの臭さにかなり怒りモード炸裂でした。誰かが犬を連れ込んでいると思いこみ、見つけたら注意してやる!と怒りながら登ってきていました。山頂付近では犬を連れたハイカーは見かけなかったことを伝え、あの糞の量はとても犬1匹で成せる仕掛けでは無いことも併せて主張していきます。すると、オヤジハイカーはじゃあ猿か?と確信したようでした。言われてみれば猿の可能性が高いですね。
この辺りから腰と左脚の痺れをカバーするため、シングルステッキを活用しながら標高を下げていきます。
九勢至、八観音と通過していきます。
登り返して七薬師
六弥勒より通過したくないけど、無理矢理クソすべりで下って行くしかありません。
刈払いもされていて歩きやすいはずなのですが・・・・。やっぱ臭過ぎです。このトラップは猿だな。大量にあった糞は予想通り下山で利用したハイカーに踏みこまれていました。クソ踏みつけて滑落したハイカーはいなかったかな?と余計な心配事をする前に、自分の腰を心配しなければなりませんね。
そして長い林道をひたすら無心で下山していきます。
徒渉ポイントを勢いでクリアして登山口を出ます。高妻山方面を眺めると完全にガスに覆われています。
もうひとつの徒渉ポイントも渡って、沢水で汗ばんだ顔を洗っていきます。
ファミリーで賑わう牧場を通行していきます。
牧場内の自販機でファンタグレープを美味しく頂き、無事に駐車場に帰着です。
下山後はむれ温泉「天狗の館」で痛めた腰を中心に脚部を揉みほぐしながら身体を癒していきます。
■天候:曇り時々晴れ
■出会った人:20人ぐらい
■タイム:5:42~13:59【8時間17分、休憩等含】
■形態:単独行
■水分:4.0L(ペットボトル500ml:8本)
■山域:戸隠連峰
■深Q百名山:第39座目
■出発地点より駐車場までの片道距離:243Km
■登頂日:2013年8月25日(日)
■その他:
★戸隠連峰最高峰の高妻山を無事に登頂してきました。山頂直下の急登で痛めていた腰に激痛が走り、山頂でサラシを巻いて硬く固定し、シングルステッキを活用しながら何とか下山することができました。やはり、剱岳や鹿島槍ヶ岳で同様な痛みが走っていたら、滑落では済まない可能性もありました。無難に高妻山を選択して良かったと思いますが、予想以上に手強い山でした。身体へのダメージ度はデカかったです。
★戸隠キャンプ場は前回の平ヶ岳登山口よりも自宅から12キロも短い距離でほとんど高速走行だったので、多少楽な展開に持っていくことができました。長野県の北部地域も比較的アクセスの良さがわかり、日帰り十分可能な範囲内と感じました。
★戸隠連峰に登頂する機会があれば、いつか戸隠山を登ってみたいと考えます。蟻の塔渡りにチャレンジする価値ありと思っています。妙義山との比較対応もしてみたいことですが、近々や近い将来では全く考えておりません。何時の日か・・・といった対象ですかね。
★弥勒新道の勝手に名付けた”クソすべり”は、強烈な糞の数及び新鮮さに圧倒されてしまい、驚愕させれました。段差が付いている踏み跡に御丁寧に仕掛けられているのは、動物特有の縄張り意識の主張の表現と思われます。静かな山域に人間が入ることを拒絶しているような行為と感じられました。やっぱり猿の仕業かな・・・・・。
おまけ編
温泉で癒した後、なぜか埼玉の自宅には帰りたくありません。とりあえず長野市内を通過していきます。
擦れ違い困難な峠道の406号線をパスして、通称「オリンピックロード」に入ります。道路は画像のようなラクチン運転ができるルートです。そしてこの後向かった先は一体どんな場所なのだらうか・・・
なんと!この場所はモーグルの上村愛子が育った白馬村か?
おーまいが向かった先はとあるホテルの別館か?
景色の見える部屋がリザーブされている?
なんと!また温泉かぁ!PHの非常に高い美肌の湯にて単独貸切をロングな時間使用します。そして、その後の展開とは?
腰痛に苦しむ身体で、一体どんな展開が繰り広げられるのだらうか・・・・。
「翌日編に続く 」