巻機山 2012/6/23 深Qの日本百名山登頂シリーズ
巻機山(まきはたやま)1,967m 単純高低差1,237m
機織りの神として山麓の人々の信仰を集めている巻機山は、上越国境の名山として知られています。御機屋(おはたや)とも呼ばれる山頂部には、池塘が点在する美しい高層湿原が広がっているのが特徴的です。深Q百名山登頂シリーズも今回の上越名山で21座目となって参りました。
当初計画では、栃木県にある同じく深Q百名山の登頂を予定しておりましたが、不安定な天候を理由に、グループメンバーからキャンセルの嵐を受けることになります。急遽、代替案に切り替えて、上越国境1峰の登頂計画を考案してみると、裏妙義に同行したチャイニーズハイカーが名乗りを上げての参戦となりました。
当日は濃霧注意報が発令されており、登り始めから雨の洗礼を受けることになります。9合目を過ぎたあたりから、なんと!空のシルエットが好転していきます。しかし、山頂を目前にして、信じられないアクシデントが自分の身に降り掛かってきます。その勲章は、徐々に後半の山行に影響を及ぼしていくこととなっていきます・・・。
レポ作成の原動力になりますので、入山前に下記1発、宜しくお願いします。
(ルート):桜坂駐車場(5:30)⇒五合目(6:30)⇒七合目(7:40)⇒前巻機山(ニセ巻機山)(8:30)⇒巻機山避難小屋(8:40)⇒巻機山(9:35)⇒牛ヶ岳(10:12)⇒巻機山(10:37)⇒井戸尾根コース(ピストン)⇒桜坂駐車場(13:43)
AM0時30分最寄駅で同行者のチャイニーズハイカーをピックアップしていきます。関越自動車道東松山IC⇒塩沢石打ICまで一気に走行していきます。途中、関越トンネル11Kキロを抜けると問題のなかった天候は、雨に変わっていました。塩沢石打SAで少々雨の中作戦会議です。
天候的に問題のない区域の赤城山・男体山へのシフトも検討しましたけど、ここまで来たら突っ込むしかないとの同行者の意見を尊重して、ICを下車して巻機山登山口に向かいます。
清水の集落から10分ぐらい車で上がっていくと、桜坂駐車場(有料500円、トイレ有)に到着です。巻機山はガスに隠れて見えません。
新調したNORTH FACEの靴(25千円の半額)を準備して、レインなど装着して登山体制を整えていきます。白い物置小屋風の建屋はトイレです。
登山口方向奥側にも駐車場がありました。米子沢からの登山は遠慮して下さいとの看板が設置されています。
天狗尾根(上級コース?)には入らず、井戸尾根コースからピストンの予定で登山口に進入していきます。
再び急坂に入り、テニスで鍛えている同行者のペースが上がり始めます。大変苦しい場面に突入していきますが、雨の中他のハイカーたちも同様に苦しんでいます。しかし、同行者はバシバシ追い抜いていきます。
約1時間登り込んで、五合目に到着します。そして休憩なしで先を進んでいきます。新調したカメラを雨で濡らせたくないので、少々撮影は控えることにします。
同行者のペースに引っ張られる感じで六合目に到達です。晴れていれば、ここから天狗岩が見えるはずですが、ガスっていて視界が利いていません。
あまり、気合いの入らない私の身体に追い撃ちをかけて、悪魔のささやきが心の中で聞こえてきます。「もういい、雨の中ここまで頑張った。今まで他の山でも充分頑張ってきた・・・。」苦しがっている身体を庇うため「撤退・・・」とも考えますが、単独ではないので行ける所までやってみるか!と自身に鞭を打っていきます。
六合目より先も滑り易い急坂を登り込んで、グングン高度を稼いでいきます。斜め上方向に見えていた割引沢の雪渓の位置が、グングン目線の高さに変化していきます。
容赦のないくらい濡れたガレ場を登り込んでいきます。身体は相変わらず雨に打たれた状態です。段々身体が悲鳴を上げるようになってきました。
高低差1,000m以上の雨の中の登山はキツイ。巻機山の洗礼を受けながら七合目に到達です。蒸した暑さも雨でレインが脱げず、ザックカバーでドリンクも気軽に取り出せなく、やや水欠状態になっていました。ここで小休止をしていきます。
小休止後、ガレ場登りは続きます。山頂部の視界はガスで遮られています。このまま濃霧濃厚路線を考えていた私は、山頂をGETしたら、とっととピストンで下山だな・・・といったモードでした。
雨の中でも気合いの入っている同行者に追尾していく形で、七合目半を超えていきます。
ニセピークが見えてくると、少し踏ん張りを効かせて上昇していきます。八合目に到達です。気合いの入らない身体を酷使して、着実に山頂に近付いてきていました。
八合目からは更に身体を酷使する急坂を、次のニセピークに向けて高度を稼いでいきます。運良く森林限界を越えてから雨が弱まってきました。
チャンスを狙いニセ巻機山とも呼ばれている前巻機に、アタックを仕掛けにいきます。
九合目のニセ巻機山の登頂を成功し、くたばっている勇姿を同行者に撮影していただきます。雨は上がってきていましたが、打たれ続けていた身体はまだ重い感じがします。
ガスって視界の利いていなかった巻機山の残雪部分が、除々に見えてきました。鞍部まで下ると避難小屋が見えてきます。
巻機山避難小屋の前に立つと、天候が回復してきていました。少々見学がてら、疲弊した身体を小休止させるため中に入ります(しかし、のちに癒すどころか悲惨な体験をしてしまいます!)。小屋は新しく再築したようでとてもきれいに整備されています。
梯子を使って2階部分の見学にいきます。窓の景色はGood!です。
2階フロアは広くとてもきれいです。奥にもスペースがありますけど、カップル向けに占領されそうな部分ですね。あまりの清潔感に驚愕していきます。
そして小屋内部をゆっくり見学できたことに満足できた私は、上ってきた歩幅の狭い梯子を一段一段下りて行きます。2、3歩下りていくと・・・・ガタガタ・・ガタ~ン、バシィッ!なんと!物凄い音が小屋の内部で響き渡ります。すると、同行者のチャイニーズハイカーが悲鳴を上げています!
