甲斐駒ケ岳【黒戸尾根ピストン日帰り!】 2013/7/6 究極の弾丸登山シリーズ~中上級編~
甲斐駒ケ岳2,967m【黒戸尾根ピストン日帰り】 単純高低差2,197m
南アルプスの名峰「甲斐駒ケ岳」は、今回で2回目の登頂になります。前回は2年前の駆け出しハイカー時代に挑戦して、下山時ダバダバの雨に打たれ七丈小屋にエスケープ(当時の宿泊者4名)しての登頂となりました。
そこで、本年の登山計画候補のプライオリティーは低かったのですが、日帰りピストンに変更してリベンジしてみることにしました。当初の計画では、黒戸尾根を越え甲斐駒ケ岳を経由して、仙丈ヶ岳までの1泊2日のピストン山行を考えておりました。しかしながら、愛車トヨタノアのナビゲーションタッチパネルが故障して修理見積依頼したところ、なんと!3万円の予定外の出費が発生します。
従って、コストの掛からない日帰りピストンシリーズに余儀なく変更です。更に当日は前日の仕事から帰って来て仮眠2時間、単純に言えば、仕事帰りに黒戸尾根ピストンに行っちゃった的なノリの究極の弾丸登山シリーズになってしまいました。
現地までは軽自動車のムーヴカスタムで片道170キロの道程を運転し、既に疲弊状態のバッドコンディションでした。唯一、天気予報の晴れ間を期待して訪問に来てしまったのですが・・・・・道中ガスリ、山頂付近は突風吹き荒れる強烈な寒さ、下山時の大雨など裏切られた天気予報に、ふざんけんな!的な気分で登山行程を半死状態でクリアしていきます。さて、単純高低差約2,200m日本三大急登の行程内容は如何に・・・。
レポ作成の原動力になりますので、下記1発ランクアップのため、宜しくお願いします。
【ルート】:竹宇駒ケ岳神社市営駐車場(4:02)⇒笹ノ平(5:48)⇒(八丁登り)⇒刃渡り(7:04)⇒刀利天狗(7:24-7:29)⇒五合目(8:01-8:07)⇒七丈小屋(8:51-8:58)⇒八合目御来迎場(9:57)⇒九合目三本剣(10:24-10:30)⇒甲斐駒ケ岳山頂(11:05-11:22)⇒三本剣(11:50)⇒八合目(12:13)⇒七丈小屋(12:48-13:03)⇒五合目(13:42)⇒刀利天狗(14:14)⇒刃渡り(14:28-14:35)⇒笹ノ平(15:30)⇒竹宇駒ケ岳神社市営駐車場(16:58)【ピストン】
※歩行距離:21.8㎞ 行程タイム:12h56m(休憩含)
仕事から帰宅後、仮眠を約2時間してからAM1時前に自宅を出発します。圏央自動車道鶴ヶ島IC乗車~中央自動車道韮崎ICで下車して、道の駅白州に立ち寄ります。その後、竹宇駒ケ岳神社市営駐車場に到着すると、なんと!大型バスを筆頭に100台ぐらい停められるスペースの半分ぐらいは埋まっていました。黒戸尾根人気の証でしょうか。準備を整え4時2分黒戸尾根の弾丸登山を開始します。
夏至の頃より日が短くなったのか、それとも単に曇り空で暗いだけなのか、ヘッデン装着で歩いていきます。まずは竹宇駒ケ岳神社で弾丸登山の安全祈願をしていきます。
序に奥にある石碑と魔利支天社も見物していきます。
定員5名の吊り橋を渡り登山口に向かいます。ツキノワグマ情報の張り紙をヘッデンで照らしますが、周囲は複数ハイカーの気配がありますので、熊鈴は敢えて付けません。
本日は馬蹄形縦走時より、1L水分を減らしてスポーツドリンク、ウーロン、ビタミンウォーター、アセロラ、グレープジュースetc各種ドリンクをランダムに詰め込んで、トータル5L(10本)飲み放題状態にしてザックに積載しています。尾白川渓谷分岐を黒戸尾根方向に登り込んでいきます。
しかしながら、非常に蒸し風呂状態の樹林帯では体調が優れず、クレイジーな登り込みに苦しめられていきます。ペースダウンをさせて調整させながら登り込んでいると、トレランや黒戸尾根スペリャリストハイカーたち15人ぐらいに呆気なく抜かれていきます。
