茂倉岳/武能岳/蓬峠(谷川連峰) 2012/9/15 谷川連峰馬蹄形ルート攻略編
茂倉岳1,977m/武能岳1,759m/蓬峠1,529m 単純高低差1,287m
谷川連峰系山域に入山するのも今回で6回目となり、通常は群馬県みなかみ町側から入山していきます。しかし、今回は谷川連峰馬蹄形未踏の領域を調査するため、新潟県湯沢町側から入山していきます。
当初の計画では、谷川連峰半馬蹄形縦走時計廻りVersion(土合⇒谷川岳⇒一ノ倉岳⇒茂倉岳⇒武能岳⇒蓬峠⇒土合)で挑む予定でした。しかし、修羅場門(白毛門への登り込み)・西黒尾根・巌剛新道などの登り込みに匹敵する「茂倉新道」に挑戦したく、急遽ルート変更をしてみました。
「白毛門⇒笠ヶ岳⇒朝日岳⇒清水峠」、「谷川岳⇔一ノ倉岳⇔茂倉岳」の間は過去に縦走経験がありました。馬蹄形未踏エリアは、「茂倉岳⇔武能岳⇔蓬峠⇒七ツ小屋山⇔清水峠」が残っています。より馬蹄形を繋げるべく「茂倉岳⇒武能岳⇒蓬峠」間を、まずは起点の土樽より茂倉新道を縦走していきます。
道中、過酷な急登の連発を強いられた茂倉新道を登り込み、森林限界稜線上に出た時、恐ろしい突風に見舞われます。予断を許すと吹き飛ばされて谷底へ、なんてこともあり得る超風です。その後、避難小屋経由で茂倉岳登頂後、鞍部まで下ると、目の前に巨大な山容の「武能岳」がガスの中から姿を現します。あまりに巨大に見えた武能岳からは、改めて自分の無能さを思い知らされることとなります・・・・。
レポ作成の原動力になりますので、下記1発ランクアップのため、宜しくお願いします。
(ルート)土樽PA裏側駐車場(6:04)⇒(茂倉新道)⇒矢場ノ頭(7:54)⇒茂倉岳避難小屋(9:00~9:15)⇒茂倉岳(9:27~9:31)⇒笹平(10:09)⇒武能岳(10:53~11:11)⇒蓬峠(11:50)⇒(蓬新道)⇒東俣沢出合(13:26)⇒土樽PA裏側駐車場(14:36)
AM3時湯沢町に向けて自宅を出発し、久しぶりの関越トンネル越えをしていきます。過去何十回と抜けていた関越トンネルでしたが、土樽PAに寄るのは今回がお初です。まだ薄暗かったので、寝過ぎないように軽~く仮眠をしていきます。
明るくなりかけてから、湯沢ICを下車して、ビクトリアタワー、岩原スキー場を横目に見ながら土樽駅に向かい走行していきます。
土樽駅まで行くと、50代くらいのベテランハイカーが自転車を押しながら駅に向かってきました。山岳救助隊っぽく見えるハイカーは、近場に車を置いてチャリで土樽駅に来たそうです。土合駅で下車して、谷川岳~万太郎山~土樽駅の縦走をするとのことです。私が計画ルートの茂倉新道から登るコースを説明すると、違うコースから登ることをストロング推奨されます。「あのコースは止めた方がいいよ!この間も団体がくたばっていたよ・・・」と脅されます。
一緒に私を土合駅まで乗車させて、万太郎山縦走に巻き込みたかったのか?単に軟弱ハイカーに見られただけなのか?(最近残業の連続で顔がやつれていた)・・・は定かではありませんが、とにかく茂倉新道の登り込みは相当厳しいらしい。
昭文社の地図に載っている駐車場(100台)は、土樽駅方面に行かず、正面に見える橋を渡っていきます。
道なりに進んでいくと、茂倉岳への道標がありました。上り線土樽PAのすぐ裏手を廻り込んで進みます。
昭文社地図では、100台と掲載されている駐車場は、目視で40台~50台のスペースに見えました。先行者と思われる2台の車だけが停まっています。トイレはありませんので、事前に土樽駅、コンビニなどで済ませておくことをお勧めいたします。
私は突発的に催し始めた下っ腹をすっきりさせるため、草むらに入り瞬間的なキジウチを討ちにいきます。しかし討ち込み中に、車が進入してくるエンジン音が聞こえてきたので、早急に終えて藁で隠してその場を離れます。(汗!)
