奥武蔵馬蹄形縦走 2012/12/1 晴れ予報の縦走途中に、想定外の吹雪に遭遇する
奥武蔵馬蹄形縦走(反時計廻りVersion) 金比羅山660m/藤棚山921m/蕨山1,033m/有間山1,163m/日向沢ノ峰1,356m/長尾丸山959m/槇ノ尾山945m/棒ノ折山969m 単純高低差1,106m
Homeの奥武蔵系山岳地帯を舞台に、馬蹄形シリーズとして、縦走時期を年末に設定し計画をしておりました。師走の初日に、事前の天気予報が1日晴天となっていた為、急遽計画を前倒しして、奥武蔵馬蹄形縦走を決行してみることにしました。
馴染みの「さわらびの湯」を起点終着地点とした周回上の8峰を、馬蹄形に踏破していくルートを地図上で見つけ、シュミレーションしていくと、約11時間強掛かることを算定していきます。ややペースを上げて休憩を小刻みにしていけば、9時間半程度で歩けると判断していきます。
そして馬蹄形決行当日、早朝から雲が抜けてない樹林帯では、薄暗くヘッデンを装着します。その後、高度を上げていくに連れて、ガスの濃度が益々濃くなっていきます。標高1,000mを超えていくと周囲は真っ白となっていました。やがて、霰が降り始めますが、一時的なものと判断そのまま踏破していくと、徐々に雪へと変わり、気が付くと白銀の世界に。更に追い撃ちを掛けて、物凄い突風が吹き荒れ、強烈な吹雪へと荒々しい天候に様変わりしていきます。
時すでに遅しで、既に馬蹄形ルートの中間地点手前に来ていました。引き返すことができない位置で、エスケープで撤退できる位置でもない。奥武蔵系山行経験以来の絶体絶命のピンチに陥っていきます。さぁ、どうするおーまい?K隊長と本日公開の「イナズマイレブン」の映画を観る約束を翌日にづらしてもらい、勝手に突入してきた自分の愚かさに後悔していきます・・・・。
レポ作成の原動力になりますので、下記1発ランクアップのため、宜しくお願いします。
(ルート):さわらびの湯(6:30)⇒金比羅神社跡(7:11-7:17)⇒中登坂(7:43)⇒大ヨケノ頭(8:02)⇒藤棚山(8:36)⇒蕨山(9:02-9:13)⇒蕨山最高地点(9:20)⇒逆川乗越(9:28)⇒橋小屋ノ頭【有間山】(9:45)⇒タタラノ頭(10:09)⇒有間峠(10:39)⇒51号鉄塔(11:04)⇒日向沢ノ峰(11:39)⇒50号鉄塔(11:59)⇒長尾丸山(13:01)⇒槇ノ尾山(13:36)⇒棒ノ折山【私的には僕ノ俺山】(13:56-14:07)⇒権次入峠(14:16)⇒岩茸岩(14:33)⇒白孔雀の滝(15:03)⇒ゴルジュ帯(15:08-15:14)⇒白谷橋(15:37)⇒さわらびの湯(16:00) 休憩含総時間(9時間30分)
自宅を4時30分出発し、6時前に「さわらびの湯」第3駐車場に到着します。広い駐車場は、私だけの貸切になっていました。天候は晴れ予報でしたが、見上げると空は分厚い雲に覆われています。
時刻は6時30分、奥武蔵馬蹄形縦走の開始です。まずは、蕨山目指して6.5㎞を登り込んでいきます。
「熊出没!」張り紙には、6月27日と記載がありますが、今年の事だらうか。樹林帯は薄暗く、確かに熊が出てきてもおかしくない状況です。
ヘッデンを暫く点けながら、インパクトのある急坂を登り込んでいきます。
グングン高度を稼いでいくと、やがて名栗湖が見下ろせるようになってきました。そして、本日縦走予定の山々が遠方に確認できます。
神社跡には、小さな祠と基礎部分のみがあります。建屋はぶっ飛んだのか?それとも基礎でストップされたままなのか?
