妙義山(金洞山) 2011/6/29 最強の鎖場登攀シリーズ 鷹返しピストンに挑戦!再アップ
妙義山(金洞山)中之岳/東岳/鷹返し 1094M 単純高低差369M 再アップ!
日本三大奇勝のひとつでもある”妙義山”に前回に続いて2度目のトライとなりました。前回は白雲山(玉石・天狗岳・相馬岳)上級コースの鎖場登攀にチャレンジしました。今回は金洞山(中之岳・東岳・鷹返し)に挑むことにします。特に鷹返しについてはピストンでのチャレンジとさせていただきます。
※画像は鷹返し最上部鎖場より撮影
追記:2011年度、最も痺れた鷹返しを振り返り、自分がよくこの山から無事生還できたなぁ・・・と何気に回想してみます。
鎖場登攀シリーズは暫く御休みしていましたが、また妙義山に再来してみたくなりました。
年末に向けて、来年度の拷問登山の計画をじっくりと練っていきます。
今年登り逃した山・・・男体山・浅間山・妙高山・火打山・燧ケ岳・至物山・雨飾山・巻機山・皇海山・平ヶ岳・鳳凰三山・剣岳・立山・・・・かなり残っています。
まだまだ止められないね。年末にあと一発行ければいいかな・・・・・。
来年もどうぞ宜しくお願い致します。
入山前に軽く1票入れていただけたら幸いです。
(ルート)中之岳大駐車場⇒妙義山登山口⇒第四石門⇒上級コース⇒中之岳⇒東岳⇒ルンゼ25M2段鎖場(上り)⇒鷹返し(下り)⇒鷹返し(上り)⇒ルンゼ25M2段鎖場(下り)⇒第4石門分岐⇒第四石門⇒中之獄神社⇒中之岳駐車場
自宅をAM4時50分に出発します。関越自動車道東松山IC~松井田妙義IC下車、その後中之岳駐車場に到着します。高速を利用すると自宅から妙義山まで90分で到着します。(通勤圏内です)
だだっ広い駐車場には売店の車以外私の車だけでした。
駐車場からはこれから鎖場登攀していく金洞山をじっくりと眺めていきます。
登山口は中之岳神社からでも行けますが、車道沿い400M進んだ先にある登山口に向かいます。
車道沿いにある登山口に到着します。本日も朝から暑くなってきておりますが、鷹返し目指して6時30分登山開始です!
登山ポストに熊注意看板、そして石門群案内図の前を通ります。
すると、いきなり鎖登場です!
”かにのこてしらべ”の名称が付してあります。この鎖が通過できないようであれば「ここで帰りなさい!」というお試し版鎖場といったところでしょうか。
樹林帯にある石段を上っていき第四石門に向かいます。第四石門前の広場に出ました。
第四石門広場から金洞山方面の石段を登っていきます。
やがて中之岳神社との合流点に出ます。ここから先は岩場のルートにより一般登山者は入山を遠慮してくださいとの案内版です。その先には登山ポストが設置されています。
「この先、鷹戻し付近死亡事故が多発しています。上級者でも非常に危険な箇所です。ザイル等の装備の無い人は自粛してください。」の更なる注意喚起があります。装備はゴム手袋と20Mのホームセンターで購入したトラロープのみです。
その先を歩いていくとまたもや注意看板です。それだけ滑落事故で亡くなられている方が多いことが伺えます。
樹林帯の中でも結構な高度を稼いでいきます。そして蒸し暑く、早くも大量の汗が滴り落ちています。山ヒルを警戒しておりましたが、ジメジメしている地帯でも見当たらず、その代わり大量のヤブ蚊が発生しておりました。終始耳元で唸り声が聞こえます。樹林帯の中ではゆっくり小休止すらできません。
上級コース最初の鎖場の前に出ました。危険看板もあります。
早速、鎖場登攀していきます。ウォーミングアップ程度の鎖場でした。
その先では軽い岩場登攀をこなしていきます。
ロープが垂れ下がっている箇所がありますが、スタンスは取れます。岩場が湿っているので使用させていただきました。
ロープを蔦って登っていった先にはいきなり断崖絶壁です。一気に高度感が出てきました。
