雁坂嶺 2011/10/29 奥秩父の秘境攻略編
雁坂嶺(かりさかれい)2,289m/雁坂峠2,082m 単純高低差1,289m
雁坂嶺・雁坂峠は奥秩父縦走路の一部に位置しており、雁坂峠は日本三大峠としてもその名が知られています。
今回、県内の単独で入山しづらい未踏地域を苗場山で同行したステイサム氏と組んで攻略する計画を立てました。情報量の少ない山域を国道140号沿いにある「出会いの丘」を起点に秩父側から登頂してみることにしました。
(ルート):出会いの丘駐車場⇒黒岩尾根⇒雁坂小屋⇒雁坂峠⇒雁坂嶺⇒雁坂峠⇒雁坂小屋⇒樺避難小屋⇒突出峠⇒岩道場⇒黒文字橋⇒出会いの丘
いつものように最寄駅にてお馴染みのステイサム氏をピックアップしてから「道の駅大滝温泉」にて軽い仮眠をしていきます。その後、国道140号をガンガンひた走って「出会いの丘」に到着します。
実は、前日にいつも使用しているメインマシンの燃料タンクに故障が生じ修理に出します。本日の山行に間に合わず、通勤車のトヨタプラッツ12年使用物のポンコツでキツキツの山道を上がってきました。何とかオーバーヒートは避けられました。
センサーでライトが灯く立派なトイレが併設されていました。ステイサムは既に準備運動を始めて気合い十分な様子です。
まずは豆焼橋に向かって車道を歩いていきます。
ただいま路面温度2度です。豆焼橋を横から眺めると凄く迫力のあるブリッジですね。
豆焼橋の歩道側を歩いて下を覗き込んでみます。豆焼沢まで200mぐらいあるでしょうか。かなりの高度感があります。妙義山で味わった高度感が甦ってきました。
雁坂方面を眺めて再度真下を覗き込みます。紅葉の色合いが見事です。
そしてトンネル入口手前を注意しながら横断して、左側の林道に進入していきます。
そこは既に黒岩尾根登山道入口でした。雁坂小屋まで8、2キロの表示あり。
それと渓流に入るみなさんへの注意事項です。大変険しい渓谷なので行方不明や転落事故が多発しているようです。絶対に初心者の方や単独での入渓はしないでくれとの秩父警察署からのお願いでした。
確か2年ぐらい前の大事故が記憶から甦ります。この先のブドウ沢で沢登りハイカーが転落して救助要請が入ります。救助に向かった救助ヘリが墜落し搭乗者5名の命を失いました。更にその後取材に出かけた2名の報道関係者までも命を落とす事故に遭います。非常に危険な山域と思われます。
登山者のみなさんへとして「Notice to All Climbers」英語表記、中国語・韓国語表記もあります。爽やかな酸素で深呼吸しながら歩いていきます。
その先にある建物が目に入り、鉄筋のアパートかと思ったら奥秩父トンネル電気室でした。
更に進んでいくとゲートがありました。ここから先は東京大学の所有地だそうです。当然ですが事故等発生の場合、自己責任になります。
林道を進んでいきますが、ステイサムのペースが速い。後半のバテが気になります。本日は握り飯8個持参だそうです。シャリバテは無さそうだね。
道中、見覚えのある形の山が見えます。3回登頂した「雲取山」です。次回訪問機会があれば、トラウマの残っている三峰ルートで攻略してみたいです。
林道を30分弱歩いて雁坂峠入口に到達します。ここでステイサムに追い付きました。
ここより先は本格的な山道に入ります。雁坂小屋まで6.7キロ歩きます。
初っ端から登山道は斜めっています。撮影を斜めにしている訳ではございません。歩きづらいです。
樹間より山を確認します。笠取山あたりでしょうか。マイナーなルートですが、所々に距離表示のある標識が立っています。
樹林帯たっぷりが好みのステイサム氏もこの斜めっている登山道に苦戦気味でした。
やがて「あせみ峠」に到達します。休憩ベンチも設置されておりました。
ステイサム氏も快調に登り込んでいきます。時より新調したコロンビアの靴紐の調整をしていました。
ふくろ久保に到達です。やや上部でガサガサする音と鹿の鳴き声が響いていました。
続いて?下水晶谷です。表示が剥がれていて読み取れませんでした。前方に深い谷があります。無闇に入渓すると大変危険な箇所が待ち受けていると思われます。
先を進んでいくと危険な箇所には補助階段が設置されていました。
いい感じで雁坂小屋に近づいて参りました。踏ん張りを効かせていきます。
