北岳(日帰り) 2013/7/13 深Qの日本百名山登頂シリーズ【Vol.34】 弾丸登山で北岳にアタック!!
北岳 3,193m(日帰り) 単純高低差 1,673m
北岳は富士山に次ぐ国内第2位の高峰で、北岳バッドレス(北岳胸壁)のような男性的岩壁を有する一方、国内有数の高山植物の宝庫でもあり、特にキタダケソウのような希少な植物が自生しています。
今回リーマンハイカー活動以来、初の3千メートル超えに挑戦する機会を設けます。実は人生最初の登山が富士山でした。これはハイカーなど全く興味のない時代に、御遊び程度でスニーカーを履いて登頂した若き時代の私的なイベントでした。その後、登山など全く興味を抱くこともせず、15年間身体を寝かせた状態が続きます。従って、本格的シロートハイカーに転身してから、初の3千メートル超えに気分が高まる反面、身体が高度順応できるか一抹の不安を抱えていきます。
実施日は3連休の初日を選択し、いづれも天候が期待できない状況でしたが、唯一初日のみが晴れマークが付されています。急遽仮眠後、身支度を整え芦安市営駐車場まで車を走らせます。バス停前の駐車場に余裕はあるだらうと気を抜いてAM4時到着すると、なんと!満員御礼状態のドツボに嵌っていきます。結局かなり下の方にある第7駐車場側面に置く嵌めに・・・。その後は路駐も多くいました。
急いでバス停に向かいますが、ハイカーの超大集結状態に唖然としてしまいます。こんな混んでいる状況を見るのは初めてで、一気に弱気モード炸裂となり撤退まで考え込みます。しかし、ここまでの交通費勿体ない!覚悟を決め込んでバス乗車券を購入していきます。
そしてバス数十台が現れてもハイカーの整理に時間が掛かり、5時30分発の時刻が大幅に遅れていきます。広河原到着後、速やかな準備を整えても日帰り可能だらうか・・・・となお不安が残ります。とりあえず登っとくかと気を引き締めますが、登山道はハイカーの群れで大バッティング状態。まるで、中央自動車の小仏トンネル付近の渋滞を思わせるように、ハイカーの動きが止まって見えます。そのため必然的に足止めを喰らいますが、休憩ポイントで何とか群れから脱していきますが、その先もハイカーの群れに巻き込まれて難儀します。
やっとのことで、二俣より左俣コースに向かった為、ハイカーの数が著しく減少していきます(9割近く右俣コースに向かう)。左俣コースの危険な雪渓ポイントをクリアした後、八本歯を経て山頂を目指していくわけですが、ガスガスの中、風雨が強まり、なんと!身体が吹き飛ばされそうになるくらいの突風が吹き荒れる事態となります。さて、この状況で北岳日帰り登山を無事に遂行できたのであらうか・・・。
レポ作成の原動力になりますので、下記1発ランクアップのため、宜しくお願いします。
【予定ルート】:芦安バス停乗車(5:43)⇒広河原バス停(6:43)⇒広河原(6:56)⇒白根御池分岐点(7:30)⇒大樺沢⇒二俣(8:39-8:46)⇒左俣コース⇒八本歯のコル(10:21-10:29)⇒トラバース道分岐点(10:52)⇒吊尾根分岐点(11:13)⇒北岳(11:29-11:49)⇒北岳肩ノ小屋(12:13-12:16)⇒小太郎尾根分岐(12:43)⇒右俣コース⇒二俣(14:13)⇒白根御池分岐点(15:29)⇒広河原(15:50)⇒乗合タクシー乗車(16:05)⇒芦安バス停乗車(17:00)
※歩行距離:13.7㎞ 行程タイム:8h54m
※左俣コースの雪渓(凍結箇所あり)はアイゼン必須です。アイゼンを持参していないハイカーは撤退していました。
AM1時仮眠から目覚め自宅を出発します。芦安バス停5時10分発を確認していたので少々余裕を嚙ましていました。圏央道坂戸IC乗車~甲府昭和IC下車し、南アルプス市営芦安駐車場に4時到着します。バス停近くの第3Pに余裕で停められると思いきや、なんと!駐車場誘導員に既に第6Pまで満車と宣告されます。仕方なくバス停から遥か遠く離れた第7Pに向かいますがスペースがなく、側面に停車させていきます。
バスに乗り遅れるとマズイと思い、速やかに準備を整えバス停まで坂道を上っていきます。第3Pはご覧の通り既に過激な満車状態です。
芦安バス停付近には驚くほどのハイカーが大集結しています。凄いところに来てしまったと後悔しますが、交通費を無駄にしたくないので素直に南アアタック隊の乗車券売場の最後尾に並びます。
乗車券(1,100円)購入後、バス待ちの列に並びます。次から次へとハイカーが集結してきます。まるで何かのデモ隊に参加しているのではないだらうかと錯覚が起きるくらいの夥しい数のハイカーでした。
バスは十数台用意されており、立ち乗りも含め全て満車にさせてから予定時刻を大幅に遅れて出発しました。目的地の広河原までは約1時間の道程で、最初はボォーッと景色を眺めていたのですが、乗車位置が後輪タイヤの真上ということも重なってか、激しい小刻みのアップダウンの揺れにケツの穴が刺激されてしまい、段々顔面蒼白となっていました。(汗)
結果バスでは眠れず広河原に到着です。奥の仮設トイレに立ち寄ってからインフォメーションセンター脇を進んでいきます。