地図を見ると、登山口より高低差335m上昇してきました。丁度東京タワー1本分消化してきたようです。
続いて、馬蹄形ルート上にある中登坂目指して、登り込んでいきます。
グングン高度を稼いでいくと、ガスの濃度が濃くなっていきます。
更に進んでいくと、登山道の両脇に沢山の苗木があります。森林組合の山桜の植林のようです。
中登坂を通過し、終盤となってきた紅葉を眺めながら、蕨山本体を樹間に捉えます。
そして、晴れていても展望が利かない「大ヨケの頭」に到達します。
再びグングン高度を稼ぐにつれ、ホワイトアウト濃度が高まっていきます。
12/10-12の3日間、山岳救助訓練を蕨山~ハネバミ小屋付近の斜面で実施される予定との張り紙がありました。そして、蕨山山頂アタック手前では、急坂に苦戦させられます。
前方の視界が利き難い中を登り込んでいきますと、突如ピークが現れました。
馬蹄形メイン三座の一峰にアタック成功です。蕨山山頂は、完全貸切状態でした。
晴れていれば、浅間山や上州赤城、日光連山までの変則的視界の眺望が利いているのですが、全くの視界不良で残念な眺望です。
軽くゼリーを補給して、あまり期待できそうもない天気に、蕨山のピストンへの変更も考慮してみますが、とりあえず次のステージとのなる有間山方面に向かうことにしました。
蕨山最高地点と思われる場所を確認してから、馬蹄形第2ステージに入っていきます。
穏かに鞍部の逆川乗越まで下っていきます。広めの東屋はちょっと年季の入った感じがします。
その先は、馬蹄形反時計廻り核心部の登り込みとなる急坂に苦しめられていきます。必死に登り込んでいき、ピークらしき部分が確認できました。
有間山(橋小屋の頭)に到達です。ここは鳥首峠との分岐点でもあります。展望も視界もないので、更に先に進んでいきます。
橋小屋の頭から棒ノ折山までは未踏区間で、新鮮な気持ちで歩いていきますが、益々ガスが濃くなっていきます。
ガスで視界が利きにくいルートを、暫く歩き続けて「タタラノ頭(1,213m)」を通過していきます。ここまで誰にも出くわしていません。予定では「日帰りで馬蹄形縦走をしています!」って格好良く発してみたかったのですが・・・。次第にそんなどころではない雰囲気が漂ってきました。
天候の回復どころか北風が吹いてきて、おまけに霰まで降ってきました。一時的な状況であると思い、そのまま有間峠手前の林道に出てきました。
有間峠には、僅かに駐車スペースがあり、二人のバイカーが下りていきました。本日初めて見かける人間様に、なぜかホッとさせられました。
太い丸太型の有間峠表示の側に、全面通行止めになっている林道があります。歩行者も含め・・・と記載ありますが、この通行止め区間に入っていきます。
仁田山を巻きながら、林道を10分ぐらい歩いていくと、山道に上がっていく脇道が現れます。
入口には、蕎麦粒山、川苔山方面の記載と「51号に至る」電力会社の標示版があります。
急坂に設置されてある木段を10分ぐらい登っていくと、地図上に記載のない51号鉄塔の前に出ました。
鉄塔周辺では、視界良好であれば、それなりの景色が見られると思います。鉄塔を見上げていくだけで、本日もう期待することもない展望を諦め、サッさと無事に縦走を終えることだけを考えて、先に進んでいきます。
気付くと一旦止んだと思った霰が、今度は雪に変わっていました。50号と52号、更に真っ直ぐに続く道の三差路に出ます。地図上にない鉄塔の番号をどう読み込んでいくか。方角等考慮して近道と判断、一旦50号に向かいましたが、道が段々悪路と化していき、撤退して三差路に戻ってきました。
