天狗岳(北八ヶ岳) 2012/6/8 北八ヶ岳の最高峰を踏破!
天狗岳(てんぐだけ) 2,646m 単純高低差536m
北八ヶ岳最高峰の双耳峰「天狗岳」に登頂する機会が訪れます。切っ掛けは、同行者のM氏が白駒池を訪問してみたい!という意見から、天狗岳までのルートを思いつきます。当初は、山梨の奥秩父山域か新潟の浦佐を拠点とした山行など案件候補がいくつか浮上していましたが、訪問ターゲットを白駒池を中心とした北八ヶ岳に合わせます。
昨年7月に八ヶ岳主峰の「赤岳 」を真教示尾根より登頂済でしたので、私的にも北八ヶ岳最高峰は魅力の山域でした。
しかしながら、実際は予想以上に巨岩、残雪、距離間隔、小蝿、アップダウンなど困難を極めた山行となり、下山後は疲弊状態がMAXに達していました。そこで、下界で1泊していくことに・・・。
レポ作成の原動力になりますので、入山前に下記1発、宜しくお願いします。
(ルート):白駒池有料駐車場(5:00)⇒白駒池(5:10)⇒白駒荘⇒高見石(6:00)⇒中山(7:30)⇒中山峠(8:30)⇒東天狗(9:30)⇒西天狗(10:10)⇒天狗の奥庭(12:00)⇒すりばち池⇒黒百合ヒュッテ(12:20)⇒中山峠(12:35)⇒にゅう(13:45)⇒白駒池(15:00)⇒青苔荘(15:20)⇒白駒池有料駐車場(15:40)
私が寝坊したおかげで少し遅れてAM0時40分、今回の山行同行者M氏をピックアップしていきます。関越自動車道東松山IC⇒上信越自動車道下仁田IC下車⇒国道254号線⇒141号線⇒一般道で白駒池有料駐車場にAM4時到着します。広い舗装の駐車場は、他に3台程度停車(宿泊者みたい)していました。トイレはフルタイム使用可で有料50円です。
AM5時登山開始です!周囲はとても静かで新鮮な酸素を吸い込みながら、原生林と美しい苔地帯の「白駒の森」の中を慣らし歩きしていきます。
間もなく分岐点に出ます。白駒池湖畔は周回コースとなっており、下山時は青苔荘から廻ってきますので、白駒荘の方向へと進んでいきます。
標高2,110mに位置する山上湖の「白駒池」のほとりに出ました。あずま屋から暫し、この美しさに見惚れていきます。
そのまま白駒池の畔を歩いていくと、白駒荘の前に出ます。宿泊して1日中ゆっくりと白駒池を眺めて癒されたいものですね。
白駒荘前を通過しますが、とても静かで人の気配すら感じません。隣には旧山荘が建っていました。
朝焼けで輝く池をバックにシルエット撮影です。ほんとに白駒池は見ているだけで癒されますね。
いつまでも池ばかり眺めていられないので、「高見石」に向かいます。白駒池は、本日色々な場所から眺めることができます。また起点なので、下山後にも立ち寄ることになります。
高見の森と名付けられた「コセイタカスギゴケ」を主とした苔に囲まれた森を登り込んでいきます。ガレ場を通過していきますが、苔ファンには、たまらない場所でしょうね。
適当に登り込んでいくと高見石小屋に出ました。小屋の裏手に「高見石」が在ります。
高見石小屋にも人の気配を感じません。平日だからかな?小屋の脇を抜けて、岩塊を登り越えていきます。
全身を使って岩塊を登っていくと、高見石はその名の通り、開けた眺望抜群の場所でした。
南ア方面、3つ先のピーク蓼科山、奥には北ア方面が確認できます。
高見石からの眺望は見事です!なぜか瑞牆山の山頂の雰囲気にちょっと似ています。高見石は、かなりお気に入りの場所となりました。
ふと気付くと、連れは岩の上で寝ていました。この場所は、居眠りしたくなるくらい気持ちがいいんですよ!