やっとの思いで笹の平に到達です。予想以上のCTオーバーに狼狽し、山頂まで辿り着けるか不安を抱えていきます。明らかに谷川馬蹄形縦走時よりも体調が悪過ぎる・・・。何とか踏ん張りを効かせて少しだけペースをアップさせて再起動していきます。
やがて石碑や石仏が現れ、信仰の山としての雰囲気が感じられます。
殺人的な登り込みの「八丁登り」に差し掛かっていきます。ペースダウンしてきた先発ハイカーや後続のハイカーが前後交差しながら登り込みに耐えていきます。このまま山頂まで終始10人前後のハイカーとは、同じペースで登っていた感じでした。
殺人的な登り込みが一段落すると、フラットな登山道が現れ一安心です。この辺りで何度か交差してしていた女性単独ハイカーと話し込みます。このハイカーのちにヤマレコハイカーと判明します。見た目ハードな登山をするようなハイカーに全く見えませんが、黒戸尾根をピストンしてしまう非常にタフなハイカーでした。(驚)
ここまで弾丸的に一気に高度を稼いできたので、身体はいつも以上に疲弊しまくっています。登り左手方向に鳳凰三山の姿を捉えます。オベリスクもしっかり激写です。
富士の山体らしき姿も捉えますが、完全にガスに覆われています。
黒戸尾根の名物「刃渡り」を通過していきます。片側は完全に切れ落ちており、落ちたら蟻地獄状態に嵌ります。
刃渡りでは展望が開けており、南の方向や下界の天候を確認してみます。
明確な鳳凰三山を視界に入れていきます。昨年、やはり同じく体調悪い時に縦走で苦しめられたことが懐かしく感じられます。勝手にムーンウォークの砂礫地帯に苦しめられた「地蔵岳」、おならが止まらなかった「観音岳」、頭痛が激しくなった「薬師岳」・・・等々。あまりいい思い出はないですね。(笑)
刃渡りを抜けていくと、階段や梯子など渋めのアスレチック地帯に突入していきます。
刀利天狗で小休止後、黒戸山を巻きながら進んで行きます。
コース中、唯一の下りを経て五合目に到達です。
まだ稼いだ高度は半分ぐらいです。まだまだ高い位置にある甲斐駒ケ岳山頂はガスっていますね。
再び祠や石仏石碑を見物しながら、ロングな梯子を登っていきます。
アスレチック地帯でイワカガミ発見!
クラッシックなイメージのある少し高度感のある橋を渡ります。
再び鎖・梯子のアスレチックに入ります。いよいよ核心部の垂直梯子を登っていきます。
再びハイカーが増加してきた急坂で、背後より七丈小屋の管理人が荷上げで一気に登り込んでいきます。なぜわかるのかって?前回七丈小屋にエスケープしたから顔は覚えていますよ。仕事は丁寧ですが、ちょっと別の意味で難ありと感じます。
そして七丈小屋に到達です。黒戸尾根を登り込む猛者達が休息しています。ヘバッタ私も小休止を取らせていただきます。
七丈小屋の内側には宿泊者専用のトイレがありますが、一般登山者には50m先のトイレ(有料)があります。※注意点:決して泥除けを汚さないように使用してください。勿論トイレも綺麗に使用してください。
第二小屋の裏手が登山道になっています。この新しく架けられた梯子は先月6月22日に設置されたと他のハイカーのレポで知りました。なんと!何の告知もなく黒戸尾根を登り込んできたハイカー全てが、この梯子前で門前払いを喰らったとか・・・。管理人がいる御蔭で登山道も整備されているのは理解できますが・・・ハイカーに対する対応がちょっと残念です。
テン場より鳳凰三山、下界方面を眺めていきます。
前後に連なっていたハイカーたちも密集しながら登り込んでいきます。やがてハイマツの地帯まで高度を稼いでいきます。
イワカガミの群生地を通過し、甲斐駒山頂部を視界に捉えます。