北岳方面を眺めていきますが、山頂はガスの中です。左俣コース含めた雪渓地帯はよく見えています。
このゲートより甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳登山拠点の北沢峠行きのバスが通過していきます。
バッドレスの落石と雪渓上のスリップの注意看板を過ぎて吊り橋を渡ります。
すぐに広河原山荘が見えてきて脇から登山道が続いています。
早速、北岳に向けて登山道に入ります。既に多くのハイカーが先行して入山しているのはわかっていましたが、登山道の追い越しは困難を極め、休憩しているハイカーを一気に追い越す作戦でピークを目指していきます。しかし、この先の大バッティングは予想していませんでした。
徐々に前方にハイカーの群れが現れ、動きはあるものの何かのパフォーマンスなのかなぜか止まって見えます。ここは中央道の小仏トンネルか?沢沿いを暫く歩いていきますが、必然的に速やかな動きを封じられていきます。
岩歩き沢歩きを消化しながら群れから抜けつつ、再び新たな群れに吸収されながら着実に歩を進めていきます。歩いている途中、何組かのハイカーは「俺、もぅ~疲れたから先に行ってくれよぉ~」また別の組は「脚が痛ぇ~から駄目だよぉ・・・」など早くも弱気モードで内輪もめが始まります。まだ登山始まったばかりなのに・・・・。だから渋滞も起きるんだよ。もっと低山で修行積んでからこいよ!と心の叫びを嚙ましていきます。
やがて急斜面が現れグングン高度を稼いでいきます。しかし山頂はまだまだ先です。
やがて沢から雪渓へと変化し、山頂は相変わらずガスの中です。
タカネグンナイフウロ、シナノキンバイ
分岐点の二俣手前より眺める雪渓
右俣コースと左俣コースの分岐点、「二俣」に到達です。多くのハイカーがここで小休止を取っています。側にはバイオトイレが併設されています。
右俣コースより難易度の高い左俣コースで「八本歯のコル」に向かうことにします。ほとんどのハイカーは右俣コースに入っていきました。
手始めの雪渓を渡って振り返ります。続いて暫く雪渓脇の岩場を登り込んで行きます。
いよいよ雪渓登りに入りますので、簡易アイゼンを装着していきます。周囲にいたハイカーは全てアイゼンを装着させていました。10本爪、12本爪が多かった気がします。
私は密集型のモンベル8本爪(2,000円)を装着していましたが、ワイド型の6本爪を持参してくれば良かったと後悔です。雪渓は結構な感じで凍結していて滑ります。途中でノーアイゼンのハイカーは撤退していきました。
雪渓でグングン高度を稼ぎまくります。っていいますか急斜面過ぎて、メンタルがビビル大木モードに変化していきます。この辺りで正面から山女みたいなハイカーがガツガツ勢い良く下って来て、更にビビル大木モードに拍車が掛かります。
下から後続組のハイカーが登ってきていますが難儀しています。前を歩くオジサンハイカーは、実はアイゼン初デビューとのことでしたが、呆気なくスイスイ登っていきます。おまけに踏み跡のルートまで御教示していただき、丁寧なサポートまでして下さいました。
因みに踏み跡はこんな感じ。明確な踏み跡の無い場所は難易度が高まります。ピッケルがあればかなり楽になるだらうと感じます。予想以上に長めの雪渓地帯でした。
北岳バッドレスを眺めながらアイゼンを外していきます。
振り向いて鳳凰三山、後続のハイカーたち・・・・と言っても二俣にいたハイカーの1割満たない程度です。
迫力あるバッドレスを横目に木製の梯子を登っていきます。
結構な体力のいる梯子登りを続けていると「ナナカマド」だぁ!その輝きが私のクリーンな瞳に反射していきます。
酸欠症状を伴いながら「八本歯のコル」に到達です。
こちらには向かいませんが、ボーコン沢ノ頭、池山小屋方面を対極に眺めます。更に側にはイワベンケイが咲いています。
八本歯のコルは標高2,800mを余裕で超えているので、酸素プラスを補給し、単独有酸素登頂のスタイルに切り替えます。しかし、この先からは予想だにしない死の領域、まさしくデスゾーンに踏み入れることになります。
崖際に咲くこの花はキタダケソウ?いや、ハクサンイチゲだ。ん?キタダケソウかな。やっぱハクサンイチゲだらう。見分けがつかねぇ~・・・。
小休止後は再び梯子を登り、北岳アタックに向かいます。
ナナカマドの群生、ほんと北岳周辺は高山植物の宝庫ですね。
この後大岩を登り込んで行く時、風雨が一気に強まっていきます。
レインを着込み高度を稼ぐに連れて、更にガスの濃度が濃くなっていきます。トラバース道分岐を経て山頂方向に進みます。
吊尾根分岐点を通過すると、猛烈な突風に身体が揺さぶられていきます。正直、危険なデスゾーンに入り込んだことを認識しつつも今更ながら左俣コースに戻って、梯子や雪渓を下るのも危険なので、耐風姿勢を取りながらアタックに向かいます。
アタックポイント手前では、暴風と雨、濃いガスに巻かれルート探しに難儀します。
ペイントを頼りにアタックを仕掛けにいきます。そしてリーマンハイカー史上、初の3,000m超えを成し遂げ、北岳にアタック成功です!