なんと!悲鳴を上げていた同行者には、何も起こっていませんでした。代わりに私の身に・・・・。(劇場型超悲惨体験です!)
悲鳴が聞こえた瞬間、何が起きたか理解できず、自分の視点が1m下がっていることに気がつきます。そして、肘部分が俄かにジ~ン!と痛み出してきたことを認識します。ズボンの裾が濡れていて裾をズッテ下りたら、滑って1m滑落していました。しかも、新調したカメラを守るため、両腕肘部分を階段三段連続で強打しながら滑落していました。
「やっちまったぁああ!」痛みを堪えるためスーパーサイア人に変化するかの如く、身体を丸めながら脇を引き締め、全身を力ませて拳に力を入れます。数秒間、全身力んでいたら、痛みが抜けていきます・・・・。ほんと、ドジですよね。的外れな事ばかりやってしまいます・・・・。(大汗!)肉体的というより、精神的ダメージを負った私は、更に小休止してから小屋を出ます。(のちに握力が無くなくなっていくことに難儀します。)
何も無かったかのように小屋の外に出ると、なんと!腕の痛みを忘れさせてくれる晴天です!(実際はまだ痛い)。割引岳もしっかりと確認できます。
驚くことに太陽の周りに虹が丸くできる現象の「日暈(ひかさ)」を見ることができました。
登頂意欲が湧いてきます。ニセ巻機も視界良好で確認できるようになりました。
遠方に山頂上部だけ確認できる山を望遠で捉えます。何処の山かわからない・・・北ア?。
少しづつ高度を上げていくと巻機山の女性的な優しいなだらかな山頂が見えてきます。
女性的な山容を眺めていたら、山頂から20人前後の集団ハイカーが下山してきます。肉眼で良く確認できなかった私は、マダムハイカーの集団が下りてきたものかと思い、フェロモンの香りでの悩殺を警戒します。このまま交差するとアタックに支障が生じるかもしれない・・・とやや焦ります。
まだ集団との距離がありましたので、割引岳を眺望しながら前進していきます。
山頂にアプローチしていくに連れて、集団ハイカーの中に、オヤジハイカーたちが含まれていることを確認できると、少し安心です。20人フルにマダムハイカーだったら確実に悩殺だね。薬物みたいなものです。
やがて集団と交差していくと、一人ひとり元気よく挨拶させていただきます。マダムの中の半分ぐらいは、小奇麗なマダムでやや足元がクラクラしてきました。
気を取り直して、山頂にアタックを仕掛けにいきます。振り返ると、歩いて来た地塘がきれいですね。
遂に山頂に脚を踏み入れ、登頂成功です!時刻は9時35分、途中アクシデントが発生しましたけど、約4時間での登頂でした。山頂標識の奥には、牛ヶ岳が見えます。
山頂より周囲を眺望していきます。雲が残っていて遠方の眺望は利いておりませんが、山頂部は晴れてラッキーです。
山頂到達時、雨ならすぐに下山と考えていましたけど、見事に晴れましたのでそのまま「牛ヶ岳」に向かいます。
雲の流れが速く少しガスり気味ですが、その光景は天国にいるようで非常に幻想的です。
アップダウンの少ない木道をそのまま歩いていくと、ハイカーが立ち止まっている箇所がありました。ケルンの積まれた箇所がどうやら最高地点のようです。
更に牛ヶ岳に向かって歩いていくと、地塘が点在しています。「ゆうやけハイカー巻機山編」でも紹介されていたようにまるで「喪黒福造」のように見えます。
その先には分岐点です。谷川連峰の朝日岳に通じる縦走路がありました。どれくらいの距離があるのでしょうか。これは玄人が歩く道ですね。
雲が薄れて視界が利いてきました。目の前の牛ヶ岳に果敢にアタックしていきます。
整備された階段を登り込んで、牛ヶ岳に登頂成功です!巻機山山頂から約30分で到達です。
通過してきた木道を振り返り、一望していきます。そして、狭い山頂なのですぐに引き返していきます。
ガスが切れて視界がかなり利いてきたので、上州武尊山を確認することができました。
日光白根山、尾瀬の山々を眺望しながら、巻機山に戻っていきます。
