甲武信ヶ岳 2011/5/19 超攻略的日帰り単独ピストンシリーズ
甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)2475M 高低差1386M
日帰りピストンシリーズの本年最大の難所として目標設定していた”甲武信ヶ岳”の登頂を遂に決行して参りました。小屋1泊コースが主流のようですが、甲武信に対しては挑戦的に攻めたい気持ちを以前から持っていました。あえて先の目標を今月に決行したのは、暑くなる前に消化してしまおうと単純な考えで前倒ししました。
(ルート)西沢渓谷駐車場⇒徳ちゃん新道登山口⇒近丸新道合流⇒戸渡尾根⇒木賊山(雲切山)⇒甲武信小屋⇒甲武信ヶ岳⇒(ピストン)
AM2時30分に自宅を出発して道の駅みとみに5時到着します。トイレ休憩をしてから本日経由する木賊山(トクサヤマ)を確認します。その後、西沢渓谷駐車場へ移動して準備を整えます。ここで先行していくハイカーを確認しました。
5時30分登山開始です。東沢山荘を左に曲がり西沢渓谷方向に向かいます。
西沢渓谷周辺マップを確認し通行止めゲート脇から進入していきます。
途中、”犬の登山は止めてくれー”ポスターを見かけます。そういえば両神山八丁峠編の時に山頂で犬の散歩に出会いました。鎖場をどうやって?が未だ謎です。
そのまま進んでいくとトイレと管理事務所のような場所がありました。
最初に目にする甲武信ヶ岳登山道入口は”近丸新道”で荒れかけているようなので敢えて回避したいと思います。その先にある”徳ちゃん新道”を利用します。
見上げると鶏冠山(トサカヤマ)標高2115Mが凛々しく見えました。
駐車場より20分ぐらいで徳ちゃん新道登山口に到着します。徳ちゃん新道とは、甲武信小屋の管理人が切り開いた登山道で、管理人の名前から名付けられたそうです。
始めは静かな樹林帯の中を歩いていきます。登山道はしっかりしております。
まもなく高度を上げ始めます。甲武信にはやはり履きなれたローカットのカメレオンⅡで挑むことにしました。
いよいよ本格的な急登により高度を稼いでいきます。
山頂までの目標タイムを4時間切ることに設定していましたが、ウォーミングアップでもコンディションはすっきりしません。前日早寝をしても睡眠時間は足りず、直前の運転タイム2時間半が効いていました。道の駅車中泊も検討しましたが、少しでも慣れている布団での睡眠を選択しました。やはり調整は難しいですね。
急登の連続がきいたのか右膝に違和感があります。昔の古傷が痛みかけてきたので久しぶりにステッキ使用です。いつもは野生動物対策の武器としてザックに挿していますが、右膝負担軽減の為今回は使用させていただきます。その後、何か顔に付着物が・・・クモの巣です。しかも何度も。徳ちゃん新道を利用していたハイカーは私が最初でした。その後、クモの巣との格闘は暫く続きます。
やがて石楠花のトンネルに差掛ります。始めは童心に返ったようで不思議な気分になりましたが、それも2,3分程度の出来事でしたね。
一部、石楠花の花が咲いておりました。
ステッキ使用で右膝をカバーしながらグングン高度を稼いでいきます。鶏冠山が真横近くの位置に見えるようになってきました。
更に高度を稼ぐと眺望ポイントに出ました。
富士山もしっかり確認できます。
気合いを込めて登り込んでいくとやっと近丸新道の合流点に到達しました。時刻は8時、約2時間半かかりました。鶏冠山(2115)の頂上が近くに見えてきていたので高度2000Mぐらいは稼いだはずと思い、地図を確認するとこの地点は1869Mでした。
木賊山まであと600M稼がなければならないのかと少し気が遠くなりました。
まずは甲武信ヶ岳経由地点となる”木賊山”目指してペース配分を検討しながら進みます。
間もなく”木賊山”の山頂が正面に現れてきました。その先を進むと再び石楠花のトンネルが待ち構えておりました。
トンネルは暫く続きます。いい加減、このトンネルがウザくなってきました。
トンネルを抜けるとガレた急登が始まります。徳ちゃん新道もきつかったけれど、コース中最もきつく感じた場所は、合流点から木賊山間でした。トレーニングしてきた伊豆ヶ岳の直登コースが幼稚園児の遠足コースに思えるくらい厳しく長く続きます。
容赦のないくらい急登は続きます。ステッキが無ければ、右膝は持ち堪えることができませんでした。
非常に長く感じた急登を消化していくと岩場に出ました。
視界が一気に開けます。この場所は山崩れでも起きたのでしょうか。
遠くに広瀬湖が見えました。
更に登り込みかけると残雪が現れ始めました。この辺りは高度2300M地点ぐらいでしょうか。
登山道が残雪で覆われるようになってきました。その先で破不山との分岐点に到達です。
高度を上げていくに連れて残雪に厚みが増してきました。簡易アイゼンを持参しておりましたが、面倒なので装着しませんでした。しかし、この残雪かなり危険で殺人的残雪です。
この残雪は凍っている箇所、シャーベット箇所が入り混じり、硬く滑りやすい部分と中が空洞化して踏み込むと落とし穴のように20センチぐらい落とされる部分があります。ステッキでブスブス挿しこんで確認し慎重に進んでいきます。気付くと木賊山山頂が見えていました。
木賊山2469Mに到達です。特に展望が利かないのでスルーしていきます。
この先一旦、甲武信ヶ岳に向かう為残雪地帯を下ります。滑らないように足跡で固められた箇所に足場を置きながら下ります。
下って行くと前方に”甲武信ヶ岳”が現れました。右には標高2483Mの三宝山が見えます。