スッキリさせて軽くなった身体で、茂倉新道に立ち向かう準備を整えていきます。
初っ端から急登の連続が待ち構えておりました。奥多摩・奥武蔵系の急登コースを竹刀を持った部活動の先輩に20本ぐらいやらされるイメージです。
再び過酷な登り込みに、汗を噴き出しながら高度を稼ぎにいきます。
一気に周囲の山々の眺望が利き始めます。確かに、バテるハイカーが続出するのも納得できる登り込みです。このあたりで、ダブルステッキを駆使したハイスピードな若手ハイカーに道を譲ります。
そして登山道は、木の根が張り詰めた歩き難いコースへと変化していきます。
万太郎山方面は、厚い雲に覆われて強風が吹き付けてきます。眼下に見える土樽PAには、晴れ間が射しています。
矢場ノ頭に続く稜線に出てきました。仙ノ倉岳・平標山方面には、まだ雲が掛かっていません。
進行方向右側から吹き付けてくる「万太郎下ろし」に当たりながら、踏ん張りを効かせていきます。
小じんまりとしたピークの「矢場ノ頭」に到達です。ここから先は一旦鞍部に下り、アップダウンを繰り返しながら、茂倉岳にアタックしていきます。
矢場ノ頭から確認した茂倉岳に続く稜線、茂倉岳はガスに巻かれています。
万太郎下ろしに注意を払いながら、稜線歩きをしていきます。万太郎側右下は、穏かに切れ落ちています。
樹林帯の急登に比べれば、脚部への負荷は軽減されていますが、風が徐々に強まっています。大規模な氷河の跡を観察しながら進んでいきます。
関越トンネルの排気口を谷間に確認します。振り返って矢場ノ頭です。
晴れ間が射したり、ガスったりと目先のピークを目指していきます。
目先のピークを登り上げると一瞬、先がホワイトアウトチックになっています。
時より強まる万太郎下ろしの突風に耐えながら、稜線歩きを進めていきます。本来なら、気持ちの良い稜線歩きが出来るはずが、諸に風の煽りを受けています。
そのまま稜線を登り込んでいくと、ガスの切れ間に避難小屋が見えました。山頂が近くなったことが伺えます。
茂倉岳避難小屋に到着です。向かって左側はトイレです。水場は溜まり水はありますが、枯れています。
強風の煽りを受けて体力を消耗していましたので、小屋内部の見学含めて小休止していきます。小屋に入ると先客ハイカーが5名休んでいました。シュラフが複数置いてありますが、小屋備え付けのようです。詰めれば20~25名は宿泊できそうですね。しかし、緊急避難的施設なので、宿泊目当てには来ないほうがいいだらう。
15分ぐらい休憩した後、茂倉岳アタックに向かいます。周囲はガスガスです。
小屋からは10分もかからず、茂倉岳に到達します。1年ぶりの茂倉岳登頂成功です!山頂は貸切状態です。
昨年歩いて来た一ノ倉岳に続く稜線は、ガスで全く確認できません。正面に見えるはずの谷川岳、万太郎山も濃いガスの中です。そして激しい突風が吹き付けてきます。頂上には3分もいられないと判断し、すぐに周回ルートを目指すことにします。
著しいガスの流れが弱まっていくのを感じ、笹原地帯を通過していきます。
やがて、正面に聳え立つ「武能岳」が、ガスの切れ間から姿を現します。
まるで私のアタックを待ち構えていたかのように、急激にガスが消滅していきます。
そして晴れ間が射してきます。私が無能なだけに・・・武能岳に・・・。
稜線上から眺めが利いている朝日岳、笠ヶ岳一帯の山頂部は、厚いガスが掛かっています。
稜線前後の誰の姿も見えない貸切状態で、周囲の景色を味わいながら、高低差150mを登り返していきます。
新潟県側は晴れています。谷川岳は相変わらずガスに覆われています。
徐々に武能岳との距離を詰めていきます。このあたりで正面から下ってきたトレランハイカーと擦れ違います。当たり前ですがかなり軽装でした。何処から廻ってこられたのでしょうか。まさか修羅場門から?