ステイサムの新調した靴に靴づれが生じたようです。づれた箇所にテーピングを巻いていきます。そしてリセットした状態から斜めった登山道を攻略していきます。
場所によっては危険箇所も存在します。集中力を保ち慎重に歩けば支障のない程度です。
前方に見えるのは奥多摩方面から縦走できる山々です。谷がやけに深いです。
雁坂小屋まであと400mの地点を通過します。周辺は視界が開けてきました。
なんと!登山道がトイレを突きぬけています。遠慮なく進んでいきます。勿論、小は丸見えです。通過すると雁坂小屋に出ました。
小屋前にも黒岩尾根登山道入口の看板と雁坂峠への標示版が設けられています。
小屋周辺には人の気配がありません。雁坂小屋は年季が入っているイメージですが、これが山小屋だ!的な風情を感じさせられる趣のある外観です。
電気は太陽光発電のようです。別棟にも錆びれた小屋が・・倉庫用かな。
いつもとは別の角度から見る「両神山」、奥には八ヶ岳が眺望できます。
そして雁坂峠へ向かうには本小屋の前からルートが通じております。峠まで500m登り込んでいきます。
眺望の利く山々を見ながら仕上げ登りに入ります。樵魂をフル活用してステイサムもしっかり登り込んできていました。
約4時間強かかり峠に到達できました。山頂には山梨側から登頂されてきた2名の女性ハイカーがベンチで寛いでおりました。本日お初の人間様です。
日本三大峠 雁坂峠の表示板がこの光景にマッチングしておりました。
雁坂峠2,082mの山頂標識と秩父往還の歴史として雁坂峠の歴史の説明書きが記載されています。
本日は天候も良く、富士山のくっきりとした姿を視界に捉えることができました。
国師ヶ岳・朝日岳・金峰山方面と黒金山・乾徳山方面の眺望も利いています。
雁坂嶺登頂成功です!時刻は11時15分です。雁坂峠より25分ぐらいで登頂できました。
山頂は樹林に囲まれていますが、隙間から富士山、国師ヶ岳、金峰山方面が確認できます。
破不山方面に少し下ると甲武信三山が確認できました。中央円錐形の山が5月に登頂してきた甲武信ヶ岳です。懐かしいです。
軽く食事をしてから破不山へ行くのは止めて、雁坂峠に戻ります。ステイサムが靴紐調整をしてスタンバイ完了となり下山開始です。
富士山を再び眺めて一気に直線ルートをチャッチャカ下りしていきます。
下っていくと正面に水晶山を捉えます。水晶山でも30年ぐらい前に女性ハイカー2人の白骨化した遺体が発見されたとか何処かで見ました。未解決の事故?事件?らしいです。
稜線を振り返ります。1977年に設置された安全祈願の石碑もありました。
ステイサムが奥さんに頻繁にメールを入れています。実はこのサイトの存在を知っているとのことで、この記事も読まれるかもしれません。こういう難儀な場所に連れまわしている私はイメージ悪いかもしれません。お許しを。
すると呆気なく雁坂小屋に戻りました。おや?今度は様子がおかしいぞ!扉が開放されていました。
山小屋の管理人がいました。宿泊者の予約が入っているので開けにきたとのこと。管理人オヤジは気さくな感じで話好きな方でした。小屋のキャパは150名程宿泊でき、風呂も併設されているとのことです。以前、宮崎勤の判決を下した裁判官が宿泊にきたと話題に出します。
同じく、話好きのステイサムは管理人オヤジとインドのカースト制度について議論を交わし始めます。インド人は計算能力は高いが物造りには長けていないとステイサムが熱弁します。ステイサムはアジア系外国人と頻繁に議論を交わしているので外人の特性を良く知っています。
当初下山道をピストンで考えていました。しかし、周回コースがあるのは知っていたのですが、国道歩きを40分やりたくないので避けていました。管理人オヤジが避難小屋跡地からショートカットして出会いの丘に戻れるルートがあるからそっちの方が早いとアドバイスしてくれました。素直に聞き入れた我々は、その後とんでもない事態に発展することに・・・。
暫くはアップダウンの少ない登山道を雁坂嶺に沿って歩いていきます。
滝が流れ落ちてくる沢を横断します。このあたりでロングな山行にステイサムややバテ気味になっていました。
紅葉を再度眺めながら歩いていくと先程の雁坂小屋が遠方に確認できました。
奥多摩・雲取山方面に通じる山々を時より眺めながら歩いていきます。
ここまで結構な距離を稼いできましたが、高度はあまり下がっていません。
ステイサムのペースが落ちてきてスタミナ切れが心配になります。だるま坂から先のコースは長い下りのようです。
