鳳凰三山 2012/7/15 深Qの日本百名山登頂シリーズ~南アルプス編~(日帰り縦走)
鳳凰三山(ほうおうさんざん)観音岳2,840m/地蔵岳2,764m/薬師岳2,780m 単純高低差1,690m 累積高低差約2,000m(日帰り縦走)
南アルプスの入門コースと言われている鳳凰三山に、天候とスケジュールの合間を見計らって、遂に立ち向かう決意をしました。鳳凰三山とは、一般的に薬師岳・観音岳・地蔵岳の三山を総称した呼び名です。縦走する花崗岩稜線上は、白砂やハイマツに覆われており、白峰三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)や富士山の展望を楽しみながら縦走できます。
日帰り縦走で立ち向かった私は、尽いてないのか?手練なのか・・・。道中各種アクシデントが発生します。車中泊睡眠3時間からのスタートを切り出した後、徐々に身体が慣れ始め、コンディションが上向きになっていきます。しかし、超ヘビー級の急激な登り込みに、鳳凰小屋到着前に両脚大腿部痙攣に暫く苦難します。大幅なロスタイムが生じる中、撤退を本気で考えました。
そこで、普段活用しないステッキと一時的なテーピングで難を凌いでいきます。しかしその後、更に壮絶なアクシデントが襲ってきます。①歯が抜ける②高山病で頭痛が激しくなる③腹にガスが溜まり、おならが止まらない④勝手にムーンウォークになってしまう砂礫地帯では、いたずらに攣った脚部が刺激される・・・・・・etc
こんな状況で果たして、無事にヘビー級の日帰り縦走を達成することができたのだらうか。
レポ作成の原動力になりますので、下記1発、宜しくお願いします。
(ルート):青木鉱泉(5:30)⇒南精進ヶ滝(6:52)⇒鳳凰ノ滝(7:30)⇒白糸ノ滝(8:27)⇒五色ノ滝(9:24)⇒鳳凰小屋(10:14)⇒地蔵岳(11:17)⇒赤抜沢ノ頭(11:40)⇒観音岳(12:53)⇒薬師岳(13:25)⇒御座石(14:46)⇒廃墟小屋(17:15)⇒青木鉱泉(18:09)
前日の22時30分、鳳凰山アタックに備えて早々と自宅を出発です。圏央鶴ヶ島IC乗車~圏央道~中央道~双葉SAに0時15分到着します。周囲に車中泊らしき車が多い中、20分ぐらい寛いでから車内3列目で横になります。その後3時間の睡眠を経て、再び青木鉱泉目指して出発です。
国道20号北杜市方面に進んで、桐沢橋東詰を左折して突き当たりを右折します。射撃場前を通過していくと、青木鉱泉への看板があるのでひたすら突き進みます。途中ダートな道を通過しますが、15キロの道程のうち1キロ程度は我慢です。
青木鉱泉の駐車場に到着すると、驚くことに満車に近い状態でした。焦って車から飛び降りて、空いているスペースを探すと奥の方が空いていました。
駐車場から青木鉱泉に向かうと既に、受付のオヤジがいました。750円(1日)を支払って半券をフロントガラスの見えやすい場所に置いてくれとのこと。一旦、バックして車まで戻ります。受付を済ませるのに、ザックは背負わないで行ったほうがいいですね。
ドントコ沢登山道より、今年の達成目標のひとつであった「日帰り鳳凰三山縦走」に向けて、5時30分登山開始です!鳳凰三山概念図をしっかりと目に焼き付けていきます。
工事中の道を進んでいくと、いきなり背後から鈴を鳴らしながら、ハイスピードな単独女性ハイカーに抜き去られます。彗星のように速すぎるスピードでスタミナ持つのだらうか・・・。きっと山小屋関係者かな?
