白毛門/笠ヶ岳/朝日岳 2012/6/2 谷川連峰馬蹄形視察登山編
白毛門1,720m/笠ヶ岳1,852m/朝日岳1,945m 単純高低差1,282m
谷川連峰馬蹄形縦走コースの一部にもなっている白毛門(しらがもん)を始め、当初は笠ヶ岳までを目標に、下見登山を天候と相談して決行してみることにしました。周回コース後半部分の「谷川岳/一ノ倉岳/茂倉岳 」は、昨年の9月に歩きました。馬蹄形縦走を達成するため、コースの把握とどの程度の体力を要するのか?脚慣らしも兼ねて起点部分の視察登山開始です。
笠ヶ岳までの予定が思いの外、天候と体調が良好で欲張って朝日岳まで行くことに・・・・。そして下山時、想定以上の暑さにやられ、なんと!白毛門に戻る前に水分不足が発生!そこから魔の地獄下山を味わうことになります。行きは良い良い、帰りは苦しむと拷問を通り越した超肉体破壊的登山となりました。
レポ作成の原動力になりますので、下記1発、宜しくお願いします。
(ルート):白毛門未舗装駐車場(6:00)⇒松ノ木沢ノ頭(7:50)⇒白毛門(8:30)⇒笠ヶ岳(9:30)⇒朝日岳(11:20)⇒駐車場(15:50)(ピストン)
AM3時30分自宅を出発し、関越自動車道東松山IC~赤城SA(休憩)~水上ICと走行していきます。高速道からは、上州武尊山をしっかりと視界に捉えます。一般道に下りると早速、谷川連峰のお出迎えで、モチベーションがUPします。
土合駅を過ぎて踏切を通過します。そして、100mぐらい先の左カーブを右の道に進入していくと、駐車場(50台ぐらいのスペース)があります。トイレはありませんので、土合駅で済ませておいたほうがよろしいでしょう。準備を整えて登山道の方に向かいます。
谷川連峰馬蹄形概念図を目だけでなく、脳裏にしっかりと焼き付けていきます。本日の目標縦走地点は、笠ヶ岳(1852m)です。
まずは白毛門に向けて6時ジャスト登山開始です!気持ちの良い朝の新鮮な酸素を吸いながら、赤い手摺の橋を渡っていきます。
沢を渡って少し進むと、行き成り急登から始まります。日本三大急登の西黒尾根と同格の急登です。
少し肌寒く感じていた気候もこの急登により、一気に汗が吹き出してきましたので体温調節をしていきます。新調したコールマンのPeak35を担いで、本日は谷川連峰に入山しました。ガレ場登りに気合いが入ります。
一気に高度を稼いでいくので、早くも聳え立つ谷川岳が山容を現します。マチガ沢に雪渓が溜まっています。
その先、木の根っこを掴みながら、グングン半端ないくらい高度を稼ぎにいきます。しかしながら、睡眠不足から体調は今一歩でした。
更にその先も、根っこを掴みまくりながら上昇していきます。本日は「もういいよ!」って飽きるくらいに谷川岳が視界に入ってきます。
天神尾根もしっかりと確認できます。谷川岳の眺望のおかげで、モチベーションがUPして、根っこ地帯登り込みをスムースにクリアしていきます。
この急登地帯で、まずオヤジハイカー2人を抜き去り、更に本日何度も出くわすことになるオヤジハイカー2人組に、キャッチアップしていきます。え?私はプチオヤジハイカーです。
ドクドクと汗が流れ落ちてきますので、本日2本目の小岩井純粋ぶどうを谷川岳に向けて美味しく味わいます。本日はランダムドリンク500m4本&カップヌードル用の水500mを持参です。(後に、悲惨な肉体的破壊登山を味わうことになるとは予想もしてませんでした。)
岩場・鎖場と堅実な登攀をしていきます。あまり西黒と変わらない厳しいルートですね。イメージはもうちょっと楽かと考えていました。
昨年11月に登頂した深Q百名山の上州武尊山です。眼下には、土合駅とRW発着駅です。
稜線沿い左手には、谷川岳/一ノ倉岳と眺望が広がっていきます。一ノ倉沢の雪渓も見事です。
やがて、松ノ木沢の頭(1,484m)に到達です。登山道の先では、「白毛門」が聳え待っています。
正面には、谷川岳が聳え立ち、右の方面に目を移すと馬蹄形ラインの稜線がくっきりと確認できます。
険しい岩場を乗越えていくと、遭難慰霊碑が埋め込まれています。昭和40年代に亡くなられたハイカーの氏名が刻まれていました。
ガレ場を交わしながら、白毛門に徐々にアプローチしていきます。
高度を上げて行くにつれて、雪解け水で岩場が濡れている箇所がありました。そしてロープ掴みで上昇は続いていきます。
いよいよ白毛門が間近に迫ってきました。奥には、残雪のある笠ヶ岳、小鳥帽子、大鳥帽子が見えてきました。
武能岳~蓬峠ラインを視界に捉えながら、アタックを仕掛けにいきます。
白毛門に登頂成功です!時刻は8時30分、約2時間半掛かりました。標高も一気に1,000m強、この1座で稼いできました。
