乾徳山 2011/6/9 戦術的鎖場岩場登攀シリーズ
乾徳山(けんとくさん)2031M 高低差1293M
乾徳山は奥秩父の主脈から南に位置し、スリルに富んだ岩稜の険しさと草原の穏かさを併せ持つ日本二百名山の山です。甲武信ヶ岳を登頂した際にこの山の存在を知り、高低差・岩稜・垂直な鎖場と登頂する価値ありと判断するに至り今回の山行計画を練りました。
(ルート):乾徳神社先駐車場⇒乾徳山登山口⇒駒止⇒国師ヶ原⇒扇平⇒乾徳山⇒水ノタル⇒高原ヒュッテ⇒国師ヶ原⇒登山口⇒駐車場
自宅を4時10分に出発します。関越自動車道花園IC下車⇒国道140号秩父市内を通過して三峰神社との分岐路を右に曲がります。
その先大滝地内にてなんと!猿の軍団がいきなり道路を横断してきました。10~15匹程度の小集団でシンガリをギリギリ激写できました。
その後、雁坂トンネル(710円)通過して道の駅みとみでトイレ休憩します。
徳和入口を右折、乾徳公園前に20台ぐらいの駐車場(舗装)があります。そこから先に進入していくと左側に砂利の駐車スペースがあります。ここに車を停めて7時10分登山開始します。
更に先にも駐車スペースがあるようですが、かなり悪路でお勧めできません。
距離にして約800Mぐらいで登山口に到着します。
登山口から進入していくと、いきなりデカい「熊」看板です。この注意看板インパクトありますね。
まずは樹林帯の中を登って行きます。本日は高低差だけでも1K以上ありますので、スタミナを切らさないようにゆっくり歩きから入ります。途中、沢を横切ります。
ひたすら登り込み状態が続き高度を稼ぎます。無駄な動きをしない歩き方を心掛けてみますが難しいですね。どこかに余計な力が入っている気がします。
少しづつペースを上げながら傾斜のある登り込みを消化していくと広めの場所に出ました。”駒止”と表示がありました。
更に先を登り込んでいくとガレ始めてきました。
ガレが段々激しくなってきます。
やがてミズナラ林に入ると傾斜が緩み”錦晶水”の脇を歩いていきます。
緩やかな登山道を歩いていくと目の前が開けてきました。
乾徳山が確認できる位置に到着しているはずですが、山頂方面はガスっています。雲の流れの合間に僅かに確認できました。
”国師ヶ原”に到着しました。ここは登山道の交差点です。
上空は晴れ間部分とガスリ部分で交差しています。
国師ヶ原は大平高原から登ってくるルートと合流して、その先山頂を目指すクサリ場ルートと水ノタルから廻り込むルートに分岐しています。
当然のことですが、楽しみにしていたクサリ場ルートを選択させていただきます。途中右手に石仏が置かれていました。
間もなく草原のような開けた地帯の登りに変化していきます。傾斜はそれなりにありますが、気持ちの良い登りが堪能できます。
この辺りで小休止している年輩の男性シングルハイカーに出会います。挨拶を交わし「登り堪えありますね」と一声かけてみます。天気を心配しているようでしたので、晴れ間が少しでもあるうちに山頂を目指しましょう。と先を急がせていただきました。
登りながら周囲を見渡すと、山頂部が見えるようになり山々も眺望が利くようになってきました。しかし雲の流れが速いです。
気持ちの良い草原地帯を登り込んでいきます。そして一際目だつ岩”月見岩”の前に出ました。
広々とした草原地帯を山頂方面に歩いていきます。
”扇平”に到着しました。標高は1850Mで高度1K近くは稼いできたでしょうか。ここまでしんどい登りでした。富士山の眺めが利くらしいですがガスリで見えません。
扇平より先は徐々に岩場地帯へと変貌していきます。
急斜面となり岩も巨岩へと大粒に変わり、ゴム手袋を装着します。
岩場登攀の始まりです。登り越えると更に先にも急斜面があります。
手強い岩場にぶち当たります。手掛かりはありますので三点支持でしっかりと上がっていきます。
目の前に奇岩が現れます。”髭剃岩”と名付けられていました。
いよいよ本格的になってきました。一部鎖場も登場です。
岩場のクレバスです。
難易度の高い岩場を越えると高度感が出てきました。しかし下の方はガスっています。ここでベテランハイカーと擦れ違い先の様子を伺います。まだこの先に強烈な垂直に近い鎖場があるそうです。
そうです!それが目的の鎖場で乾徳山登頂を選択した理由でした。
岩の狭間を通過して脆そうな木の階段を下ります。
そして鎖場の出現です。未だ目的のものとは違います。2段になっていて上部は鎖が両脇に垂れています。
難易度の高そうな左側の鎖を掴みます。登り終えて見降ろします。先日、妙義山の鎖場を経験してきたので難なくクリアできました。
岩場・鎖場で更に高度を稼いできたと思っていましたが、山頂は未だ先のようです。再び岩場地帯に突入です。
巨岩を廻り込むと下から上空に向かってかなりの速さで雲が流れています。
山頂にかなりアプローチできている場所ですが、最後の強烈な鎖場が未だ出現しておりません。
正面はすっぱりと切れ落ちています。
一瞬、迂回路に入ってしまったのかと感じましたが大丈夫でした。その先にしっかり分岐道がありました。強烈な鎖場を回避したいハイカーは右に迂回路があります。ご安心下さい。