そして小武川第三砂防堰堤の脇を通過してから登山道に入ります。
実はここで「登山道」と白く記載されている箇所を、真っ直ぐ直登してしまいます。違和感を感じつつも悪路に突っ込んでいき、余計な高度を稼いでからやっぱりおかしい・・・ということに気付き戻ってきました。すると表示向かって左手に道がありました。ロスタイム及び余計な体力を消耗しました。
川沿いルートを通り小休止していると、カップルトレランハイカーが急登に突入していきます。その後暫く、このカップルトレランハイカーとデッドヒート状態となっていきます。
グングン高度を稼いでから、南精進ヶ滝へと沢筋に下りていきます。
まずはドンドコ沢最初の見どころ「南精進ヶ滝」を、眺めながら登り込んでいきます。
先を進んでいくと、再びトレランペアにキャッチアップしていきます。
再び樹林帯に入り登り込んでいくと、今度は「鳳凰の滝」分岐道に出ました。話のネタに立ち寄ってみることにしました。
200mぐらいアップダウンしていくと、「鳳凰の滝」観爆ポイントに出ました。私的には、日本三大名瀑の「袋田の滝」や「華厳の滝」を観爆していたので、大したことのない滝だな・・と感じました(比較対象が違いすぎますけど)。価値の薄さに立ち寄ったことを後悔します。
トレランペアも同じく鳳凰の滝に立ち寄っていたので、再び前を歩いています。次は白糸の滝を目指していきます。
崩壊気味の登山道を進むと、徐々にハイカーの渋滞が始まります。この辺りは、まだ私の身体のコンディションが良好な状態でした。
そして「白糸滝」に到着です。急激な高度稼ぎで、大腿四等筋に違和感を感じ始めます。ここでは既に滝への関心は薄れていましたのでスルーです。
そして五色の滝に通じる急激な登り込みで、惨劇が起こります。違和感を感じ始めていた太モモの大腿四等筋が、遂に大きな悲鳴を上げることになります。それは身構えることなく、突然両脚が攣ることに最大の苦戦を強いられます。
悲鳴を上げた太モモを必死にマッサージしますが、鳳凰三山の急激な高低差に脚部がビックリしてしまったようです。何度か体制を整えて歩き込みますが、全く回復しません。暫く立ち止まったり休んだりして、ごぼう抜きしたハイカーたちに逆に追い越されていきます。そして大幅なロスタイムの発生です。
その後も五色ノ滝に向かいつつ、急坂を苦しみながらゆっくり歩を進めます。立ち止まっては、脚部を揉みほぐして真剣に撤退を考えていきます。
惰性で行ける所まで行ってみようと、脚を引っ張りながら上昇していきます。そして執念で「五色滝」に到達しました。しかし滝を見るには、少し先を下らなければなりませんので、五色滝の観爆を諦めます。
五色滝の先で再び大腿部が痙攣に襲われます。95%撤退を本気で考えました。そして、鳳凰三山撤退のレポ作成のことまでも考えていました。何か対処法があるだらう・・・とマイナス志向になったメンタル面を無理やりプラス志向に切り替えます。ザックに入っていたテーピングを大腿部に巻きつけてみます。しかし、途切れてしまい一重のみ。そして究極の選択、必殺ステッキ活用を試みます。
少しづつ頑張ってみることに。地蔵岳はまだ高い位置に見えています。ここで下ってきたハイカーに鳳凰小屋までの位置を訪ねると、「まだ30分はあると思いますよ。でももう少し上がれば平坦な道が出てきます。」との情報を頂き、少しやる気が出てきました。
ステッキを駆使しながら、傾斜の落ち着いた道に出てきました。すると樹間からオベリスクを確認します。ヘバッテいた全身に闘志が漲ります。
ここは登山道の交差点にもなっているようです。鳳凰小屋前のベンチに、重いザックを下ろして小休止です。脚部痙攣との格闘から、精神的にも肉体的にも激しい消耗状態です。
6~7人の小屋のスタッフたちが、小屋に到達してくるハイカーたちに「お疲れ様!」と優しく声を掛けています。小屋のオヤジにトイレの場所を聞いて、用足しをしていた時です。なんと!いきなり歯(差し歯)が抜けました!最悪です。
テン場の様子を少し眺めてから、地蔵岳1キロの道標を進んでいきます。