馬蹄形ラインの反対側の眺望は、武尊山、遠方に日光白根山が確認できます。
そして馬蹄形の稜線、眼下に土合駅が見えます。高低差1,000mあります。
5~6分休憩した後、目的地2峰目の「笠ヶ岳」に向かいます。残雪歩きがありますが、シャーベット気味でスタッドレスは不要です。
正面には、笠ヶ岳~朝日岳に向かう縦走ラインが、左手には一ノ倉岳~谷川岳縦走ラインを望みながら進んでいきます。
やや高速走行を続けていると、笠ヶ岳との距離が縮んでいることに気が付きます。
2峰目の「笠ヶ岳」に登頂成功です!白毛門より約50分の行程です。
山頂より、谷川連峰馬蹄形ラインをしっかりと目に焼き付けていきます。
名峰「巻機山」を眺望し、朝日岳に向かう馬蹄形ラインを確認します。山頂にいた単独ハイカーは、朝日岳の途中まで行ったことがあるけど、今回時間の許す限り、先を目指してみると申しておりました。更に先程のオヤジハイカー2人組も朝日岳方面に向かっていきました。
私はあとは、ピストンで下山するのみと安心し、早い時間でしたけど谷川岳目掛けて、カレーヌードルを美味しく頂きます。しかし、この山頂カレーヌードルが、後に縦走を決断する朝日岳からの戻りにおいて、強烈な喉の渇きをプッシュしていきます。
また、別の男性単独ハイカーが登頂してきて、互いの勇姿を撮り合います。やはり、そのハイカーも朝日岳方面に下っていきました。誰もピストンで戻らないし、出会った4名のハイカーに触発されて「行ける所まで行ってみるか?」と少し気合いが入り、避難小屋の見える朝日岳方面に下っていくことにしました。
笠ヶ岳避難小屋に立ち寄ります。入口には、「この山に消えし若き友の天に憩える魂を偲びて」・・・と青山学院関係者の提供小屋でしょうか。
小屋までは元々立ち寄る計画がありましたが、ここから先が無計画山行です。一つ目のピーク目指して進んでいきます。
この登り込みが結構身体に堪えてきます。そして、2つ目、3つ目と見えてきました。
気温が上昇してきて何気に暑く、水分摂取量が増えてきます。深い残雪部分は、つぼ足で突き進みます。
通過してきたピークが小烏帽子・大烏帽子でしょうか。更に2つぐらい先のピークが朝日岳のようです。近くに見えているようで、非常に遠く感じます。視界には、再び巻機山が眺望できるようになりました。
汗を噴き出しながら、アップダウンを繰り返していくと、朝日岳にアプローチしてきました。下側は雪渓の光景が見事です。
ニセピーク連続の中でやっと、朝日岳のピーク到達か?果敢にアタックを仕掛けにいきますが、疲弊してきた大腿四等筋が攣り始めてきました。脚をカバーしながらゆっくり進んでいきます。
遂に3座目の「朝日岳」登頂成功です!笠ヶ岳から行程1時間弱掛かりました。なぜか行程時間よりも長く感じました。山頂標識から離れた場所に、コンパクトな祠が設置されていました。
山頂部分は広く、休憩ポイントにはベストな山頂です。笠ヶ岳で写真を撮り合った単独ハイカーは、既にジャンクションピークに向かって木道を歩いていました。
山頂では、360度の大パノラマが利いています。ジャンクションピークから蓬峠~武能岳~茂倉岳・・・と馬蹄形ラインの眺望と巻機山、八海山・中岳・魚沼駒ケ岳の越後三山などの眺望です。
笠ヶ岳より通過してきた稜線を眺めていきます。他に武尊山・日光白根山・至仏山・燧ヶ岳などの展望も利いています。すると、オヤジハイカー2人組が登頂してきました。挨拶は何度も交わしていましたけど、ここで話込みます。やはり、馬蹄形縦走をやっているとのこと。清水峠の避難小屋に宿泊する行程を組んでいるそうです。私がピストンで白毛門を下ると話したら、勿体ないね。と言われました。調子はイマイチですが、何処かに泊まれば馬蹄形踏破できるなと俄かに自信がありましたけど、水分と食料を持ち合わせていません。水分は残り500mlペットボトル1本を切り、チューブ状のゼリーを2個残しているのみです。
15分ぐらい休憩した後、オヤジハイカー2人組に挨拶をして別れます。笠ヶ岳に向けてペットボトルの水分を少しづつ摂取しながら、ピストンで戻ります。
笠ヶ岳山頂で喰ったカレーヌードルが効いてきたようで、保有水分がヤバイ状態に。必死の思いで笠ヶ岳手前の避難小屋まで戻ってきました。
そして笠ヶ岳山頂です。谷川岳はまだ眺望が良く利いていますね。
脚がかなり疲弊してきていますが、山に入った以上、自分の脚で下りることが鉄則です。ペットボトルの水分も残り50mlあるかないかぐらい。見るのが怖くなってきました。ここからは、チューブゼリーを少しづづ活用していきます。しかし、喉がカラカラです。