あと山頂までの距離600M地点から少し下ると甲武信小屋が見えてきました。
甲武信小屋の前に出ました。万が一の時にはお世話になるつもりですが、そうならないように下山したいと思います。
小屋から山頂までの距離はあと400M。最後の登り込みを残雪に負けずに仕上げていきます。
日当たりの関係で残雪箇所は減少気味ですが凍っているので侮れません。ここで男性シングルハイカーと擦れ違います。ここまでトータル3名と擦れ違いました。
山頂近くまで登り込んできました。そしてケルンを廻り込みます。
甲武信ヶ岳山頂です。時刻は9時35分、残雪に阻まれ4時間を僅かに超えてしまいました。山頂標識は日本百名山と山梨百名山のものがありました。
山頂には先客ハイカーがいて挨拶するなり話込みます。熊谷からお越しの登山とサーフィンが趣味のサーファーハイカーでした。日本百名山踏破を目指しているキャリア3年のハイカーで、甲武信が20座と申しておりました。以前はカミさんと一緒に登られて、カミさんが妊娠されてからは単独で百名山ハンターを実行されているそうです。
山頂より眺望できた富士山。サーファーハイカーは富士山を第百座目にとっておくそうです。実は、私の登山第1座目が富士山でした。時期は15年前で当時体力には自信がありましたが、スニーカーで登って下り道足が痛くなった記憶があります。その後、山登りは15年間一切やっておりませんでした。何時の日かもう一度チャレンジしてみたいですね。
こちらは一等三角点を持つ埼玉最高峰の山”三宝山”です。
すると突然珍客の登場です。その珍客は野生の鹿でした。マイペースな鹿でこちらに全く興味を示しません。
再度、百名山の標識を見ながら達成感を味わいます。しかし、またあの殺人的残雪地帯に戻らなければならないことを考えると憂鬱になります。
左から国師ヶ岳、金峰山、瑞牆山とサーファーハイカーの登山経験のある山々を御教示いただきます。奥には南アルプスが眺望できます。
その中でも金峰山は車で高度を稼げるから登るには楽ですよ!と勧めれました。そうですね、甲武信クラスのピストンは暫く遠慮したいので次回は楽なコースで登山したいですね。20分ぐらいサーファーハイカーと話込み、登りは近丸で来たから下りは徳ちゃんでと言いながら下山していきました。
その後、毛木平から3時間で登頂してきた男性ハイカーと会話します。そこへ再びマイペースな鹿が目の前にやってきました。男性ハイカーは鹿が襲ってこないかと少々ビビり気味になっておりました。
40分間山頂の景色とコミュニケーションを楽しんだので下山することにしました。正面に木賊山を眺め、またあの殺人的残雪地帯を通過する覚悟を決めます。
暑さで残雪の緩み加減も増してきており、足場に神経を集中しながら下ります。そして甲武信小屋を通過して行きます。
木賊山の登り返しに挑みます。再び殺人的残雪地帯突入です。
木賊山山頂を通過して残雪に嵌りながらも慎重に歩を進めます。
高度2300M辺りから残雪は消え、右膝に負担がかからないようにステッキを駆使しながら急降下していきます。
石楠花のトンネル地帯に突入です。石楠花の葉が妙に絡み付き、更に暑さからこの地帯を早く逃れたい!という気持ちからペースを上げます。
振り向くと木賊山から大分高度を下げてきたのを確認できます。その先で近丸、徳ちゃんの合流地点に出て徳ちゃん新道を選択します。
徳ちゃんを下る途中もう一度、富士山を確認します。ここで小屋泊の男性シングルハイカーと擦れ違います。山頂方面での残雪情報を提供すると驚いていました。先週の雲取山の状況から判断して私も残雪を予想しておりませんでした。
グングン高度を下げていき、この区間ではカップル3組と擦れ違います。この時間だからきっと小屋泊でしょう。
更に下ると石楠花の花を目的に登られてこられた男性年配ハイカーに石楠花情報を尋ねられます。あの忌まわしい石楠花トンネルがウザいとは一言も申し上げずに、「少々ですが一部分きれいに咲いていましたよ!」と爽やかに回答しておきました。そして「ヒーハー」言いながらステッキの力もお借りしてやっと登山口に帰着します。
その先で西沢渓谷入口を確認します。1周10Kコースは1度歩いた経験があり、渓谷沿いを森林パワーを吸収しながら快適に歩けるコースとして人気がありますが、本日は体力も気力もありませんのでパスです。駐車場まで20分の道程を脚が棒状態になっておりますが、何とか踏ん張って戻ります。ガードミラーを使用して疲弊している自分を撮影してみます。
13時45分起点の駐車場に到着です。下山は3時間半近くかかりました。
一旦、道の駅みとみに立ち寄り「鶏冠山、木賊山」を振り返ります。みとみより山梨方面に約9K地点にある「笛吹の湯」にて本日のピストンで消耗しきった身体を癒します。入場料は500円(市外)、市内在住は100円。差があり過ぎじゃない?源泉はぬるめでうたた寝をしてしまうくらい長湯のできる気持ちの良い温泉でした。(特に露天)
■天候:晴れ
■出会った人:15人(登り3人、山頂4人、下山8人)
■タイム:5:30~13:45
■その他:
◇天候には恵まれましたが、暑さとコンデション調整の失敗により快適というよりは半ば拷問登山に近い闘いとなってしまいました。輪をかけたのが、クモの巣、石楠花トンネル、殺人的残雪地帯の攻防歩きでした。しかしながら、甲武信登頂成功により一段と自分自身成長できたと感じられます。次回はお気楽登山を楽しみたいですね。
■推奨サイト:ゆうやけハイカー
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