鳳凰三山最高峰の「観音岳」を確認して、急坂を登り込んでいきます。
急坂に耐えながら高度を稼ぐと、周囲の環境がガラッ!と変化していきます。下山してきた学生風の若い男女5人組ハイカーに、山頂からどのくらいかかったか尋ねると、「10分で下ってきました!」と元気に返答されます。山頂が近いことが伺えました。
「ゆうやけハイカー鳳凰三山編 」で紹介されていましたこの砂礫地帯は、歩くと「勝手にムーンウォーク」になってしまう登りで入ると非常に難易度が高くなる地帯です。
勝手にムーンウォークでは、いたずらに攣った脚部が刺激されていきますので、なるべく踏み跡を選びながら、少しずつオベリスクに近づいていきます。
こんな場所でムーンウォークを決めたくありません。できるなら舞台の上で(笑)。周回コース中、ここが一番苦しめられた箇所でした。逆に下っていくハイカーたちは、富士山の砂走りのようだと叫んで、一気に急降下していきました。
そして遂に危機一髪を乗り越えて「地蔵岳」に登頂成功です!目の前にはオベリスクが切り立っています。とてもではありませんが、オベリスクを登攀する気力など持ち合わせておりませんでした。
地蔵岳ということもあって、山頂には地蔵の石仏が沢山置いてあります。
大幅なロスタイムが生じていたので、日帰り縦走完結するのに、あまり山頂で寛いでいる時間がありません。抜けた歯を再確認したり、酸素濃度が薄くなっているので酸素補給をしたり、次の地点への縦走準備を整えていきます。因みに「単独有酸素登頂」のスタイルに切り変わります。
オベリスクを振り返ると、登攀しているハイカーが数名見えました。
少し登っていくと、赤抜沢ノ頭に到達です。風が吹いていたので肌寒く感じます。
快晴であれば、目の前には白峰三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)の眺望が見事だと思いますが、北岳他の山頂部はガスで確認できません。白峰三山の土台だけ観賞している光景です。
ここからは鳳凰三山縦走ルートの稜線歩きとなります。展望はイマイチで残念ですけど、稜線歩きでは更なる悲劇が肉体を襲います。原因不明のガスが急に腹に溜まって、なぜか歩く距離に比例しておならが止まりません。なぜだかよくわかりませんけど、この後稜線歩きをしている時に、累計25発を噛ましていきます。幸い背後には誰もいませんでした。(爆)
再びオベリスクにズームを合わせると、複数のハイカー集団が取り付いていました。
観音岳に徐々にアプローチしながら、ハイマツ・白砂地帯を歩いていきます。
オベリスク岩塔にズームを合わせると、なんと!ハイカーがトップに座り込んでいます。相当な熟達者でしょうね。
稜線を登り込み、鳳凰小屋分岐点に到達です。地蔵岳⇔観音岳のほぼ中間地点です。
観音岳山頂にアプローチしてきました。ここよりアタック体制を整えていきます。
甲斐駒があと一歩で見えそうですが、残念ながら雲が邪魔をしています。
山頂部はそれほど広くなく、地蔵岳ルートから集団ハイカーがアプローチしてきたので、薬師岳に向かうことにします。
薬師岳山頂まで30分の表示あり、見た目もアップダウンは少なそうです。
見えていないと思いますけど、塩見岳・聖岳方面の青空を眺めます。花崗岩の岩稜歩きはまだ続いています。ようやく腹に溜まっていたガスも全て出し尽くした感があり、平常を保っていました。
白峰三山を目の前にしながら、平坦な白砂・ハイマツの稜線を歩いていきます。もう勝手にムーンウォークにはなりませんので安心です。稜線上の風は、ややひんやりとした冷たい風が吹いていました。
白峰三山が正面に聳えていますが、山頂部は相変わらず雲に隠れたままです。風の当たらない盾となりそうな岩の前で寛いでいきます。
ここでマイクロストーブでお湯を沸かし、山頂カップヌードル!と気合いを入れてみましたが、酸素濃度不足からくる頭痛と極度の疲労から半分も食べれませんでした。