山頂標識、三等三角点
山頂でおにぎり1個を補給し、寒さから低体温症にでもなり兼ねない状況のため速やかに撤収です。と言っても山頂には20分ぐらい滞在していました。
下りは肩ノ小屋経由で右俣コースで周回していきます。
濡れた岩場で滑落しないように慎重に下ります。やがて肩の小屋のブルーの屋根の上側に出てきました。
肩の小屋受付前を通過すると、何やら作業員がミニ重機で雨の中作業をしています。受付周辺は大量のハイカーが雨宿りしていて、他の方のこの日のレポを確認するとなんと!北岳山荘まで辿り着けないハイカーが続出し、布団1枚に3人使用、頭と足を交差して寝たとか・・・。悲惨すぎる!しかしながら、先程の状況での北岳登頂も俺悲惨だよ!シリーズに既になっていました。(汗)
小屋含めた北岳の肩(標高3,000m)を改めて一望しますが、雨と突風で長居は無用のようです。
テン場側から広河原に向かいます。
ガスの流れが著しくなっている状況で、テン泊ハイカーたちは強風での幕営に難儀しています。
テン場付近では、ミヤマシオガマを中心に各種高山植物が咲いています。
標高を少しづつ下げていくと、ガスが切れかけ明るさが増していきます。
小太郎分岐に向かいますが、右俣コースから登り込んでくる多くのハイカーと交差し始め、またしても大バッティング状態に難儀していきます。
道中、唯一この尾根だけがまともに見れた輝かしい光景でした。
これから悪天候の北岳にアタックに向かうであらうハイカーたちを見届けていきます。
登り込んでくるハイカーがあまりに多過ぎて、待ち時間が増加していきます。広河原最終便の16時40分発のバスに確実に間に合わないと、魔の林道23キロ歩きを強いられます。絶対、無理っす!
待機中、鳳凰三山・オベリスクをズームで確認したりして、時間を潰していました。
華やかに「シナノキンバイ」が斜面一面に咲いています。
右俣コース下りでは、またまた小仏トンネル並の逆走状態での渋滞に嵌りまくります。まぁ、これから登り込んでくる日帰りハイカーなんて一人もいませんから、たいへんゆっくり登ってきています。というより、私も含め皆さんかなり疲弊仕切っています。下界の人波に揉まれ、北岳に来てもなお人波に揉まれては疲れは増すばかりですかね。
合流地点の二俣までまだまだありますねぇ。まぢでバスの時刻に間に合うだらうか・・・。
鳳凰三山を正面に捉えながら下っていきます。昨年、勝手にムーンウォークで苦しめられた地蔵岳の砂礫地帯を思い出します。
ガスった北岳山頂方面を振り返り、再び樹林帯を下ります。
雪渓を横目にガンガン下ります。
このあたりで小奇麗なレディハイカーと遭遇し少し話込みます。本日はテント泊だそうで、山頂方面の悪天候及び突風を伝えます。ここから肩の小屋まで結構な時間が掛かるはずですが、気合いを入れて頑張っておられました。あ、写真撮り忘れた!と気付いたのは別れてからでした。あの小奇麗さをお見せできないのは残念です。っていいいますか許可得られたらの話ですけどね。因みにスカンを喰らうこともありますので。(笑)
二俣にはハイカーが複数残留しており、一体何処に泊まるのでしょうか。御池小屋かな?