太陽の照り返しが後押しして、結構つらくなってきました。スタミナを落とさずにゆっくりめに歩いていかなければ・・・という考えと、喉がカラカラで一刻も早く駐車場に下山して、車中に置いてきたドリンクで一気に喉を潤したいという気持ちが交差します。
谷川岳の迫力に感動しつつも、普段注意していた水分計算に失敗したことを悔いていました。
本当に駄目な時は、雪でも舐めるか・・・。と苦肉の策を練りながら、振り返って朝日岳~笠ヶ岳の稜線を見つめます。
やがて、白毛門に13時30分到着して少し安堵感が出てきました。しかしながら、まだ高低差1,000m標高を下げなければ戻れません。まさに「修羅場門」とは、ゆうやけ師匠がこの場で、目の前に雷3回落ちたのを見て相当厳しい山行を体験した場所です。私は水分不足から来る疲弊状態での「修羅場門」です。
この先、急な岩場や斜面を下って行くことに不安を感じます。下方向の遠方に15人程度の集団ハイカーが小さく見えます。後に鎖場渋滞で出会うことになります。
一ノ倉沢の絶景を眺めて、気合いを入れていきます。とにかく無心で、水分の事はなるべく考えずに下っていきます。
雪解け水が滴り落ちている急な岩場は滑り易く、細心の注意を払って丁寧に下っていきます。そして、集団ハイカーとの差を徐々に詰めていきます。
単独ハイカーを追い越して、松ノ木沢の頭に到達です。しかし行程は、まだまだエンドレスです。
松ノ木沢の頭を過ぎた鎖場で、集団ハイカーの後方部隊が鎖場と格闘中で渋滞が発生していました。暫しの小休止です。この前方集団になんと!後方部隊と不釣り合いな若いマダム集団が先陣を切って歩いていました。
駐車場近くにある土合駅は、まだまだ下方向に見えていて、これからガンガン高度を下げなければならないことを思い知らされます。まずは鎖場をスルスルとクリアしていきます。
サブリーダーのおっさんハイカー目掛けて、追尾しながら下っていきます。
樹林帯に突入してから、小休止中の集団ハイカーを遠慮しながら道を空けていただきます。前方の小奇麗チックなマダム集団にいじられながらの下りです。私は「ドキどき・・アドレナリンが放出中です!」と言いながら、フェロモンの香りに酔わされて通過させていただきました。これは一種の薬物中毒だね。
樹林帯の急坂は連続しており、よくもこんな急斜面を登り込んできたものだなぁ~!と勝手に久しぶりに感じた自己絶賛の有森モードに入ります。
根っこ掴み地帯を高度を下げながら下っていきます。朝日岳手前にて擦れ違った若手男性単独ハイカーと出会います。同じく朝日岳のピストンとのことですが、私と同様かなり脚部にきていて、揉み解しながら下っていました。
これでもか!というくらい高度を下げているはずですが、樹林帯の下りはエンドレス状態に感じました。
沢のBGMが聞こえてきた時には、正直ホッとしました。ペットボトルに残しておいた30mlぐらいの水分を一気飲みします。そして、沢に近づいて、沢の水で思いっ切り顔を何度も洗い流します。
駐車場に帰着したのが15時50分でした。脚はもうまともに立っていられない状態でした。約10時間近く谷川の山域に入山していたことになります。くたばりかけていた男性ハイカーと帰着の喜びを共感します。私は車に戻るとすぐに2L用の水をガブガブ飲み干します。実にまいう~!でした。最高のまいう~!です。その後、集団ハイカーたちも下山してきました。
下山後楽しみにしていた癒し温泉は、「湯テルメ谷川」に向かわず、「鈴森の湯」に立ち寄ることにしました。肉体的破壊活動を受けた脚部を徹底的に癒してから帰路に着きました。
■天候:晴れ
■出会った人:25人(集団ハイカー15人、オヤジハイカー2名、他全て男性単独ハイカー)
■タイム:6:00~15:50
■形態:単独
■その他:
★谷川連峰馬蹄形視察登山を終えて、馬蹄形周回ラインを確認できたことは、高低差や地形、アップダウンの間隔などたいへん事前学習には良い判断材料を学ぶ機会となり、今後の山行に役立つことになるだらう。
コンディションが良好だからといって、計画外の山行を実行すると危険な目に遭うことを学習しました。水分の計算をしながら調整を図る技術を怠ってはいけないと改めて水分の大切さを実感致しました。ゆうやけ師匠には怒られるかもしれませんが、カレーヌードルはうまいんですけどお勧め致しません。
★谷川連峰馬蹄形縦走は、結論として今の私の実力では日帰りで踏破することは到底困難であると判断します。もしも、実行するならば、蓬峠あたりで1泊して縦走することになるでしょう。水分の持参水量は、推定5L~7Lをザックに担いで縦走することを覚悟して入山すると思います。(今年できるかは不明)
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