日帰り縦走なので、薬師小屋には寄らずに青木鉱泉への周回コースを辿ります。ここより標高1600m近く下げなければ下山できませんので、気が重たい感じです。
少し下がった所で数名のハイカーが写真撮影をしています。何かと眺めてみたらニセオベリスクでした。「青木」と赤くマーカーされた方向を進んでいきます。
御座石は巨大で、今にも滑り落ちていきそうなイメージがありますので、サッさとこの場を立ち去ります。
黙々と標高を下げていくと、ダブルステッキを使用したおじさんを追い越します。更に黙々と下った先で、還暦は過ぎたであろうオバサンハイカーが座っていました。休憩がてらに10分ぐらい話込みます。どうやら先程追い越してきたおじさんのペアとのこと。関西からお越しで、聖岳のトレーニングにきていて、昨日は鳳凰小屋泊、本日は下山後に青木鉱泉泊とのことでした。私は脚を攣ったと話すと他にもいましたよと話されます。お互いの健闘を祈って、お先に下らせていただきます。
暫くすると長い熊笹地帯に入ります。登山靴をNorth Faceのダウラギリに代えてから足裏への痛みが出なくなりました。相変わらず、脚部本体は痛ぇ~んですけどね。
標高を下げていくにつれて、ガスが濃くなっていきます。チャッチャカは下れませんので、シングルステッキを駆使して、脚部負担を軽減させる下り方をしていきます。
青木鉱泉の道標を見つけて安心します。しかし、長く連続した展望の利かない樹林帯下りに、いい加減ウンザリしていきます。
最終樹林帯下りでは、これでもか!と延々と続くジグザク下りを強いられます。やっとの思いで目印になっている廃墟小屋の脇を通過していきます。
中道登山道入口に出ると更に、青木鉱泉まで林道歩き40分が待っています。
数名のハイカーたちが周回コースを辿っていました。途中青木鉱泉へのショートカットを利用できるのですが、河川増水により通行禁止です。大回りして橋のルートから廻り込んで戻ります。
薬師岳山頂表示にあった時間とほぼ同程度で下ってきました。駐車場には多くの車が停まったままです。連休の真ん中ですから、宿泊者も多いことでしょう。何とか日没前に下れて、安堵の気持ちで着替えをしていきます。
下山後は、道の駅にらさきの前にある「ゆーぷるにらさき」に立ち寄ります。アクシデント連発の約13時間の行程を終えて、疲弊仕切っている肉体を思う存分癒しまくります。入浴後は「すきや」に寄ってから、韮崎IC乗車⇒圏央道で帰宅するつもりが、小仏トンネル付近で30キロの渋滞が発生!大月⇒八王子間約3時間の表示を見て、高速を下りて、雁坂トンネルから帰宅しました。
■天候:曇り時々晴れ
■出会った人:100人ぐらい
■タイム:5:30~18:09
■形態:単独
■水分:4.5L(ペットボトル500ml:9本持参)
■その他:
★青木鉱泉発のヘビー級鳳凰三山縦走周回コースを無事に終えました。アクシデント発生など標準タイムにほど遠い難儀な縦走となりました。深Q百名山第22座目登頂成功は、自分にとって大変インパクトが残る山行となりました。年末に作成予定の勝手に年間拷問ランキングで、確立高くトップになると予想できる究極の拷問ルートでした。
★谷川連峰馬蹄形縦走より、鳳凰三山周回ルートの方が全然楽チンだよ!と以前よりゆうやけ師匠からアドバイスを受けておりました。鳳凰三山日帰りルートをギリギリ縦走してきた私にとって、谷川連峰馬蹄形の凄さを想定できるようになりました。来年に向けた攻略法を練っていかなければなりませんね。
★脚部痙攣は、やはり大腿四等筋前部に掛かる負担を、いかに他の部位へ分散させ、筋肉を消耗させない歩き方をしていくか・・・超緊急的な課題項目となりました。低山縦走トレーニングを利用して、歩き方(特に登り込み)の研究に励んでいきたいと考えます。
★地蔵岳手前の「勝手にムーンウォーク」では、かなり厳しい洗礼を受けました。この機会に是非、お試しする価値ありです!下界でのムーンウォークが、きっと上達できるはずですよ。
★トラブル・アクシデント連続の道中の為、コースタイムは全く参考になりませんので、ご了承ください。