そして絶景ポイントでもありました。駐車場は未だ私の車だけですね。追随してくる登山者は今日はいそうにありません。完全貸切濃厚です。それよりも常識的にこの暑さでは登らないですね。
いよいよ中之岳山頂手前の鎖場の前に到達しました。20Mはありそうですね。
スタンスはしっかりしているので、鎖場登攀しながら脇に見える絶景を撮影します。
途中、立ち止まれる箇所がありますので見下ろしてみます。滑落したら間違いなく怪我はしますね。
上部の鎖場の方が手強かったです。見下ろすと真下は見えません。
ますは”中之岳”登頂成功です。山頂には祠が置かれています。
山頂からは荒船山、浅間山(雲が掛かっています)と眺望できました。
とても暑いですが、絶景を楽しめます。裏妙義の方面も見事です。
登山禁止の西岳、反対方向にはこれから向かう”東岳”が見えます。
多少風が吹いておりますが、直射日光に当たり暑さは和らぎません。東岳に向かいます。稜線は樹木があるので高度感はそれほどでもありません。しかし、スッパ抜けて隙間が見える箇所があります。
岩場を越えるとそこは絶壁&絶景です。
覗き込むと吸い込まれそうです!!
稜線歩きの鎖設置箇所です。
一旦、鎖箇所を下ります。
前方に見える東岳を確認してもう一段下ります。
再び稜線歩きをして道標の白雲山方面に向かっていることを再確認します。
まもなく岩峰にぶち当たり、この先に東岳山頂部があるはずです。上部には鎖場が見えています。最初は鎖がない岩場登攀から始まります。
ホールド、スタンスはしっかりしています。
上部にある鎖場を掴み広背筋を使って身体を引き上げるようにして上がっていきます。特に標識がありませんが、鎖場到達地点が東岳山頂(1094M)金洞山最高峰と思われます。東岳登頂成功です。
こちらもかなり高度感があります。
この次に向かうルンゼ25M2段鎖場方面と縦走は致しませんが白雲山が眺望できます。
ルンゼ25M2段鎖場、ルンゼとは岩壁に食い込む急な岩溝のことを言います。このルンゼの間に鎖場があります。実はルンゼ到達まで裏側に鷹返しが存在するものと勘違いしておりました。
それから前回鎖場登攀してきた白雲山です。こう見ていると結構な迫力があります。
先程通過してきた中之岳、その奥には荒船山
こちらも暑いのでサッさとルンゼに向かいます。稜線からは登山禁止の”金鶏山”が見えます。
稜線上はスッパリと切れ落ちている箇所があるので要注意です。相変わらず汗が止まらず集中力が欠けています。この状態で鷹返し成功するだらうかと少し不安な気持ちがありました。
段々ルンゼ鎖場が近づいて見えてきました。あの隙間に鎖場が設置されています。
第四石門との分岐に出ました。帰りはトラバースの鎖を蔦って下っていきます。まずは分岐点の確認でした。ここから鷹返しはピストンになります。
ルンゼ鎖場に向かっています。そして鷹返しは近い位置に捉えていると錯覚していました。
ルンゼ岩峰周囲はかなり険しく聳え立っています。そして進行方向ではナイフリッジ登場です。
ルンゼ25M2段鎖場前に到達しました。1段目の鎖場はハング状になっていて、スタンスが非常にとりにくい岩となっております。
集中力を高めて腕力主体に登ります。手強い鎖場です。
2段目の鎖場に取り掛かります。太い鎖と細い鎖2本垂れ下がっています。こちらも手強そうです。
途中コブ状の箇所にロープの輪っかが括りつけられていました。無我夢中で身体を引き上げて終了です。高度感から逃れたい!という気持ちよりもこの灼熱とした暑さから早く逃れたい!という気持ちが先行していたので恐怖心は軽微でした。
ルンゼ鎖場をクリアできたから鷹返しもサッサと終わりにして早く下山したい!という気持ちが強まります。鷹返しの場所がルンゼ鎖場と表裏一体と勘違いしていた私は白雲山手前に見えている岩峰が”鷹返しの頭”とはまだこの時点では気付いておりませんでした。