石には刻み文字が・・・多胡碑みたいに丁寧に刻み込まれていれば感動ものですけどね。白駒池をバックに高見石での記念撮影。
高見石でもゆっくり寛いでしまい、高見小屋に戻ることにします。
登山道の分岐点に出て、これからだらだら登りで中山を目指します。
確かにダラダラとした登りから始まり、周囲にはクロゴケが見れる「オコジョの森」の看板があります。
森の中の樹林帯登りでは、日当たりの悪い場所に、徐々に凍結箇所が現れてきました。
やがて残雪が深くなり、難儀な走行となってつぼ足歩きに変わります。しかし、スタッドレスへの履き替えはしませんでした。
そろそろオーバーヒート気味になった頃、中山(2,496m)の展望台に到着です。
中山展望台にも大岩がゴロゴロしています。しかし広さは、高見岩の10倍以上はありそうですね。
いよいよ、目指す目標物の双耳峰「天狗岳」が聳え立つのを確認できました。
円錐形の深Q百名山の1峰「蓼科山」です。埼玉の堂平からも見えていました。
展望に気を取られていたら、連れが見当たりません!岩場から滑落か?・・・とキョロキョロ探していたら、またまた岩場で寝ていました。
再び展望を楽しみます。ここまで人に出くわしていなかったので、思わず「ヤッホー!」と叫んでみます。すると、驚いたことに何重にもコダマが響き渡ってきました。
最高の癒し空間を後にして、奥秩父方面の稜線を視界に入れながら先に進みます。
一旦、標高を下げてから、フラット気味の登山道を歩いていきます。
「にゅう」の分岐点を通過して、中山峠に向かいます。天狗岳登頂後は再びこの分岐点まで戻ってきます。先を進んでいくと、東天狗に近づいてきたことがわかります。奥には硫黄岳も確認できます。
見晴らし台を通過しながら、天狗岳の山容を眺めていきます。まだまだ高度を稼ぐ必要があることを認識させられます。
中山峠より黒百合ヒュッテ側に廻らず、直登コースで天狗岳を攻めて込んでいきます。
ここからは、森林限界特有の足場の不安定なガレ場登りで、高度を稼ぎにいきます。しかし、上昇するに連れて小蝿のような虫も増えてきました。昨年の赤岳急登の登り込み場面で、小蝿を吸い込んでしまい、経絡秘孔を突いて内部爆発を起こして吐き切りました。吸い込まないように要注意です。
その先20mぐらい続く、残雪の深い急坂の直登りがあります。下山時はたいへん滑り易い箇所と思われます。
残雪地帯を抜けて振り返ると、眼下には黒百合ヒュッテ、遠方に蓼科山を確認します。
岩場では進むべき方向に、しっかりとマーキングが付されています。
途中、錆び付いた鎖の残骸がありました。以前は鎖が掛けられていたのでしょうか。進行方向右手には、西天狗が雄大に聳えています。
東天狗山頂にかなりアプローチしてきました。本日は水分累計5Lザックに積んできたので、ボディーブローのように脚に効いてきました。
仙丈ヶ岳、甲斐駒あたりが雲に隠れて見えそうで見えにくい部分を凝視しながら、果敢にアタックを仕掛けにいきます。
遂に天狗岳の東天狗に登頂成功です!時刻は9時30分、白駒池より約4時間半かかりました。山頂標識で記念撮影をしていきます。
そして、八ヶ岳の大将「赤岳」です。今年も大将の首取り登頂の意欲が湧きますが、他が支えているので再来は来年以降ですかね。
手前、「硫黄岳」の奥左から「赤岳・中岳・阿弥陀岳」の八ヶ岳主峰チームが連なっています。
白駒池が物凄く遠方に見えます。日帰りで、あの位置まで戻らなければならないことを考えるとゾォっとします。そして眼下に黒百合ヒュッテが見えています。
夏沢峠方面のルートからは、単独ハイカー2名が登頂してきました。山頂は我々含めて4名ですが、10人も登頂してくれば圧迫感が出てくるでしょう。西天狗に向かうことにします。
急坂の登り返しで踏ん張りを効かせていくと、難なく山頂部に到達してきました。
三角点を撮影してから、連れに山頂標識を脇に、登頂成功の勇姿を撮っていただきます。
山頂は東天狗よりもスペースが広いので、お昼休憩にはベストな選択ポイントになるでしょう。主峰「赤岳」に向けて、チャルメラ塩味を美味しくいただきます!連れは、チリトマヌードルを同じく美味しく頂き、なんと!初の山頂カップヌードルということで感動していました。カップラーメン用として、ザックに2Lの水を積んでおりましたので、少し軽くなり安心です。