過酷な登り込みを続けていくと、石鳥居が崩壊された八合目に到達です。登り込んできた方向を振り向いて下界の景色を確認します。
そして山頂に向けて更に高度を稼いでいきます。すると、シンボルの三本剣の岩をズームで捉えます。あまりに疲弊しているので、前回のような抜きたい気持ちは全く出てきませんでした。
いよいよ岩場のアトラクション地帯に突入です。
鎖のプレートには結婚記念として、上原御夫妻、南・北アルプス全山縦走記念と刻み込まれています。プレートの付いた鎖を御約束的にガッシリ掴みます。ホールド・スタンス問題ないです。
ハクサンイチゲを観賞しながら、三本剣にアプローチ。
核心部の急な岩場を上半身も使いながら上昇していきます。落石発生したらお陀仏です。
九合目に到達。背後より登ってきたハイカーと少々会話をしていきます。今の岩場で相当な体力を消耗しきってヘトヘト状態なので柔らかく話込みます。下山してくるハイカーからも山頂はガスガスと聞いていたので、ピークハントのみを目標に気力を振り絞ります。
ここで弾丸登山で高度順応できてない身体に必殺アイテム!酸素プラスのミネラルウォーターを取り込みます。効果は僅かですが・・・。どうも高山に弱い体質みたいだ。2,800m超えてくると身体の動きが鈍くなっていきます。
標高を三本剣の位置まで稼いで、しっかりと脳裏に焼き付けていきます。
険しい岩場の合い間に、結構なイワカガミが群生しています。
再び急斜面で高度を稼ぎます。岩場の隙間に変わった石仏があります。勝手にパワー石仏と名付けてパワーを貰いますが・・・駄目だ、身体が疲れ切っている。
グングン高度を稼いでから、砕けた花崗岩のザレ場で岩場のピークを巻いていきます。
岩場のコンディションは湿っているので、慎重に登り込んでいきます。ガスの切れ間で一瞬、甲斐駒ピークを視界に捉えます。
瀕死の状態で山頂手前にある駒ケ嶽神社本社に到達です。
石仏や石碑、剣などを見物しながら一息ついていきます。
いよいよ登頂のファイナルイベント甲斐駒ヶ岳ピークにアタックを仕掛けにいきます。山頂まで5分の表示を確認します。ここで突風が吹いて帽子が飛ばされるアクシンデントが発生!しかし、速やかに回収して難を逃れます。あまりの強風で焦りました。
強風の中、一気に山頂にアタックです。山頂には北沢峠から登頂してきたハイカーたちも合流です。
甲斐駒のシンボル立派な石祠
山頂標識と一等三角点
山頂はガスガスの突風が吹いているので、ハイカーたちは岩場に身を隠して食事をしています。私も山頂でおにぎり1個食します。今回も燃費のいい私の身体の炭水化物摂取量は、おにぎり1個、ゼリー2本、他水分(5L積載)でした。
小休止がてら周囲を歩き廻ります。天候良くても鋸岳は厳しいな。
一先ず登頂の達成感を得て、あとは日帰りピストンを消化するのみです。
花崗岩のザレ・岩場を滑らないように慎重に下ります。
三本剣より標高を下げていくと視界が利き始めます。
急な岩場では登ってくるハイカーと交差しますので、小休止を入れながら下ります。しかし黒戸尾根の人気がこれ程とは思いませんでした。前回は確か日曜日だったと思いますが、出合ったハイカーは20人程度でした。本日は既に60~70人ぐらいと会っています。
八合目では剣を拝借して振りかざします。拝借後はしっかりと元の定位置に戻しておきました。
下界はしっかり晴れています。何度見ても甲斐駒のイワカガミに力強さを感じます。
樹林帯を下り、七丈小屋のテン場を通過していくと、テン泊のハイカーが幕営していました。
テン場からは鳳凰三山が伺えます。オベリスクが力強く天を突きさしています。
七丈小屋に到達しベンチで小休止していきます。
小休止後、鎖場・梯子地帯のアスレチックに入ります。