私は迷わず強烈な鎖場と対峙しにいきます。
出ました!山頂直下のメインディッシュです。高さ20Mの垂直な岩壁は”杖捨岩”(つえすていわ)と呼ばれ、たいへん険しく鎖頼りでないと登れそうにありません。
大きな一枚岩に長~いクサリが垂れ下がっています。掴んで長さを確認してみます。
中間地点まで上がり真横と真下を撮影してみました。
残り後半部分の鎖は、広背筋をフル稼働させて一気に上昇します。20M垂直鎖場をクリアしてスカっと爽快気分で真下を眺めます。ここも手強く印象に残る鎖場となりました。
さぁ、やっと山頂が15M先に見えました。
周囲はガスっていて展望が利きません。周りの景色のみです。
9時40分、乾徳山登頂成功です。2時間半掛かりました。
ガスが無ければ富士山、奥秩父、大菩薩、南アルプスの山々が一望できるはずなのに残念です。甲武信三山だけでも確認したかったのですが、ガスは消えそうにありません。
山頂には小さな祠がありました。笛川中学校と彫り込まれた板が正面に置いてあります。
仕方がないのでひたすら山頂標識を眺めていました。因みに山頂は貸切です。
20人以上は休憩できるスペースがありますが、岩がゴツゴツしていて落ち着いて休憩できないかもしれませんね。
20分ぐらい休憩したので、水ノタル方面を廻り込んでいくルートで下山します。
まずは、山頂直下のロープ・梯子・鎖のアイテムを使用して岩場を下ります。
その後はゴツゴツとした足場の狭い岩稜歩きになります。
乾徳山を間近に確認できる最終地点で振り返り岩峰を下ります。
水ノタルより周回コースに入ります。
ここから黒金山方面へ縦走もできますが、2時間以上は掛かるようなので素直に徳和へ戻ります。
岩場を廻り込むように歩き樹林帯へと突入していきます。
かなり急でガレているので躓かないように慎重に下ります。
ガレガレ地帯は暫く続き、短めの鎖場を下降します。
途中よりガンガン下って高度を下げて行きます。
”高原ヒュッテ”の表示方向に歩いて5分程度で小屋の前に出ました。
無人の小屋を覗いてみると、とても休憩をしたくなるような場所ではありませんでした。緊急時の避難場所といったイメージですね。
その先の草原地帯を進んでいくと登山道の交差点でもある”国師ヶ原”に到着しました。
あとは徳和方面に下るだけです。錦晶水で2組4名のハイカーと擦れ違います。片方の2人は一生懸命に錦晶水を汲んでいました。
下り道、もうひとつの水場となる”銀晶水”で手を洗います。冷たくて気持ちいいですね。
暫く樹林帯を下り、ようやく林道が見えてきました。
登山口に下りてきました。すると徳和渓谷方面から年齢の釣り合わないカップルが前を歩いていきました。恰好は登山仕様ではありません。
林道を歩いていたら新車っぽい車が駐車しておりました。この先の道を画像で確認してもらうとわかりますが、お勧めいたしません。
登山口正面に見える尖った山が気になりました。何という山だらう。
そして12時ジャスト駐車場に帰着しました。約5時間弱の山行でした。
駐車場すぐ後ろ側には渓谷が流れていました。ちょっとした西沢渓谷気分を味わいます。
その後、”道の駅花かげの郷まきおか”で休憩します。
裏手には遊歩道のある公園がありきれいに花が咲いておりました。
■天候:曇り時々晴れ(山頂ガスり)
■出会った人:10人(登り4人、山頂~国師ヶ原貸切、下山4人、登山口2人)
■タイム:7:10~12:00
■その他:
◇甲武信登頂後、非常に気になっていた山で鎖場・岩場が堪能できる点、高低差1000Mの登り応えのある点など早期に攻略しなければならないという気持ちを抱いておりました。眺望の点は残念でしたが、無事に登頂できて満足です。山頂直下の鎖場は確かにスリルがありました。
◇トータル的に判断すると鎖場より岩場の方が険しいルートになっており、岩登りが好きなハイカーにお勧めです。年輩の方も登られている山なので躊躇せず時間をかければ攻略できる山です。
(おまけ)
本日の鎖場・岩場・登り込み・急降下・ガスリでくたばっている身体を癒さなければなりません!
三富温泉郷にある「白龍閣」で癒すことに決定します。しかし、なぜか今日は家に帰りたくありません。そこで急遽、素泊まりを決行します。
な~んていうのは冗談でして実は昨日、予約を入れ素泊まり準備をして参りました。10畳単独で5400円(税込・入湯税込、24時間温泉付)です。山小屋よりは快適ですね。入室すると既に布団が敷いてありました。
部屋から眺められる景色は正面に民家と山、下側に渓谷が流れています。
早速、1階にある(ロビーは4階にあり地下に下がる感じです)温泉で貸切入浴を堪能させていただきます。・・・と思ったら日帰り入浴組の団体が入ってきちゃいました。風呂は岩風呂(内風呂)、露天風呂があります。温度はやや熱めでした。徹底的に疲弊した脚部を揉み解します。
入浴後、1時間半ぐらい仮眠してから外を散歩します。宿には顔つきが人間ぽい犬がいました。140号奥には雁坂嶺が見えます。
宿に戻り、あとは明日の山行計画⇒カップラーメン⇒温泉⇒仮眠⇒持参してきた栗城史多の本読書⇒睡眠で本日終了となりました。