西天狗からも赤岳を中心に、中岳・阿弥陀岳をしっかり目に焼き付けるまで眺望していきます。
東天狗を登り返して山頂近くまでいきますが、下山方向にシフトしていきます。
急な岩場を下っていくと、数名の単独男性ハイカーと擦れ違います。その内一人のハイカーと少し会話を交わします。そのハイカーは、黒百合ヒュッテに宿泊するそうですが、明日の全国的な雨の予報に不安を抱いておりました。
黒百合平との分岐点に出てきました。下山ルートは、天狗の庭が気になる連れの意見を優先して、黒百合平の方向に下りていきます。
池好きの連れが特に感動したのが、この「すりばち池」です。天狗岳との絶妙なコンビネーションが自然の風情を感じさせられます。
黒百合ヒュッテが間近に見えてきました。真っ直ぐな岩場を下っていきます。
黒百合ヒュッテに到達です。岩場歩きは脚部にかなり堪えましたので、外のベンチに座って暫し休憩をしていきます。
黒百合ヒュッテには、うどん。そば、ラーメン、カレー、牛丼等豊富なメニューが揃っています。ここで1泊していきたかったと後悔です。
雪解け後のぬかるんだ登山道を、靴の汚れを気にしながら歩いていくと、「にゅう」との分岐点に戻ってきました。
分岐点より「にゅう」まではとにかく長い距離に感じました。脚部は既に棒状態です。途中で、単独オヤジハイカーに出くわします。八ヶ岳訪問は多種ルートと山小屋泊を活用して複数回縦走訪問に来ているとのことです。しかし、我々に「にゅう」は何処にあるか?と尋ねてきました。実は我々も「にゅう」を探していたのですが、通過したのかな?と思っていると答えました。その先を進んでいくと標識があり、ここが「にゅう」だと判別できました。
にゅうのトップで、先程出くわしたオヤジハイカーが手招きしています。正直、足が痛くなってきたので、「にゅう」はどうでもよかったのですが、岩場のトップまで登り込んでいきます。高度感もありますね。
距離感が感じられる「天狗岳」を眺望していきます。オヤジハイカーには、硫黄岳と撮影してくれ!と頼まれます。
帰着ポイントの白駒池を確認してみます。まだかなり遠方に位置することを認識して、愕然とします。あそこまで歩いて戻れるだらうか・・・。肉体疲労度は、既にピークに達していました。
エンドレス状態が連続する長い樹林帯歩きは、過酷な試練と感じます。連れもくたばりかけていましたが、先日の谷川連峰縦走の疲れも抜けておらず、私の方がくたばっていました。これでは、谷川連峰挑戦しても「くたばっ蹄形縦走」になること間違いないですね。
にゅうの森で「ミヤマクサゴケ」を観賞していきたいところでしたが、早く帰着して休みたい気持ちの方が先行しています。
必死の歩きから白駒池が見えてホッとします。青苔荘に向かって湖畔を歩いていきます。連れは池を観賞しながら歩いていましたが、私は下を向いてへばった歩きをしていました。
青苔荘に到着してベンチで小休止します。連れは青苔荘でアイスを購入して、美味しく頂いていました。
ヘトヘト状態のまま駐車場に帰着です。時刻は15時40分、10時間40分の山行でした。駐車係のオヤジに駐車料金500円を支払います。話を聞くと、白駒池コースから天狗岳登山するハイカーはほとんど泊まりだそうです。日帰りは滅多にいないと言われました。あまりに疲弊し切っていたので、車中10分間仮眠させていただいてから、ドライブモードに切り替えます。私的には、疲弊しやすい身体ですけど、仮眠や温泉に入ると爆発的回復力をみせます。
約30キロ走行して、茅野市にある「ちのスカイビューホテル」に宿泊していきます。夕飯は近くのデニーズで食事して、その後ホテルでたっぷりと身体を癒していきます。お疲れ様でした。
■天候:晴れ
■出会った人:15人(白駒池~中山峠まで貸切、以降天狗岳登山途中からハイカーと出会う)
■タイム:5:00~15:40
■形態:同行者1名(M氏)
■その他:
★北八ヶ岳の森の苔と原生林は、独特の雰囲気があって、たいへん癒される空間でした。白駒池は爺ぃになったら白駒荘に宿泊して、1日中池を眺めてみたいと思う場所でした。将来の楽しみに取っておきます。
★たいへんロングな登山レポとなってしまい、読み手を疲弊させてしまうと思います。実際にも長距離に感じ、疲弊状態はMAXでした。天狗岳山頂から間近に見えた赤岳、阿弥陀岳の稜線は圧巻でした。次回八ヶ岳訪問時は、もう少しランクを下げて、戯れる歩きを楽しみたいと思います。