そして地塘の景色に感動しながら、巻機山に戻ります。朝方の雨の中、厳しくとも諦めずに登ってこれたことに感謝です。
振り返って牛ヶ岳を確認し、2度目の巻機山登頂記念撮影です。雨天の厳しい登山に加えて、アクシデントに見舞われながらも登頂できたことを、いつもになく大変嬉しく感じました。
ここで恒例の山頂カップスターの時間としました。マイクロストーブのセッティング時に、握力が無くなっていることに気付きます。滑落事故の後遺症が出ていましたが、何とかお湯を沸かすことまではできました。同行のチャイニーズハイカーは、お初の山頂カップヌードルで感動していました。
なんと!巻機山山頂に小学生の兄弟が登頂していました。あの厳しいルートをよく登り込んできたなと感心です。将来の栗城史多や野口健になるのだらうか。山頂下部より、気流の速い速度でガスが流れ込んできます。腹ごしらえしたのでそろそろ下山です。
滑落事故を起こした避難小屋前を通過していきます。結構避難小屋に宿泊するハイカーも多いみたいです。下山時、シュラフ担いでいる年輩ハイカーを多く見かけました。
ガスリかけている巻機山を横目に、ニセ巻機山を登り込んでいきます。
振り返って、改めて巻機山の山容の大きさを確認してからお別れです。
ニセ巻機山を通過した先で、ハイカーたちが立ち止まっています。雨の中で登り込んできたので気付きませんでした。
八合目手前急坂を下っていきますが、脚部への負担が増大していきます。
八合目で小休止して、再び急坂を下山です。ここで先行していたチャイニーズハイカーと立場が変わります。脚が痛み出していたので、サッさと下山したく、ペースを上げて下ります。
他に健脚ハイカーが数名いて、デッドヒートのような感じになります。
七合目から先は、割引沢を横目に見ながら下っていきます。新調した靴の御蔭でソールが厚く、足の裏への負担は軽減されていました。しかしながら、脚部が痛いのは、雨に打たれながら、滑らないように気を付けて歩いて負担になっていた部分と滑落事故からの後遺症があったものと思われます。
妙な痛みに耐え抜きながら、エンドレス状態の長い樹林帯下りを着実に消化していきます。
天候はすっかり晴天へと著しく変化して、猛暑と化していました。登山道はグチャグチャな箇所が多く、靴は泥だらけです。
桜坂駐車場に13時43分帰着です。約8時間の山行でした。その後トイレ脇に水道が併設されたおり、順番に並んで靴の泥を洗い流していきます。
駐車場に戻り、駐車場側から見える天狗岩を見上げていきます。著しい変化の中での山行で、下山後の着替えや整理に身体が痛く、大変手こずりました。同行者は18時30分から池袋で飲み会なので、下山後に予定していた癒し温泉の「石打ユングパルナス」はカットで高速に向かいます。
帰り道、握力が無くハンドル捌きに支障が出てきます。おまけに強烈な睡魔が関越トンネル内(距離11,000m)で襲ってきて、何度か居眠りが発生します(すいません)。そして、トンネル出口の谷川Pで仮眠を少々取らせていただき復活します。
埼玉で同行者と解散後、最寄りの「湯の道利休」で身体を徹底的に癒していきました。お疲れさまでした。避難小屋での滑落事故には、充分ご注意ください。(汗!)
■天候:雨のち晴れ時々ガスり
■出会った人:70人ぐらい
■タイム:5:30~13:43
■形態:同行者1名(チャイニーズハイカー)
■その他:
★深Q百名山第21座目登頂(ハプニングありましたけど)成功です。登山の難易度は中級レベルかと思われますが、諸条件が重なり中上級レベルと感じました。和田小屋から登頂する苗場山と同レベルに感じました。
★新潟進出への先がけとして、巻機山を登頂させていただきました。基礎スキーヤー時代には、よく塩沢石打方面にも滑りに来ていましたが、当時は巻機山など名前すら聞いた覚えがありませんでした。こうして塩沢に再来できたのも百名山の登山口があったからこそでしょうかね。新潟・群馬県境には、名峰が多いので攻略起点となる登山口が多く存在しています。また訪問してみたい土地ですね。