アタック体制に入りつつ、眼下の土合橋に続いている沢を眺めていきます。
蓬峠方面を眺めると、土合駅に下りるルートや蓬ヒュッテが確認できました。
七ツ小屋山、大源太山と確認し、振り返って、望遠で先程のトレランハイカーを捉えます。恐るべし、トレランハイカー速すぎです。
武能岳では風が治まっていました。茂倉岳で寛げなかった分、スニッカーズなどでエネルギー補給しながら休憩を取ります。
山頂より展望の利いている朝日岳~白毛門、谷川岳は未だにガスに覆われています。
起点近くの土樽PAを望遠で捉えて、蓬峠に下る準備を整えていきます。
時より目に付く高山植物を観賞しながら、高度を下げていきます。
笹原まで下ると正面に、上越のマッターホルン「大源太山」が鋭角に聳え立っています。
フラット気味の登山道を歩いて行くと、土合駅に通じる分岐点に出ます。谷川連峰半馬蹄形縦走時計廻りVersionを行う場合、この分岐点より土合駅に下っていきます。
土樽方面に少し進んでいくと、蓬ヒュッテが確認できました。小屋前で誰か作業している姿が見えています。
蓬ヒュッテに近づくとテン場らしきスペースもあります。先程作業していた管理人らしき人物は見当たりませんが、小屋内部より釘打ちをしている音が聞こえています。
蓬ヒュッテ内部は覗きませんでしたが、40人ぐらい宿泊可能なのでしょうかね。
まずは九十九折りに、10分先にある水場まで下っていきます。途中山ガール含めたハイカー3人と擦れ違います。水はチョロチョロ水で、普段からあまり期待できる水場とは思えませんね。
遥か遠方に見えている土樽PA側まで戻らなければなりません。長く退屈な蓬新道を我慢しながら歩き続けていきます。道中数匹の蛇を足元で見かけていきます。
結構な距離を歩き続けたつもりでしたが、まだ蓬新道の4分の1程度の位置にある広場でした。
また、暫~く蒸し気味の樹林帯を下っていき、東俣沢出合に到達です。この間、登ってくる単独オヤジハイカーと擦れ違います。清水峠まで行くと言っていたので、あの避難小屋かぁ・・・と感心です。
その後は、蛇でもいたら踏んづけてしまいそうな雑草地帯歩きがあります。ここ一番の難所・・・というよりジメジメした嫌な道でした。
嫌らしいくらいの長い樹林帯歩きを終えて、今度は砂利林道歩きが始まります。
この林道も追い撃ちをかけて退屈で長い歩きでした。やっと土樽PAが見えてきて、ホッと一息が付けます。
土樽PAの裏側を廻り込んで駐車場に14時36分帰着です。休憩含めた全行程時間は、約8時間半でした。駐車場は、マイナーな場所のせいか私の車含めて5台のみです。
下山後は、約8キロ先にある湯沢パーク施設内にある「薫風の湯」で、谷川連峰(茂倉~蓬峠間)縦走後の疲れを癒すため立ち寄ります。約17~18年前によく湯沢パークはスキーで利用させて頂いていました。セブンイレブンでリフト(ナイター込)券(昼食・温泉セット)で、当時としては破格な値段で販売されていました。
私が入浴した時、丁度ゴルフのオヤジ軍団が撤収したので、暫しの間、貸切が堪能できました。温泉癒し後、役人時代の同期(マジンハルオ氏)やメタボ先輩たちとよく密集滑走をしたゲレンデを一望していきます。懐かしいなぁ・・・。
その後も湯沢パーク周辺を眺めて、過去を回想していきます。滑走経験はないのですが、初心者に易しいゲレンデと言われていた「岩原スキー場」が見えています。
湯沢パークには、仮眠するスペースがなかったので、湯沢IC乗車してから上り線土樽PAで、登頂してきた茂倉岳方面を確認してから、1時間ぐらい仮眠していきます。仮眠後は、爆発的集中力発揮で安全運転で自宅に戻ります。
■天候:晴れ時々くもり、茂倉岳では突風&ガスリ
■出会った人:11人(茂倉新道1人、茂倉避難小屋5人、武能岳手前1人、蓬新道4人)
■タイム:6:04~14:36(休憩含)
■形態:単独行
■水分:5.2L(ペットボトル500ml他:10本持参)
■山域:谷川連峰系
■その他:
★谷川連峰半馬蹄形時計廻りVersionを直前で変更し、茂倉新道の登り込みを選択してみました。新潟県の土樽側では、相対する谷川岳側から入山するよりも静かな登山が楽しめます。そして、ロング&急登にも苦しめられますが、非常にいい経験を積めると思います。
★土樽駅でベテラン風のハイカーに、茂倉新道の厳しさを心配されて、ルート変更を提案されましたが、当の本人は万太郎縦走大丈夫だったのでしょうか。終始、万太郎下ろしと谷川下ろしが吹き荒れていた模様でした。そのベテランハイカーは余計な心配もありましたが、親切に駐車場の場所を御教示してくれたりと感謝です。
★谷川連峰馬蹄形縦走ルートで、未踏エリアは七ツ小屋山含めた清水峠~蓬峠間のみです。あとは来年の本番で、どれだけ自分を極限にまで持っていけるかが勝負の分かれ目になるであらう。
★以下、経験済の谷川連峰急登コースを、私的に難易度の高い順にランク付けしてみました。
①修羅場門(土合橋⇒白毛門間のワイルドな登山道のこと。ゆうやけハイカーとの間で通じている名称)②茂倉新道③西黒尾根④巌剛新道