馴染みの垂直梯子、ロング梯子をクリアしていきます。
五合目から黒戸山の巻き道
刀利天狗から梯子
刃渡り上部から甲斐駒と同じく、花崗岩の砂礫を有する日向山が見えます。
本日最後の鳳凰三山、オベリスク
これから戻る下界、この時点では天気は持つと確信しておりましたが・・・。
刃渡り、片側は完全に切れ落ちています。サポートの鎖もあるので慎重に歩けば問題ない箇所です。
心臓破りの八丁登りを下っていきます。膝が痛みそうだったのでシングルステッキを活用していきます。しかし、その後ポツポツと雨が・・・。
一気に大雨へと変わります。急遽、ザックカバー、レインウェアを装着します。樹林帯での雨なので稜線上よりは避けられますが、粘土質の土が滑りまくり、足元をすくわれニ発ケツを殴打された上に汚されます。ふざけんな!的に勝手に怒りながら、笹の平までのエンドレスな下りにメンタルを完全にやられていきます。
笹の平あたりから雨がやみ、レインウェアをザックに収納します。その後、気が遠くなるくらい相当長い下りを経て、吊り橋に到達してホッとさせられます。
駒ケ岳神社の水場で顔を洗ってスッキリさせ、尾白荘の前を通ります。
駐車場に帰着した時、甲斐駒黒戸尾根日帰りピストン成功の絶大な達成感を脳天から足のつま先まで感じとります。駐車場では遅れて諏訪からお越しの単独女性ヤマレコハイカーが現れたので、日帰りピストン成功を互いに讃え合います。その後、極度に疲弊した身体を癒すため、駐車場から1.5キロ離れた尾白の湯に向かいます。
特にロング山行の場合、下山後すぐ近くに癒し温泉があると有り難いものですね。白州・尾白の森名水公園べるが内にある「尾白の湯 」は非常に快適で、気持ち良く身体を癒すことができました。
以前立ち寄った「むかわの湯」より個人的にはお勧めです。さて天ぷらうどんを美味しく頂いて、運転に注意してゆっくり帰ると致しますか。お疲れさまでした。
■天候:曇り、山頂ガスガス、最後は雨
■出会った人:90人ぐらい
■タイム:4:02~16:58【12時間56分、休憩含】
■形態:単独行
■水分:5.0L(ペットボトル500ml:10本、消費量約4.0L)
■山域:南アルプス
■深Q百名山:第13座目で登頂済(今回で2回目)
■出発地点より駐車場までの片道距離:172Km
■その他:
★谷川連峰馬蹄形縦走から間1週間をおいてのチャレンジとなりましたが、できれば身体の為にはもう1週間休みを置けばよかったと思います。難易度、体力的レベルは谷川馬蹄形の方に軍配があがりますが、私の身体のコンディション的には黒戸尾根ピストンの方が厳しく感じました。年度末の拷問ランキングでどうランク付けさせるか、後々精査していこうと考えます。
★甲斐駒とは相性が悪いのか、それとも元々晴天率が悪いのか、山頂からの大展望をまたまた拝む機会に恵まれませんでした。次回は是非完全な晴天の時にでも・・・しかし、今回も直前までの天気予報では晴れマークがあり、当日になって雨マークが付されておりました。これでは事後予報です。最近の天気予報全く当てにできません。当たるのは蒸し暑い埼玉の下界の天気だけ。
★日本三大急登「甲斐駒ケ岳」黒戸尾根日帰りピストン、大変過酷であり、体力忍耐力・強靭な精神力が必要であり、クリアした後の達成感は凄まじいくらい絶大です。これからチャレンジされるハイカーは、必ず有森裕子モードを味わえることでしょう。
★とにかく早朝に抜かされたハイカーたちのレベルが谷川連峰馬蹄形同様、ハイレベルのハイカーだらけで驚きました。トレランもそれなりに多くいました。人気の高さをしっかり認識させられた変化のあるルートに納得です。しかし、下山の樹林帯の長さは半端ないくらいエンドレスです。個人的には暫くは黒戸尾根を訪れることはないでしょう。