実はこの岩峰の上で鷹返しの鎖場を20分間捜してしまいました。おかしい?と思いながらも当たるところ全てが絶壁になっていて鎖が見当たりません。現にこの絶壁を少し下りようとしてしまいました。そのまま下りていたら死んでいました。
そして鎖が見つからないので諦めようと考えました。しかし、もう一度冷静に判断します。
まず進んできた方向を見て「東岳・中之岳」と確認します。それから前方にある奥側「白雲山」を確認します。もしや白雲山手前に見える急峻な岩峰に鷹返し50Mの鎖場+梯子があるのだらうか?と気付き始めました。
縦走ルートを探し出し樹木が茂っている方向へと下ります。すると標識を見つけることができました。他の方のプログを見ると鷹返し⇔ルンゼ鎖場間が省略されていたのであたかも連続しているものだと思い込んでいました。調査不足でした。
鷹返しに行くにはこんなルートも通ります。崩壊しかけている登山道で隙間があります。岩側を通行しましょう。
岩場を登り込んでいき正面に白雲山が見えたところが”鷹返しの頭”のようです。
やっとの思いで発見できました。ルンゼ鎖場からは15分ぐらいかかりました。目的の”鷹返し”です。
バラ尾根・白雲山と縦走ルートが正面に見えます。
「スリップ注意クサリを放すな!!」の警告あり。鎖場に近づいていきます。
するとなんてことでしょう!!吸い込まれてしまうのかとビビリました。ここは死者を何人も出している鷹返し鎖場頂点です。
鷹返しとは、鷹も止まれぬほどの急峻な岩峰として名付けられており、実際に鷹はこんな場所には寄りつかないだらう。寄り着くのは人間です。そしてその裏に隠されている実体とは、「人返し」「人落とし」が真実なネーミングということでしょう。
まさしくここは最強の鎖場です。猛暑のこんな時期に誰も寄り着きません。鷹返し完全貸切状態です。落ちたら誰が発見してくれるのだらう・・・。そうならない為にも人生最大の渾身の気力をフルに引き出して、集中力を最大限に発揮できるよう努めます。人生で学んできた全てを鷹返しピストンに全力投入していきます!
まずはレッスン1です。最初の着地点までかなりの距離感があることがわかります。相変わらず汗が引いていなかったので暑さによる疲労感の方が上回り、高度感による恐怖心は希薄でした。しかし、腕力握力に集中してスタンスを丁寧に取りながら慎重に下ります。
しかしながら長い鎖場です。途中立ったままですが一呼吸できる箇所があります。
ここで30M以上はあった気がします。第一の着地点にも”スリップ注意クサリを放すな!!”看板があります。
レッスン2では5~6M程度の垂直に近い鉄梯子が架けられています。難易度は中程度です。
そしてレッスン3への鎖場まで軽くトラバースしていきます。鎖場はややハング状になっていて長さは7~8Mぐらいです。
ここから更に先を下っていくと堀切(ほっきり)に出てバラ尾根への縦走または中間道へ逃げれます。ここまで来たことへの満足感、そして暑さでバテてしまったことから堀切に逃げる戦略を考えます。しかし、もう二度と”鷹返し”に訪問しないかもしれない。やはり上りも体験する必要があると決断して本来の計画通りの行程を遂行いたします。
鎖を掴んで再度集中力を高めます。
鉄梯子を登り、最難関の鎖場登攀をこなしていきます。基本的に腕力には自信がありますが、最後鎖場上部にて疲労が蓄積してきて痺れてきました。おそらく滑落された方の大半が、ここで鎖を放してしまったのだらうと考えられます。登山には普段使用しない腕力ですから、腕力握力に自信が無い方は鷹返しには立ち入ってはいけないと実感しました。
鷹返し最上部に戻り、登攀させていただいたことに感謝して第四石門分岐点に戻ります。鷹返しの上りと下りではどちらが厳しかったかと問われれば、私見としてですが、50M鎖場手前付近の腕力減退が考えられる地点があるので、上りの方が厳しいと思います。(あくまでも登攀用具無しの状態が前提です)