樹林帯をそのまま進んでいくと小屋が見えてきました。小屋のオヤジが言っていた場所だらうか。
雁坂峠より4.5キロ歩いてきました。地図で現在地を確認しますが、出会いの丘に通じるショートカットのような道は記されておりません。
そして中を覗いてみると、完全に寝泊まり可能な場所でした。最も今の時期は夜はかなり冷え込むと思いますけど。
水場まで5分と表示ありましたが、下ってみてその先何も無かったら疲れるだらうと思い、素直に川又方面に進んでいくことにしました。山小屋オヤジのガゼか?それとも違う道だったのか?確かに地図を見せた時、この地点を指さしていたけど・・・。
避難小屋より20分ぐらい歩いて突出峠に出ました。このルートは昔甲州武州を結ぶ街道で人や荷物の往来が盛んだったようです。
このあたりでステイサムとの距離が空いていました。すると後方よりガサガサと音を立てて駆け滑って下りてくる轟音が響きます。充電していたステイサムが必殺樵下りで追い付いてきたものだと思い、轟音と共に一緒に急坂を下っていました。
振り返ってよく見ると服の色が異なります。一気に追い抜かれた時、横顔を確認してみます。するとなんと!女性ハイカーです。しかも白髪混じりの年輩単独女性ハイカーでした。スーパー素早くチャッチャカ下りしていきました。最もこのマニアックルートを歩いている事自体ただものではありませんけどね。
樹林の急坂を下っていき岩道場(がんどうば)に到達しました。ここは黒文字橋への分岐点でもあります。
ステイサムが一向に現れません。そして時刻も16時に迫る勢いで日没が心配になってきました。とりあえず、下ってきた急坂を登り返してステイサムを探しにバックします。10分ぐらい登っていくと疲弊しているステイサムに出会えました。国道歩きは厳しいなと判断し、私が先に下りて車を回収してくると伝えます。集合場所を黒文字橋にしました。
先程の分岐まで下り、国道140号方面にガンガン下っていきました。
ステイサムとの合流地点である黒文字橋に出ました。近くに公衆トイレがありました。
さぁ~気合いを入れ直します。国道140号歩きが課せられます。これだけは回避したかったが仕方ありません。歩道がないので車が通過しないのを見計らい駆け登ります。
多少白線とガードレールの幅がある場所は少し安心ですが、カーブが危険です。結構なスピードでスポーツカーやトラックまですっ飛ばしてきます。轢き殺されやしないかヒヤヒヤします。果たして日没に間に合うだらうかと気が遠くなります。
和名倉山方面を眺めて御まじないをします。そして、未だ経験のない歩道無しのトンネル歩きです。たまに運転中にトンネル内を人影が歩いているとビックリします。何?何でこんな場所歩っているの?と疑問に思っていたけどまさか、自分が疑問に思われる立場になるとは・・・。予想どおり数十台の車が通過していきます。おそらく疑問に思われたはずです。
トンネルをいくつか抜けて豆焼橋が視界に入ってきました。必死に駆け登っていくと大汗です。
豆焼橋に出てホットしました。そして出会いの丘駐車場に戻って車を回収しました。
和名倉山を眺めてから車を発車させます。駆け登ってきた国道を車で下ると結構な距離がありました。そして黒文字橋で元気復活していたステイサムをピックアップします。
そして超疲弊仕切っている身体を癒す為、「道の駅大滝温泉 」に立ち寄ります。疲労の為かブレて撮影がうまくできませんでした。ステイサムと共にゆっくり身体を癒させていただきました。
■天候:秋晴れ
■出会った人:14人(黒岩尾根:貸切、雁坂峠~雁坂嶺11人、雁坂小屋:管理人オヤジ、下山周回ルート2人)
■タイム:6:00~16:45(日没を焦りました)
■その他:
◇単独で入山しづらい山域に入り、いい経験ができたと思います。初っ端の斜め歩きは谷側への脚の負担が掛かり大変歩きづらい登山道でした。
◇敢えてマイナールートを選んだのは、雁坂トンネル往復1,420円をコストカットしました。そして時間をかけてゆっくり樹林帯を楽しみたい!が結果裏目に・・・。国道駆け登りはもう二度と体験したくない危険な歩行でした。ある意味急峻な岩場より危険かもです。
◇ガイドブックにあまり掲載されていない領域なので、画像を200枚程度使用してロングなレポとなってしまいました。最後まで読んで頂いた方お疲れさまでした。