日向沢ノ峰を目指したいが、真っ直ぐの道で良かったのか?・・・と不安になりながら、登り込んでいきます。すると、前方より本日お初の年輩ハイカーと擦れ違います。そこで、日向沢ノ峰がこの道で正しいのか?尋ねてみると、蕎麦粒山方面から来たらしく、御丁寧に分岐を御教示いただきました。既にあと5分ぐらいまでの場所に来ていました。これで馬蹄形縦走の中間ポイントに安心して向かうことができます。
そして、中間ポイントの分岐に到達です。ここで疲弊している脚部を揉み解しながら、エネルギーチャージです。風が強まり、次第に吹雪へと変貌してきました。撤退するにも戻れない位置で、しかもエスケープもない。更に天候が悪化してきたらどうしよう・・・・と勝手に馬蹄形ルートに突っ込んできた愚かさを悔みます。
5分程進んでいくと、日向峰ノ沢と思われる三差路に出ます。周囲は尋常ではないくらいウンウンと風が唸りまくっています。
ここまで来てしまった以上、馬蹄形ルートを踏破する以外、生還への選択肢がありません。棒ノ折山(私的には僕ノ俺山)へ6㎞・・・長いな。実は吹雪に身体がビックリしたのか、既に大腿部への痙攣が久しぶりに発生していました。
吹雪で辺り一面、一気に白銀化されていきます。おまけに、かなりの勾配である急坂下りが待っていました。ここで二、三度転び、1回は手のひらを岩場の突出部分に打ちつけ腫れあがります。軽アイゼンは持参していましたが、面倒なので装着しませんでした。
打ちつけた場所を振り返り、改めて難易度の高い急坂であったと認識していきます。そして少しでもゴールに近づけるように、脚を止めずに進んでいきます。
吹雪に寄り暫くは撮影が出来ず、クロモ山?のテープ記載の表示を過ぎ、高度をグングン下げていくと、天候が穏かになっていきます。
相変わらず強風が吹いていますが、安定した場所で立ち止まると、遠方の山々が樹間から確認できるようになっていました。
本日はゴールまで、吹雪で終了モードと考えていましたが、この急変にも驚かされていきます。縦走してきた反対側尾根も見えています。
晴れ間が・・・青空が。あの過酷な環境から想像すると、ストロングサプライズです。
静かな尾根道を歩いて、長尾丸山(958m)まで標高を下げてきました。
時より開けた場所からは、奥武蔵の山々、街方面が確認できます。
ふと気が付くと、私以外の先行者の足跡を見つけます。同馬蹄形ルートを先行でやっている者は他にいないと思われる為、何処かの分岐で登って来たハイカーか、それとも棒ノ折山から向かってきたが、吹雪で撤退していった足跡だらうか。
踏み跡を追いながら、槇ノ尾山(945m)に到達です。ここは、地図上では、破線コースとなっている仙岳尾根コースとの分岐点です。仙岳尾根は、有間渓谷観光釣場付近に確か登山口がありました。
軽いアップダウンを消化し、深い落ち葉の地帯を、脚を引っ張りながら登り込んでいくと、見覚えのある東屋が視界に入ってきました。
10ヵ月ぶり4度目の登頂となる山頂は、野球でもできそうなくらいの広い山頂です。馬蹄形縦走最終ポイントは、見事に視界良好となっていました。
そうです。私的に「僕ノ俺山」にアタック成功です!奥多摩側では「棒ノ折山」、奥武蔵側では「棒ノ嶺」の呼び名があります。
展望は素晴らしいの一言ですが、時刻は14時を過ぎており、東屋で休憩していても風が冷たくブルブル震えてきます。勿論、広い山頂は完全貸切状態でした。
馬蹄形を完成させるには、あとはさわらびの湯まで下って行くだけです。山頂直下で、異国人2名と日本人1名の国際ハイカーグループと擦れ違います。かなり冷え込んできているにも拘わらず、まだ山頂付近にハイカーがいたことに驚きました。