それからここで水分不足が発生します。ザック持参水分トータル2250ML、残500ML下山まで持たせなければなりません。3Lは必要でした。
そしてこちらも難関のルンゼ25M2段鎖場を下ります。この鎖場下部2段目がスタンスがとれないので危険です。この部分で足を滑らせ腕力だけでの宙吊り状態になりました。何とか体制を気力で整え下りも無事クリアしました。
鷹返しピストンにより肉体的精神的疲労度は既にピークに達しており、気力で第四石門分岐点に戻ってきた感じです。鎖場をトラバースして下っていきます。
この樹林帯の下りはかなり急斜面で一気に高度を下げることができます。急過ぎるので暫くロープが繋がれています。
ロープ終了地点から間もなく気が緩んだのか体力の限界なのか2M滑落しました。ジメっていた箇所での滑落なので腕の後ろ側からケツの位置まで泥が付着しました。幸いにも山ヒルがいない場所で良かった。その代わりまたもや大量のヤブ蚊が奇襲してきました。
やっと中間道に下りてくることができました。
そして第四石門の広場まで下ります。
第四石門前のベンチで小休止します。近くにいた仲の良いベテランハイカーたちの集合写真を第四石門をバックに撮って差し上げました。
中之岳神社に向かう途中、見晴台に立ち寄り縦走してきた金洞山を見上げます。
中之岳神社で参拝し長い石段を下ります。
石段左側では、高さ20M重さ8.5Tの日本一の大黒様が笑顔で迎えてくれました。
神社鳥居付近にて、毎日参拝に来ている近所のあき竹城似のおばさんに「暑くて溜まんないね」と声を掛けられます。相変わらず汗だくの私は後ろに見えていた金洞山を指さして”鷹返し”のピストンから帰ってきたことを伝えるとそのおばさんは、「あんなもののぼるんじゃないよ!!」「たくさん死んでいる人がいるんだよ!」と注意されます。まるで近所のガキンチョが鉄塔や火の見櫓に上って大人たちから注意されるような感覚でした。
今年はまだ亡くなられた方はいないようですが、ある年のシーズンは毎週死人が出ていたそうです。そのほとんどが鷹返しのようです。やはりあれはまさしく「人返し」でした。
11時30分駐車場に帰着し、金洞山の縦走ルートを改めて見上げます。
駐車場から見える”荒船山”も何気にいい味醸し出していますね。
今回も癒し温泉は、妙義ふれあいプラザもみじの湯です。駐車場から迫力ある”白雲山”が眺望できます。まずは3L以上は掻いたであろう汗だくの身体を洗い流します。暑いので湯舟には半身入浴で浸かり、鎖場登攀で疲弊した脚部・上腕・前腕・広背部を徹底的に揉み解します。
■天候:晴れ(猛暑日)
■出会った人:4人(金洞山上級コース完全貸切、第四石門4人)
■タイム:6:30~11:30
■その他:
◇白雲山での鎖場登攀で腕時計に勲章傷を受けましたが、今回も新たに格闘してきた鎖場登攀で2本勲章線がレンズに刻み込まれていました。
◇実は今回も神業的なキジ撃ちを道中撃たされました。お食事しながら読まれている方がいらしたら失礼かと思い、最後の反省点に記載いたしました。なぜか不思議な事に妙義山だけは撃たされます。
◇最強の鎖場登攀「鷹返し」をピストンでクリアしてなぜか複雑な気持ちです。なぜ「鷹返し」で多くの人が亡くなるのか?それは単に鎖場撤去すれば登る人もいなくなり、滑落事故は無くなるでしょう。当たり前ですが誰も登らなければ死亡事故は起こりません。しかし、そこに急峻な岩峰「鷹返し」が存在する限り、登攀する人は後を絶たないことでしょう。
◇翌日、腕力主体で登っていたつもりでしたが、広背筋・前腕が激しい筋肉痛になりました。広背筋主体で使えていたのですね。
■参考:登山マップ
■参考:ゆうやけシリーズ(妙義山金洞山)
実はこのページを参考に濃霧注意報が発令されている時、計画の実行を中止することにしました。濃霧の中、鷹返しと対峙していたら人返しにされていたはずです。