左俣コースの雪渓にズームをかけると、登り込んでいるハイカーが複数確認できます。この時間からあのデスゾーンに入り込んでいくのでしょうか。
最終バスの時刻には間に合うと確信しつつ、欲張って1本前の時刻に間に合うようにやや急ぎます。
沢は雪渓の雪解け水で水量が豊富です。チャッチャカ下って白根御池分岐点を通過します。
樹林帯を下っていき広河原山荘に到着です。
橋から河原を眺めるとテン泊キャンパーも結構います。
広河原インフォメーションセンターが見えてきて安心です。15時50分に到着したので、最終より二本前のバスも余裕でした。バス乗車券を購入しようと売場に向かいますが、乗り合いタクシーのおじさんにタクシーを勧められます。バスと料金は同じで時間も10分ぐらい短縮できるとのことです。
集まり次第発車ということなので、10人乗りの乗合いタクシーで待機します。
待機中、本日の軌跡を回想していきます。ハイカーになって初の3,000m超えはデスゾーン以外何者でもありませんでした。次回以降は確実な快晴を狙っていきます。中途半端な天候では行かない方がいいと実感しました。その後、小刻みなアップダウンの揺れを吸収しながら快適に芦安駐車場(丁寧に自分が置いた場所)まで走行していきます。走行中は大雨が降ってきていました。樹林帯の下りで降られなくて助かりました。
車を回収して癒し温泉に向かう前に、橋を見上げると大量の路上駐車の光景を目の当たりにします。三連休の凄まじいハイカー集結を見届けて、連休中の自分の山行終結を宣言していきます。
置いた駐車場から僅かに30秒で南アルプス市営「金山沢温泉」に到着します。
入館後、10分ぐらいは完全貸切状態で湯舟に浸かり身体を癒します。その後、徐々に人が増えて貸切状態は解消されていきます。本日の手堪えあった山行疲れを徹底的に気持ち良く癒していきます。入浴後は軽くかけうどんを食して帰路につきます。
※最後までご覧いただき、たいへんお疲れさまでした。
■天候:曇りのち雨(山頂付近大雨、猛烈な突風、ガスガス)
■出会った人:バッティング発生状態の大量の数(カウント完全不能状態)
■タイム:6:56~15:50【8時間54分、休憩含】
■形態:単独行
■水分:4.5L(ペットボトル500ml:9本、消費量約2.5L)
■山域:南アルプス
■深Q百名山:第34座目
■出発地点より駐車場までの片道距離:160Km
■その他:
★リーマンハイカー転身以来、初の三千M超えにチャレンジしてきました。三連休の初日ある程度の混雑は想定しており、天候は初日の僅かな晴れ間以外、期待できる予報は出ておりませんでした。従って、想定よりハイカーの数は減少、混雑も緩和されるであらうと甘い考えで北岳拠点の芦安駐車場に4時到着しましたが、過激な満車状態に唖然としてしまいます。あまりのハイカーの数に驚愕し、撤退も視野に入れましたが、交通費を考えると選択肢は登頂の文字のみです。なぜ、天候も優れず、大量のハイカーが押し寄せてきたのか?富士山の世界遺産登録のトバッチリだらうか。富士山混雑なら、2番目の高峰に流れ込むのか?しかし、駆け出しのシロートハイカー(山行経験が極端に浅いと思われる)が多過ぎました。
★左俣コースの雪渓及び八本歯のコル手前の梯子地帯は、今回のコースでの核心部でした。雪渓は凍結箇所多々あり、アイゼン無での登頂はリスクが高まります。梯子地帯では上半身も使用するので、体力勝負の区間です。天候も優れず、寒く感じる場面もあり、ドリンク4.5Lは過剰積載でした。多くのドリンクを残し余計な荷物となりました。
★悪天候が加わった標高2,900m以上は、高山に弱い私にとってまさしくデスゾーンへと変貌していきました。戻るにも八本歯・雪渓は戻りたくないし、右俣コースに行くには山頂を踏む為、高度を上げていかなければなりません。展望期待なし、ただ寒いだけ、ピークを踏むだけの何だか空しい北岳登頂となりました。次回以降北岳を登頂するならば、平日の快晴確実の日に休みを取って再来したいと思います。(勿論日帰りですが、間ノ岳セットなら酸素ボンベ持参で北岳山荘泊になるかな。)
★ほとんどのハイカーが右俣コースから登っていきましたが、結果山頂付近の悪天候に捕まり、北岳山荘泊を予定していたハイカーたちが辿り着けず、肩の小屋に流れ込んだと他のハイカーのレポで知ります。なんと!1枚の布団に3人、頭と足を交互に寝かされ、夜中トイレに行った後は自分のスペースが無くなるくらい壮絶な山小屋内部の状況が伝わりました。下山時、私の登山史上でも過去最大級のハイカーと擦れ違ったくらい大量のハイカーとバッティングしましたから、小屋内部の状況はストロングに納得です。