白谷沢に向かうゴルジュ帯手前にある東屋で小休止です。そこへゴルジュ帯方向から登られてきたダブルステッキ使用の単独オバサンハイカーが前を通過していきます。え、この時間から山頂へ?まだ明るいですが、あと1時間半もすれば、下山の樹林帯は真っ暗になるのでは?・・・と勝手なお節介かもしれませんけど、今は自分自身がヘトヘトになっている状態で、人の事まで考えるパワーがありません。決して無知とは思えませんので、覚悟の上での登山だらう。
白孔雀の滝を上から見下ろし、変則的鎖を掴みながら丁寧に下っていきます。実は白谷沢コース通過は4回目ですが、下り使用は初めてです。
観爆しながら、第二ゴルジュ帯を滑らないように通過していきます。前日の雨や本日の吹雪の影響で、いつもより水量が豊富に感じました。
そして第一ゴルジュ帯に進入していきます。皇太子も白谷沢ルートがお好みのようで、同ルートで2度、「棒ノ折山」を登頂されています。登頂後に、「僕ノ俺山」と感じたかどうかは定かではありませんけどね。
沢沿い、樹林帯と下山では滑り易く、難易度が増します。やがて、白谷沢登山口に出られてホッとします。
名栗湖を廻り込み有間ダムから、過酷な奥武蔵馬蹄形縦走を振り返ります。
車道を歩いて、さわらびの湯入口に帰着してきました。飯能駅行きのバス停には、ハイカーが10人程度並んでいました。蕨山か僕ノ俺山を登頂してきたのだらう。こんな日に馬蹄形やっているハイカーなんて、きっと他にはいませんね。
さわらびの湯第3駐車場に置いてある、亡くなったオヤジから譲り受けた通勤用トヨタプラッツをベスポジに移動させていきます。
何度目かカウント不明となってきた馴染みの「さわらびの湯」(営業時間18時まで)で、奥武蔵馬蹄形縦走達成で受傷した身体を徹底的に癒していきます。
たいへんお疲れさまでした。
■天候:曇り⇒霰⇒吹雪⇒晴れ(著しい天候の変化でした)
■出会った人:7人(ハイカー5人、バイカー2人)
■タイム:6:30~16:00【休憩含】
■形態:単独行
■水分:2.0L(ペットボトル500ml:4本)
■山域:奥武蔵
■出発地点より駐車場までの片道距離:50Km
■その他:
★年末に計画していた奥武蔵馬蹄形縦走を、約一月前倒しして決行してみました。1日晴れ予報の天候は見事に外れ、曇りから一転吹雪へと、天候の急変にサプライズしていきます。撤退を考えたくなった時点では、既に中間地点と無理矢理にでも馬蹄形を完成させなければ下山できないポイントで、吹雪に遭いながら本物の拷問登山を味わう羽目になっていきます。従って、年度末作成予定の年間拷問登山ランキングベストテン入りは間違いないと思っています。
★蕨山、僕ノ俺山と単体登山で飽きたハイカーは、是非、さわらびの湯を起点とした約20㎞の馬蹄形縦走にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。私的には、吹雪に遭遇した事を除いても結構な手応えのある縦走コースと感じました。次回は眺望の利く完全快晴の時に、時計廻りで再戦してみたいと思います。
★奥武蔵馬蹄形縦走は、比企三山馬蹄形縦走と比べ、難易度が2ランクぐらいアップしたイメージです。谷川連峰半馬蹄形縦走よりは、レベルは落ちると思います。私的には、さわらびの湯起点とは別に「奥武蔵馬蹄形縦走ハイバージョンを考案中です。成功できるか微妙なラインですけど、いつかレポでご紹介していきたいと思います。
★奥武蔵馬蹄形完成後、3日間は大腿部の筋肉痛が取れませんでした。それだけ過酷であった証明でしょうか。
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